本番前から収益化する
ワールドカップは開幕戦のはるか前から収益を生み始める。チケット、ホスピタリティ、旅行パッケージ、グッズ、スポンサー発表、予選、抽選会、メディア報道のすべてが、大会開始前に購買の瞬間をつくり出す。
これはイベント主導ではないビジネスにも有効だ。ローンチは、すべてが成功するか失敗するかが決まる一度きりの瞬間である必要はない。早期割引は最も分かりやすい例である。最初のグループは最良価格で購入し、次のグループはより高く支払い、最後のグループは定価を支払う。講座、会員制サービス、SaaSプロダクト、ECの新商品投入、コーチングプログラム、カンファレンス、リトリート、有料コミュニティ、サービスローンチで機能する。同じオファーを維持しながら、その都度「今買う理由」を新たに提示すればよい。
需要に価格を付ける
メットライフ・スタジアムでのワールドカップの試合に向け、ニュージャージー・トランジットは当初、ニューヨークからの往復鉄道チケットを150ドル(約2万円)に設定した。通常は15ドル(約2440円)未満の行程である。その後、運賃は105ドル(約1万円)、さらに98ドル(約1万円)へと引き下げられた。需要、警備、群衆管理、駐車制限、スタジアム収容力を考えれば、試合日の価格を高くすること自体には合理性があった。しかし値上げ幅があまりに大きく、価格そのものが話題になってしまった。シャトルバスでも同様のことが起き、ニューヨーク州が介入した後、料金は80ドル(約1万円)から20ドル(約3250円)に引き下げられた。
教訓は、顧客の好意を損なわずに需要を取り込むことである。希少性、緊急性、利便性は、とりわけ買い手により多く支払う明確な理由がある場合、値上げの余地を与える。しかし数字を押し上げすぎれば、追加の利益率は返金、苦情、悪評、信頼喪失へと変わる。評判を犠牲にしてまで得る価値のある金額などない。


