FIFAワールドカップの決勝戦は米国時間7月19日にニュージャージー州で開催される予定だ。PM2.5などによる大気汚染の程度を示す大気質指数(AQI)が80になると予測されている。これは米国の区分で「中程度」に当たる。カナダの山火事による煙が南東へ流れ込んだものの、試合に向けた予報は好転しつつある。一方この煙が南東方向へ流れたことを受け、FIFAのジャンニ・インファンティノ会長は7月17日、決勝戦を観戦する人々の健康リスクについて協議するため、ホワイトハウス当局者と会談する事態となった。
(編注:大気質とは、PM2.5やオゾン、二酸化窒素などの大気汚染物質の濃度を基に、空気の汚染度と健康への影響を評価したもの。大気質予報は、現在の観測値に加え、風向・風速、降雨、前線、山火事の煙の移動などを基に、将来の汚染状況を予測する。米国では、大気質を「大気質指数(AQI)」という数値で示すのが一般的で、数値が高いほど健康への危険が大きい。日本では、米AQIに相当する全国統一の公式予報はなく、PM2.5、光化学オキシダント、黄砂などについて個別に観測、予測、注意喚起が行われている)
決勝戦の開始時には大気汚染が和らぐとの予報
Sky Newsのスポーツ記者ロブ・ハリスが7月17日に投稿した内容によると、インファンティーノとホワイトハウスは「ニューヨーク・ニュージャージー地域において、(カナダの)山火事の煙がもたらし得る健康上の危険」について協議した。山火事の煙は7月17日にニューヨーク市とニュージャージー州の空を覆い、翌18日の朝も一部の煙が同地域に滞留した。
決勝戦会場があるニュージャージー州イーストラザフォードについて、大気質測定企業IQAirは、7月19日の試合開始時の大気質を、AQI80の「中程度」と予報している。同社によると、7月18日午後の時点では、敏感な人にとって健康に悪影響が及ぶ水準だった。
AccuWeatherの上級気象予報士タイラー・ロイズはESPNに対し、7月18日に米北東部を通過する前線により、7月19日のキックオフまでに煙の多くが同地域外へ押し出されると述べた。
可能性は低いものの、7月19日の大気質予報が悪化に転じることもありうる。カナダ政府の最新データによると、同国では126件の火災が「制御不能」の状態にあり、「今後数日にわたり火災の拡大と山火事による煙が続くとみられ、特にオンタリオ州西部の多くの山火事から濃い煙が排出される」と見込まれているためだ。
IQAirによると、大気質の予測には「かなり予測しづらい」要素が含まれる。同社は、汚染物質が長距離を運ばれることで、大気質予報の精度がさらに左右されうると認めている。
ForbesはFIFAにコメントを求めている。
W杯決勝は延期されるのか
決勝戦が延期される可能性は低いとみられる。ニューヨークとニュージャージー州では山火事の煙を受けて健康警報が出されているが、天気予報が好転しつつある。ESPNに匿名で語った複数の関係者によると、そのためFIFAは大気質の悪化がワールドカップ決勝に与える影響を懸念していないという。米国立気象局は、7月19日の試合について晴天、最高気温約約28度(華氏82度)と予想している。
山火事の影響は他の試合にも及んでいる。メジャーリーグサッカー(MLS)のシカゴ・ファイア対バンクーバー・ホワイトキャップス戦は、山火事の煙によってシカゴの大気質が「危険」水準になったため、7月16日に中止され、10月へ延期された。同日のフィラデルフィア・フィリーズ対ニューヨーク・メッツ戦は、フィラデルフィアでの大気質懸念を受けて開始時間が1時間繰り上げられた。同市では7月17日も大気質の悪化が続いていた。
7月18日午後時点で、カナダでは950件超の山火事が発生中である。カナダの消防当局は水曜日の声明で、暑く乾燥した天候により、今後数日は火災のさらなる拡大と新たな発火が見込まれると述べた。これまでに、火災の影響で12万人超が避難している。IQAirによると、煙の影響を最も受けている都市はシカゴとデトロイトで、大気質指数は425〜450の「危険」な範囲に達している。同社は、ニューヨークとワシントンD.C.でも指数が180前後となり、「健康に悪い」水準を経験したと指摘している。IQAirは、風向きの変化により週末までに大気質は改善すると見込む一方、「今後数日間は断続的な煙の発生が続く可能性があり、ミネソタ州とカナダで山火事が続く限り、追加の煙の帯が発生する可能性がある」としている。



