コンテンツは消費され、オーディエンスも増えている。しかし、アクセス数は横ばい。そんな状況に心当たりはないだろうか。
マーケティング業界は、ユーザーが情報元にアクセスすることなく、検索結果ページから直接答えを得る行動である「ゼロクリック検索」の台頭に関する統計データであふれかえっている。そして現在、AIが情報の提示方法を根本的に作り変えるなか、私たちはクリエイターやブランドにとってさらに重大な影響をもたらす局面、すなわち「ゼロクリック・クリエイターエコノミー」へと静かに移行しつつあると私は考えている。
適切な例えが見つからないが、粘土細工のように、影響力のルールは技術的な操作によって形作られている。プラットフォームは常に配信を支配してきた。そして今、AIが解釈を支配している。この新たな環境において、クリエイターは訪問されることも、フォローされることも、あるいは収益化されることもないまま、引用され、言及され、コンテンツの土台にされる可能性がある。存在感を示し続けるために、これほど多くの場所に露出する必要が生じたことはない。だからこそクリエイターは、発見されやすく、記憶に残りやすく、そして何よりも、自ら構築したオーディエンスを自ら所有しなければならない。
訪問なき引用
より多くの配信プラットフォームが消費者向けのAIに投資するなか、ゼロクリックの現実はさらに浸透しつつある。2024年の調査によると、米国におけるGoogle検索1000回のうち、オープンウェブへのクリックにつながったのはわずか360回だった。つまり、3分の2以上(正確には640回)が検索結果ページ内にとどまったということだ。ここにAIが能動的に介在すると、クリック率の低下はさらに顕著になる。Semrushのデータによると、AIモードで行われた検索の約93%が、外部ウェブサイトへのクリックを1回も伴わずに終了している。
そして、このトラフィックの問題には、独自の混雑課金のような現象が伴う。Ahrefsの調査によると、2025年4月、AIによる検索結果の概要表示(AI Overviews)により、オーガニック検索1位のクリック率は34.5%減少した。それからわずか8カ月後には、クリック率の低下は58%にまで悪化した。
認知度や信頼性の向上には価値があるものの、AIの回答で認知されることは、もはやウェブサイトへの訪問には結びつかない。特に、多くのブランドが前年比の過去の基準値に基づいてパフォーマンスを測定している現状ではなおさらだ。理論上は、「あらゆる場所で引用されているのに、どこからもクリックされない」という事態が起こり得るのだ。
そして、苦境に立たされているのは従来のパブリッシャーだけではない。クリエイターが自らのオーディエンスを構築してきた巨大な環境であるソーシャルプラットフォームも今や、AIの主要な情報源として採掘されている。The Digital Bloomによると、Wikipedia、YouTube、Google独自のサービス、Reddit、Amazonが、AIによる検索概要の全引用数の38%を占めている。YouTubeは現在、AIが生成する回答において最も頻繁に引用されるソーシャルプラットフォームとしてRedditを上回っている。これは、LLMが容易に解析できる動画の文字起こしやコンテンツのアクセスのしやすさが一因となっていると、AdWeekは指摘している。
また、プラットフォームごとの手法が同一ではない点にも注意が必要だ。プラットフォームにはそれぞれ独自の引用方法があり、入力されるクエリにも大きく左右される。たとえばSuperlinesのデータによると、PerplexityはRedditをYouTubeの6.1倍多く引用している。この引用のエコシステムは、MetaがRedditに似たインターフェースを謳うグループ特化型アプリ「Forum」を最近立ち上げた背景にある、大きな動機の一つでもあると考えられる。
動き出したパワーバランス
プラットフォームに関して言えば、プラットフォームが配信をコントロールしているというのは、今に始まったことではない。たとえば、自身のリーチやアルゴリズムは自分のものではない。これは、クリエイターにとって「借り物のスペース」モデルにおける根本的なリスクであり続けてきた。しかし、今日の状況において紛れもない事実は、今やAIが解釈をコントロールしているということだ。AIは本質的に、コンテンツが何を意味するのか、それがどのクエリに関連するのか、そして誰がその要約を目にするのかを決定している。
クリエイターは、自身のコンテンツがデジタル世界でどのように表示されるかについて、かつてないほどコントロールを失っている。彼らの作品は、彼らと何の関係もなく、内部が見えないシステムによって、処理され、言い換えられ、帰属表示される(あるいは、時に帰属表示されないままになる)。また、引用の選択が舞台裏で実際にどのように機能しているのかも不透明だ。なぜ、あるクリエイターのコンテンツがAIの検索概要に表示される一方で、同等に権威のある別のコンテンツは表示されないのだろうか。
これにより、新たな戦略的必要性が生じている。もはや、優れたコンテンツを作成し、発見されやすく最適化するだけでは不十分なのだ。これからのクリエイターは、記憶に残りやすさを意識して構築しなければならない。従来のソーシャルメディアというホームグラウンドの外で発見されることは、現時点では金銭的価値に結びつかない視認性を高めるだけにとどまる可能性があるからだ。
以前の記事で、私はインフルエンサーマーケティングにおいて唯一重要となる予測は、コントロールできないプラットフォームに全面的に依存するのではなく、自身が所有するチャネルでの成長を見据えて構築することだと言明した。ゼロクリック・クリエイターエコノミーはこの点を強く裏付けている。
コンテンツがクリックも、フォローも、訪問も、クレジット表示も、さらには対価の支払いもされることなく消費される可能性があるとき、維持できる唯一の防衛線は、オーディエンスとの間に築く直接的な関係性だけだ。それは、メールリストやコミュニティ、サブスクリプションなど、AIが参照することはできても、代替することはできないものである。



