オーバーツーリズムは都市にとって極めて深刻な問題となり得る。民泊による住宅危機の誘発や、インフラの限界への逼迫、さらには地域文化の衰退を招く恐れがある。これにより、旅行・観光業界に対する住民の大規模な抗議活動や激しい反発が日常的に引き起こされている。
『ナショナル ジオグラフィック』誌によると、「オーバーツーリズム」という言葉は比較的新しく、急増する観光客が都市や名所、景観に打撃を与えていることを強調するために、10年以上前に作られた。世界各地の観光客数がパンデミック前の水準に戻りつつあるなか、何をもって観光客が「多すぎる」とするかについての議論は今も続いている。観光業による収入に依存する多くの目的地が依然として旅行客の誘致に熱心である一方、一部の主要都市や観光地では、観光客数を抑制するために、禁止措置や罰金、税金、時間帯予約制の導入を始めており、場合によっては旅行を控えるよう促すキャンペーンを展開しているところもある。
オーバーツーリズムが旅行の選択肢を変化させ続けるなか、今日のラグジュアリーにおける究極の価値である「発見」を求める米国の旅行者のために、新たな旅行先が登場しつつある。モンゴルの広大なゴビ砂漠や中国の高地にあるワイン産地、豊かな野生動物が生息するインドの中心部まで、これらの土地は、旅慣れた旅行者たちがますます渇望する文化的な奥深さや自然の美しさ、そして格別な限定感を提供している。
あらゆる場所を旅したことのある旅行者にとっての「一生に一度は行きたい場所(バケットリスト)」となるこれら3つの目的地は、いずれも米国の旅行者にはまだあまり知られておらず、豊かな文化と希少な体験を提供している。
何世代にもわたって続く遊牧民の家族を訪ね、ゴビ砂漠で世界に残された数少ない大自然を体験する。
ゴビ砂漠は、モンゴルと中国北部にまたがる50万平方マイルに及ぶ広大で寒冷な半乾燥・乾燥地帯である。アジア最大の砂漠として知られ、見渡す限りの砂丘というよりも、岩だらけの平原や不毛な山々、および有名な恐竜の化石層が特徴だ。モンゴルの観光業は2026年に8%の成長が見込まれており、ユナイテッド航空による直行便の運航も最近発表された。真の冒険を求めるなら、Nomadic Expeditionsの経験に頼るのがおすすめだ。地元のアーティストから科学者まで、あらゆる分野の専門家と提携しているこの再生型(リジェネラティブ)旅行会社は、地元の家族と交流する貴重な機会だけでなく、他にはない大自然へのアクセスも提供している。フレーミング・クリフで恐竜の骨を見学し、モンゴル馬に乗って草原を駆け抜け、敷地内専属の天文学者とともに星空を眺め、豪華なThree Camel Lodge(スリー・キャメル・ロッジ)に宿泊しよう。
「アジアのボルドー」として知られる僻地の村、茨中(ツーツォン)で、受賞歴のあるヒマラヤワインを味わう。
1世紀以上前、フランス人のカトリック宣教師が雲南省北部にワイン造りを伝え、ミサ用ワインのためのブドウ栽培を始めた。それがヨーロッパの技術と地元のチベット文化が融合した遺産として今に残っている。今日、ヒマラヤのこのほとんど知られていない一角は新興ワイン産地となっており、高地のブドウ畑、強い紫外線、そして冷涼な気候が、極めて複雑で個性的なワインを生み出している。客室数が10室から26室へと拡張されたばかりのSongtsam Cizhong Lodge(松賛茨中ロッジ)は、このブランド初のワインリゾートとして地域の歴史を称えており、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ローズハニー(玫瑰蜜)が栽培されているプライベートなブドウ畑でのテイスティングが楽しめる。翡翠色に輝く瀾滄江と雪を頂いた連峰を見渡すプライベートバルコニー付きのスイートに滞在し、ブドウ畑での試飲をしたり、南極洛(ナンジロウ)にある9つの高山湖をめぐるガイド付きの散策を楽しんだりして、一日を過ごすことができる。
「新たなゴールデン・トライアングル」を巡り、まるでジャングル・ブックの世界から飛び出してきたかのようなタイガーサファリを体験する。
インドのゴールデン・トライアングルは、同国で最も人気のある観光ルートだ。これは首都ニューデリーと、ウッタル・プラデーシュ州のアグラ、ラジャスタン州のジャイプールを結ぶ三角形のルートを指す。この人気のゴールデン・トライアングルに代わる新しい選択肢を求めているなら、インドのマディヤ・プラデーシュ州が最適だ。インド中部に位置するこの大州には、インドの歴史におけるあらゆる時代の歴史的建造物が残されている。10世紀に建立が始まったカジュラーホのヒンドゥー教およびジャイナ教の寺院群は、エロティックな彫刻で名高く、特に800体以上の彫刻が施されたカンダリヤ・マハーデーヴァ寺院が有名だ。旅行者は、まだ主流になっていない魅力的な体験の数々を満喫できる。カジュラーホにある数千年の歴史を持つ寺院の参拝から、バンダウガルでのタイガーサファリによるベンガルトラとの遭遇まで、同州は自然、文化、冒険の希有な融合を提供している。さらに、新しくオープンしたジ・オベロイ・ホテルズ&リゾーツの2つの宿泊施設、The Oberoi Vindhyavilas Wildlife Resort, BandhavgarhとThe Oberoi Rajgarh Palace, Khajurahoに滞在すれば、極上のサービスとラグジュアリーを堪能できる。



