ソーシャルプラットフォームにおいて、洗練されたブランドのアカウントよりも生身の人間が優遇される傾向が続くなか、多くの企業で従業員アドボカシー(従業員が自発的に自社の情報を発信すること)がマーケティングミックスの重要な一部となっている。同時に、受け手の側も管理されすぎていると感じる投稿を見抜く能力が大幅に向上しており、企業にとって信頼は最も獲得しにくく、最も失いやすいもののひとつとなっている。
最も強力な従業員アドボカシーのプログラムは、テンプレートの作成や投稿スケジュールの設定から始まるのではない。人々が心から語りたくなるような職場環境と、関わるすべての人にとっての成功の定義を明確に理解することから始まる。ここでは、Forbes Agency Councilのメンバーが、従業員の自発的な参加を促し、信頼を強化し、従業員と組織の双方に持続的な価値をもたらす従業員アドボカシープログラムを構築するための実践的なインサイトを紹介する。
1. 従業員を信頼し、自分自身の言葉で語らせる
従業員が企業のメッセージをただ繰り返しているだけなのか、それとも自分が本当に信じていることを共有しているのかは、周囲に見透かされるものだ。優れた従業員アドボカシーは、台本ではなく強固なカルチャーから始まる。自分の経験について自身の言葉で語る自由をメンバーに与えるべきだ。それこそが信頼を築く鍵となる。 ─ ジャクリーン・ラマー・バーニー、VI Marketing and Branding
2. メッセージをコントロールしようとする前に、信頼を築く
本物らしさを人工的に作り出すことはできない。従業員アドボカシーが機能するのは、人々がブランドとの純粋なつながりを感じ、企業メッセージをオウム返しにするのではなく、自分の言葉で発言する権限を与えられている場合のみだ。コンテンツが台本通りだと感じられた瞬間に、その信頼性は失われる。ブランドのガイドラインは守りつつも、リーダーは投稿をコントロールすることよりも、チーム内での信頼関係の構築、共通の目的、そしてカルチャーの整合性の確保に注力すべきである。 ─ マヌエル・マチャド、CCOMGROUP Inc.
3. すでに参加意欲のある従業員から始める
まずは推進役(チャンピオン)を見つけることだ。すでにアクティブに発信している人、あるいはこれから発信していきたいと考えている人を特定し、最初に投資する。勢いは波及するものだ。他のメンバーが、それらの投稿の反応の良さを目にすれば、参加者は自然と増えていく。 ─ キム・ロートン、Enthuse Marketing
Forbes Agency Councilは、PR、メディア戦略、クリエイティブ、広告業界で成功を収めているエージェンシーのエグゼクティブを対象とした、招待制のコミュニティである。参加資格の確認はこちら。
4. 従業員アドボカシーを絶対に強制しない
強制してはならない。最も効果的な従業員アドボカシープログラムは、企業の公式な主張ではなく、本物の体験を共有する権限をメンバーに与えるものである。受け手は台本のあるコンテンツを瞬時に見抜く。従業員が職場を本当に気に入っており、自分のストーリーを語る自由を与えられているとき、そのコンテンツはより信頼され、魅力的で、大きなインパクトを持つものとなる。 ─ ブライアン・デゴーデ、BLND Public Relations
5. 個人の視点を制限せずにガイドラインを設定する
従業員アドボカシーの価値は、企業の筋書きを拡散することではなく、ブランドの本物らしさを高めることにある。企業が従業員に仕事について投稿してほしいと望むのであれば、明確なガイドライン(安全策)と使いやすい素材を提供する必要があるが、より重要なのは個人の視点を共有することを心から容認することだ。まず信頼関係を築かなければ、拡散を求めることはできない。 ─ ニコス・レマニス、Luxid
6. アドボカシーを企業カルチャーの現れとして捉える
リーダーは、従業員アドボカシーがSNS戦略である前に、カルチャーの表れであることを忘れてはならない。従業員が信頼、明確さ、そして企業の目的との真のつながりに基づいて発信する時、最も高い信頼性が生まれる。最も強力なプログラムは発言を作り出すのではなく、従業員自らが進んで発言したくなるような環境を整えるものだ。 ─ エイミー・パッカード・ベリー、Sparkpr
7. プログラムを開始する前に土台を整える
自社の組織や社内カルチャーは、従業員アドボカシーを導入する準備ができているだろうか。ポリシーや手続き、システム、そして導入すべきガイドラインについて、人事上の疑問を解決しておく必要がある。また、すぐに活用できる戦略やメッセージは用意されているか。この取り組みを管理し、推進する社内の担当者は決まっているか。そして最終的に、「新しくやるべきことのための時間を、どうやって作ればいいのか」という従業員からの問いにどう答え、対処するのだろうか。 ─ クーパー・マンロー、The Motherhood Inc.
8. 従業員自身のメリットを示す
プログラムの背景にある目的と、それが会社だけでなく、自身の専門的な評価やパーソナルブランドにどう役立つのかを、従業員に必ず理解してもらうことだ。また、制限事項だけでなく、推奨される実践方法に焦点を当てた明確なガイドラインを共有し、自信を持たせることも重要である。具体例を示すことで、従業員がブランドを効果的に表現しながら、本物のコンテンツを投稿しやすくなる。 ─ イスマエル・エル・クドシ、SocialPubli
9. 模範回答ではなくガイドラインを与える
「本物であること」こそが最大の価値提案だ。従業員アドボカシーが台本通りだと感じられた瞬間に、その信頼性は失われる。従業員には語るべき模範回答(トークスクリプト)ではなく、ガイドラインを与え、自身の言葉で本物の体験を共有するよう促すこと。人々は、洗練された企業のメッセージよりも、ありのままの真実をはるかに信頼する。 ─ ウリ・サメット、Buzz Dealer
10. トップが率先して行動する
リーダー自らがSNSでアクティブに活動し、手本を示す必要がある。これには、オリジナルのコンテンツを投稿することや、他者の投稿にエンゲージすることが含まれる。また企業は、何をどのように投稿すべきかについてのベストプラクティスや期待されることを周知し、従業員をサポートするための研修を実施すべきだ。従業員が主体的にSNSでありのままの発信ができるようにしたいなら、台本や厳格なルールを押しつけてはならない。 ─ クリスティ・ピール、Media Minefield
11. 誰もが共有したくなる職場を作る
従業員に仕事のことをオンラインで投稿するよう促す際、リーダーは、従業員が共有する内容を通じて自社のブランドが評価されることを忘れてはならない。従業員にただ会社の宣伝をするよう求めるのではなく、人々が自分の職場や体験について心から語りたくなるような、前向きなカルチャーを構築することに注力すべきである。 ─ バーナード・メイ、National Positions
12. ナラティブを共有し、解釈は従業員に委ねる
従業員には、台本ではなく「視点」を与えるべきだ。リーダーがアドボカシープログラムで犯す最大の過ちは、いかにも企業らしい、事前承認済みの原稿を提供することだ。受け手はこれを即座に見抜く。そうではなく、ブランドのナラティブや主要なテーマについてチームに説明し、あとは各自の言葉で表現してもらうのがよい。生身の人間による、本物の、自身の意見が盛り込まれた投稿は、常に洗練されたブランド発のコンテンツを凌駕する。 ─ ナターシャ・グレイ、SWOON MEDIA
13. 有意義な参加に対して従業員に報酬を与える
従業員自身が関心を持つための個人的な動機が必要だ。それがなければ、自由な時間に進んでブランドを宣伝する人はほとんどいない。プログラムをゲーム化し、エンゲージメントを追跡し、優秀な成績を収めた従業員を表彰し、彼らのノウハウを同僚と共有してもらう。このような認知こそが、継続するためのモチベーションを高める。 ─ ナタリヤ・アンドレイチュク、Viseven
14. 退職者(アルムナイ)と個人の執筆価値を意識する
従業員アドボカシーをブランドポートフォリオにおけるリスク分散として捉えることだ。企業のブランドという株銘柄は一つだが、AI検索は、分散された生身の人間の執筆実績(オーサーシップ)を高く評価する。そして、信頼できる人々がそこから発信したくなり、退職後も関わりを持ち続けたいと思うような場所を構築することだ。大手コンサルティング会社は何十年も前に退職者の重要性に気づいていたが、多くのB2Bリーダーはいまだに退職をすべての終わりと見なしている。 ─ マット・ウィルキンソン、Strivenn
15. 従業員自身の信頼構築を支援する
多くのアドボカシープログラムが失敗に終わるのは、価値が一方通行だからだ。従業員は自社のブランドを拡散しているのに、自身のレピュテーション(評価)には何も得ていない。これを逆転させるのだ。従業員が自らの分野で本物の専門的権威、明確な視点、そして広く認められる専門知識を築くのを支援する。彼らの信頼性こそが、会社にとって最も信頼できるチャネルとなる。人々は、ブランドを信じるよりもずっと前に、人を信じるのだ。 ─ フェルナンド・ベルトラン、Identika LLC
16. 語る価値のあるカルチャーを創り出す
従業員アドボカシーの不思議な力は、それが本物である時にのみ機能することだ。もしチームに模範回答(トークスクリプト)を手渡しているなら、その時点ですでに負けている。自身のストーリーを自分の言葉で共有するよう、メンバーを信頼することだ。それこそが、受け手と本当につながる方法である。リーダーとしての仕事は、語る価値のあるカルチャーを創り出すことだ。それができれば、あとは自然とうまくいくだろう。 ─ ケイティ・マイヤー、MoonLab Productions
17. 効率よりも「本物らしさ」に注力する
従業員アドボカシープログラムにおいて最も重要な要素は、従業員が自発的に組織について投稿したくなる環境を作ることだ。これにより、ステークホルダーによる企業の評価を高めるような、本物で魅力的なコンテンツが生み出される。効率性やツールに焦点を当てすぎると、明らかに不自然でありきたりな、使い回しの投稿ばかりになり、組織のブランドにとって有益どころか逆効果になりかねない。 ─ マイク・メイナード、Napier Partnership Limited



