BYDのヒューマノイド戦略から何を学べるか
EVメーカーからヒューマノイドへというBYDの転換は、複数の中核的な経営課題に対処するために練られた、戦略的なものだった。
・第1に、中国、欧州、米国の競合と渡り合うには、自社の製造工場をより速く、より効率的にする必要がある
・第2に、ヒューマノイドは中国の労働力不足への解決策になる。同国では熟練産業労働者が約3000万人不足しているとされるからだ
・第3に、工場の現場でロボットを働かせることで、実環境での性能データを大規模に収集できた。これにより、ロボットが人間とどのように協働するのか、どのような役割なら本当に価値を生むのかについて、はるかに多くを学ぶことができた
そこから1歩進んで、他社の課題解決を助けるロボットの提供に乗り出すのは自然な流れだ。アマゾンやグーグルといったウェブ大手が、自社の中核事業を築くために使ったインフラを、後に外部向けの商品に変えていったのと似ている。
BYDが掲げるビジョンは、すべての家庭にヒューマノイド3台。料理と掃除をこなし、話し相手にもなる存在だ。開発から量産、小売までの道のりを丸ごと自社で握る体制を整えることで、その3台をすべて自社から買ってもらおうという狙いである。
ロボットの平均単価が急速に下がる中、BYDの戦略的な狙いは、生産規模を拡大すべき時が来たとき、誰よりも速く動ける製造業者になっておくことだ。
この先に何が起きるのか
ビジネスリーダーや専門職はもちろん、ロボットが暮らしをどう変えるかに関心のあるすべての人にとって、ここから得られる教訓は「ヒューマノイドは確実にやって来る」ということだ。
広範な大規模導入まではまだ数年かかるかもしれない。しかしBYDのような企業は、それを可能にするインフラを着々と整えつつある。
ヒューマノイドが「思考」に使うAIの頭脳は高度化を続け、ハードウェアのコストは下がり続けている。
BYDが進む道の先にあるのは、AIがデジタルの仕事だけでなく物理的な仕事まで自動化する世界だ。そこには、ヒューマノイドこそが産業技術と消費者向け技術の双方にとって次の進化の飛躍になる、という同社の信念が映し出されている。


