AIはこの2年間、マーケティングにおける最大のテーマであり続けてきた。ほぼすべてのチームが、どこかしらでAIを導入している。コンテンツの出力レベルは、2023年には考えられなかったほどの規模に達している。しかし、実直なCMO(最高マーケティング責任者)に、中核的なパフォーマンス指標が実際にどれほど改善したかを尋ねてみれば、素晴らしい答えが返ってくることはめったにない。アウトプットは増えたが、パフォーマンスは向上していないのだ。その理由を理解することこそが、現在のマーケティングにおいて最も重要な課題である。
ボトルネックは移動したが、多くのチームはそれを見逃した
パフォーマンスマーケティングは、インサイト、制作、テスト、学習、そして再びインサイトへと戻るサイクルである。このサイクルを最も速く、かつ最も質の高いシグナルをもって回せるチームが勝つ。何十年もの間、ボトルネックは制作だった。代理店にブリーフィングし、素材を撮影し、数週間待つという流れである。
現在、AIはこのサイクルの他のいくつかの部分を解放している。モデルは、成果を上げた広告のどの要素(フック、フォーマット、オファーなど)が結果につながったのかを特定し、それに応じたバリエーションを作成できる。広告の疲弊(飽き)を検知して代替案を用意することも可能だ。また、成果を上げる広告が現れれば、数時間以内に複数のプラットフォームにわたって予算を再配分することもできる。
これに対するこれまでの市場の答えは、各段階におけるポイントソリューション(部分的な解決策)の導入だった。クリエイティブ用のツール、分析用のツール、メディアミックス最適化用のツール。それぞれ単体では有用だが、それらは互いに連携していない。ほとんどの企業では、プロセスの大半で依然として人間同士の引き継ぎに依存しながら、その中の一部の業務(大抵はクリエイティブ制作)にのみAIを導入している。
典型的なパフォーマンスマーケティングの1週間は、いまもこう進む
月曜日の朝、グロースチームはダッシュボードを開く。成果を上げている広告と疲弊したクリエイティブを特定し、新しいバリエーションの指示書を作成して、デザイナーや代理店に送る。2日から5日後、制作物が納品される。それをアップロードし、テストを設定し、データを待つ。金曜日、誰かが再びダッシュボードを開き、会議の合間のわずか20分という限られた時間で予算を手動で再配分し、得られた知見をドキュメントに書き込む。しかし、そのドキュメントが再利用されるかどうかはわからない。
いまや、このほぼすべてのステップを1つのシステム内で実行できる。バリエーションとそれに対応するランディングページを生成する同じシステムが、テストも開始し、パターンが現れるにつれて予算を再配分し、パフォーマンスが低下する前に次のラウンドを待機列に入れ、金曜日の分析を丸1日がかりの作業から短時間で読める内容へと変える。
マーケターの仕事は形を変える
マーケターがこのプロセスから消え去るわけではない。ただ業務内容が変わるだけだ。AIモデルには判断できない問題に対して、システムは人間の意思決定を必要とする。ブランドの存在意義、顧客獲得単価(CAC)が高くても獲得すべきターゲット層、いつ顧客生涯価値(LTV)を単純な広告費用対効果(ROAS)の数値よりも優先すべきか、自動化システムが大量に生成する中でいかにブランドのトーン&マナーを一貫させるか、といったことだ。このような世界では、質がこれまで以上に重要になる。なぜなら、システムは人間がインプットしたものをそのまま大規模に再現するからだ。一歩リードするマーケターとは、強力な統合システムを導入し、それをコントロールできる人材である。
人の手では、このスピードに対抗できない
AIモデルは、何百もの広告バリエーションをリアルタイムで比較する。一方、同じオフィスの奥にいるマーケターは、月曜日の会議で5つのバリエーションを比較している。AIモデルは、シグナルを検知してから数秒以内に予算を移動させる。チームがこれほどの頻度で会議を開くことは不可能だ。競合他社が統合されたAIシステムでサイクルを回し始めれば、アナリストを増員したところでその差を縮めることはできない。
これは、マーケティングにAIを使うべきかどうかという議論ではない。誰もが使っているのだ。本当の論点は、次に行う投資が「追加のツールを継ぎ足す」ことなのか、それとも「このサイクルを1つの統合されたシステムとして構築する」ことなのかだ。後者の道を選ぶ企業は、それを公表することはない。彼らのCACが自社の半分になり、広告量が2倍になった時に初めて気がつくことになる。その時点で彼らに追いつくのは、今から始めるよりもはるかに困難である。



