ウクライナの中距離攻撃に精鋭部隊が後衛シフトで対応
ウクライナの新たなイノベーションにより、ロシアは再び対応を強いられた。ウクライナが「兵站遮断(ロジスティクス・ロックダウン)」(ミハイロ・フェドロウ国防相=当時)作戦を強化し、クリミアへの陸上回廊を含むロシア占領下ウクライナ南部一帯でロシア軍の補給ルートに対する攻撃を激化させると、ロシア側は次第に、自軍の精鋭ドローン部隊に後方地域の兵站ルートやインフラの防衛を担わせるようになった。
リーは、ルビコンと新たに出現した第50無人システム旅団は、ウクライナが拡大している中距離・縦深打撃作戦への対抗に役立っているとの見方を筆者に示した。ただ、戦争が変化するにつれて、長期的にはこれらの部隊の役割も引き続き進化していく可能性が高いとも付言した。
精鋭部隊の後方防衛シフトは、すでに戦場に影響を及ぼしている。ウクライナへの防衛技術支援に取り組む国際的な団体「ディフェンス・テック・フォー・ユークレイン」のジョナサン・リッパート代表は筆者の取材に、最近3カ月にルビコンが迎撃したウクライナ軍の中距離攻撃ドローンのおよそ半数は「Hornet(ホーネット)」が占めると語った。
ウクライナ無人システム軍第413独立無人システム連隊「レイド」に所属する軍人、ドミトロ・ジュルクテンコは、ルビコンというモデルは、ロシアの従来型の軍事組織よりも有効性が高いことが証明されたとの見解を筆者に示した。彼は、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦場での戦術が最終的にロシアの正規軍全体に広まったのと同じように、ルビコンの手法もやがてロシア軍全体に採用されると予想している。もっとも、ワグネルと異なり、ルビコンはもともとロシア軍の正式な軍事組織である。
自律システムなど技術革新で加速する適応
ロシアの組織的な適応は、いまでは技術革新によって促進されている。
フェドロウの顧問も務めていた技術専門家のセルヒー・「フラッシュ」・ベスクレストノウは7月3日、通信アプリ「テレグラム」への投稿で、ロシア軍がウクライナ南部ザポリージャ州方面で、モルニヤ攻撃ドローンの自律型を使い始めたと報告した。広範に使用されてきたモルニヤの従来型と異なり、この新型ドローンは無線制御ではなく地形追従ソフトウェアや機体搭載コンピューターを活用するとされる。そのため、多くのタイプの無線周波数(RF)ジャミング(妨害)の影響を受けにくく、従来型のドローン探知システムも回避できるという。
ウクライナ陸軍第92独立強襲旅団の迫撃砲部隊の指揮官であるアナトリー・トカチェンコは筆者の取材に、ロシア軍のドローン活動が活発化しているため、前線への兵站が一段と困難になっていると説明した。
「20kmにわたってキルゾーン(撃破地帯)が広がっているため、兵站を組織することは事実上不可能になっています。歩兵は30km歩いて進まないといけません。迫撃砲部隊員やドローン操縦士も10kmから15kmぐらい歩いています」


