ロサンゼルス、12万本の街路灯をモバイル基地局化

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大きくて目障りな携帯基地局がなくなり、4Gネットワークの新時代が到来しそうだ。ロサンゼルス市は11月5日、モバイルネットワークのエリア拡大を目的に、スモールセルを格納した街路灯100本を設置すると発表した。

「SmartPoles」と名付けられた街路灯は、LED照明業界の巨人フィリップスと、テレコミュニケーション業界の巨人エリクソンが共同開発したものだ。両社は、2014年からスモールセル製品を共同で開発してきたが、ロサンゼルスで初めて展開することになる。

スモールセルは人口が密集し、モバイルデータトラフィックの需要拡大が予測される大都市でネットワーク容量の強化に対応し、「次世代のセルラーネットワーク」として期待されている。スモールセルは、従来の大きな基地局に比べてコストを抑えることができ、通信速度も速い。

大手キャリアのAT&TとVerizonも、モバイルネットワークのパフォーマンスを向上するためにスモールセルの設置を計画してきたが、展開は遅々として進んでいない。AT&Tに至っては、2015年末までに40,000局のスモールセルを設置するという計画を破棄している。同社は、2014年にLeap Wirelessを買収したことで、エリアを十分に拡大できたことをその理由として挙げている。こうした中でも、ABI Researchによるとスモールセル市場は2020年までに毎年43%の成長が見込まれるという。

フィリップスとエリクソンは、SmartPolesによってキャリアがスマートセルを設置しやすくなることを期待している。地主を個別に説得して、家の屋根にボックスを設置する必要がなくなり、街路灯上のスペースを自治体から借りるだけで済むからだ。また、スモールセルは街路灯の中に完全に埋め込まれるため、都市景観を損なうこともない。

「新しい基地局を爆発的に増やす必要がある」とフィリップスで戦略的提携を統括するChristoph Herzigは話す。
「我々が提供するのは、来たるべき大きな波への備えだ。自治体は、キャリアからのスモールセル設置申請への対応に苦慮している。我々は、早い段階から自治体と提携し、スモールセルの設置認可を含めたソリューションを設計している」

エリクソンとフィリップスは、10月から100本のSmartPolesの設置を開始している。この結果、4Gシグナルがどれだけ拡張されたか具体的な数値は示されていないが、「キャリアの期待を超える成果が出ている」とHerzigは述べている。

ロサンゼルスのプロジェクトは、まず100本の街路灯からスタートするが、Herzigによると、市内にはスモールセルの設置に適した街路灯が120,000本あるという。新たな設置に当たっては、まずモバイルネットワークのカバレッジがまばらな箇所を見つけ、次にフィリップスのデータベースで街路灯の位置と照らし合わせる。設置場所が決まったら、キャリアが街路灯のスペースを自治体から借り、スモールセルの設置が完了する。

文=アーロン・ティリー(Forbes)/編集=上田裕資

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