マメドフはまた、ロシアの欧州市場への再統合や天然ガス供給の再開など、戦争終結に向けた具体的な経済的報酬を国際社会がロシア側に提示すべきだと訴え、同国との「戦略的安定を回復しなければならない」と主張している。
マメドフはウクライナへの支援にも反対している。昨年の論説で、マメドフはウクライナへの米国製巡航ミサイル「トマホーク」の供与が戦争の「壊滅的な激化」を招く恐れがあり、ひいては「核の瀬戸際外交」(ロシアのウラジーミル・プーチン大統領自身が始めた戦争で、クレムリンが戦術核兵器を使用する可能性について西側諸国に責任を負わせる論理)につながる可能性があると主張した。
学術界にも同様の主張を繰り返す専門家がいる。政治学を専門とする米シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、ウクライナ侵攻の責任はNATOにあると非難している。同教授は著書の中で、NATOの拡張主義がロシアの侵攻を招いたと論じ、同機構は「壊滅的な敗北」を喫し、ロシアが「勝利する可能性が高い」と予測している。
米コロンビア大学のジェフリー・サックス教授も、米国と英国がウクライナに対し、ロシアとの和平合意を「思いとどまらせた」と主張し、戦争が不必要に長引いていると考えている。同教授は、ウクライナ侵攻を巡ってロシアに科した制裁の効果は「不十分になる可能性が高い」とも指摘している。
カスパリャン、フエンテス、マメドフ、ミアシャイマー、サックスらの主張は、もはやお決まりのパターンとなっている。そのほとんどは容易に反論できる。だが、クレムリンにとってこれらの主張が有用なのは、その正確さにあるのではなく、それぞれの経歴や政治的立場が大きく異なっていても同じ結論に達している点にある。
ウクライナ侵攻がいつ、どのように終結するかは誰にも分からない。しかし、ウクライナは世界第2位の軍事力を誇るロシアを食い止めたことを示しており、ウクライナ国民はロシアの侵略から祖国を守るために今後もあらゆる手段を講じ続けるだろう。
侵攻開始当初、ウクライナがロシアの猛攻を乗り切れるだろうと予測した者はほとんどいなかった。それから4年以上が経過し、戦場から新たな証拠が明らかになるにつれ、多くの人は自らの分析を見直し始めている。


