現在のロシア軍は、2022年2月にウクライナに全面侵攻した当時の軍隊と同じではない。
ウクライナは戦場の様相を繰り返し変えてきた。しかし4年以上にわたる戦争を通じて、ロシアは、変化を認識し、戦訓を汲み取り、それを制度化する能力を備えた軍隊を築きあげた。今日のロシア軍は、2022年当時よりもはるかに速いペースで適応している。
「戦争が長引くにつれて、ロシアはより速く、より上手に学ぶようになってきました」。退役したオーストラリア陸軍少将のミック・ライアンは筆者にそう語った。
こうした学習プロセスこそ、どんなドローン(無人機)技術よりも重要だということが、いずれはっきりしてくるかもしれない。そのプロセスは、世界最大級の軍隊が、安価な無人システムに支配されるようになってきた戦場にどのように適応しているかを示すものだからだ。
モデルになった「ルビコン」、新たな精鋭ドローン部隊「バリャーグ」
ロシア軍によるこうした適応や学習をもっともわかりやすく示す例のひとつが、2024年8月の先進無人技術センター「ルビコン」の編成である。米シンクタンク、外交政策研究所のシニアフェロー、ロブ・リーと、元ウクライナ無人システム軍将校のドミトロ・プチャタは、共同執筆しているニューズレター「Two Marines」の論考で、ルビコンについて、戦場での戦術や技術のイノベーション(革新)を軍全体に迅速に広げることを目的に設立された組織だと指摘している。
リーとプチャタによれば、ルビコンは、前線の突撃作戦を直接支援するのではなく、前線から10~40km後方に位置するウクライナ軍のドローン部隊や電子戦システム、兵站ルートを攻撃することに重点を置いている。
ルビコンはまず、ウクライナ軍が国境近くの一帯に逆侵攻していたロシア西部クルスク州の奪還作戦でこの手法の有効性を実証した。その後、ロシア軍は同様の手法をウクライナ東部戦線の各方面に拡大した。2025年後半、ルビコンは米スペースXの衛星通信網「Starlink(スターリンク)」を利用する中距離攻撃ドローンを大規模に運用するようになり、操縦士はウクライナ軍の後方地域をさらに深く攻撃できるようになった。ただ、この能力は、2026年2月にスターリンクへのロシア軍のアクセスが遮断されると無効化された。
ロシアはまた、戦線全体でドローン部隊の運用方法も見直した。



