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教育

2026.07.18 00:24

自分を責めても「良い習慣」は身につかない 科学が証明する、より効果的な感情とは

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ブリティッシュコロンビア大学(UBC)の心理学教授、ジアイン・ジャオ博士が教授会に出席していたとき、ある同僚が彼女に近づき、研究に関する一風変わった質問を投げかけてきた。「気候変動への対策を、悲惨なものではなく、幸せに感じられるものにすることはできないだろうか」と、その同僚は尋ねた。

「その瞬間、ひらめきがありました」と、ジャオ氏はグレーター・グッド・サイエンス・センターのポッドキャスト『The Science of Happiness』の最近のエピソードで振り返っている。質問をした同僚のエリザベス・ダン博士は、同じくUBCの心理学教授であり、幸福の心理学を専門としている。ジャオ氏自身もUBCの心理学教授で、行動変容を促す要因を研究している。

この短いやり取りをきっかけに、2人は本格的な共同研究を開始し、新著『Leave the Lights On(電気はつけたままでいい)』を執筆した。同書の中で2人は、罪悪感や恥といったネガティブな感情よりも、喜びのようなポジティブな感情の方が、新しい習慣を定着させる上ではるかに効果的だと指摘している。

「恥」が機能せず、「喜び」が機能する理由

行動を変えようとする試みの多くは、「〜するな」という禁止事項に基づいている。赤身肉を食べすぎるな、下半身トレーニングをサボるな、電気をつけっぱなしにするな、といった具合だ。このアプローチの問題点は、失敗に伴うネガティブな感情が注意を引くことはあっても、それが新しい習慣を固める助けになるとは限らないことだ。

ジャオ氏とダン氏が見いだしたのは、喜びのようなポジティブな感情こそが、長期的な習慣を築く上で実際に役立つということだ。ジャオ氏は、行動変容の基本原則である「オペラント条件づけ」を指摘する。オペラント条件づけにおいては、ある行動によって気分が良くなると、「その行動をとりやすくなり、繰り返し行い、さらに多く行うようになる」と彼女は説明する。

ダン氏は自身の生活の中で、自然とこのパターンに気づいた。最初に気づいたのは、自転車通勤のときだった。自転車で職場に向かうと、渋滞をかき分けて通勤したときよりも、到着時の気分が良かったのだ。次に気づいたのは、かつて交際していた男性とのやり取りの中だった。彼もダン氏と同様、気候変動対策に熱心に取り組んでいた。彼はよく、ダン氏が環境に悪いささいな行動をとるたびに、彼女に恥をかかせようとした。例えば、ダン氏が電気を消さずに部屋を出ると、非難がましい視線を向けてきたという。ダン氏は、この行為が多くの緊張感や恥ずかしさを生み出しはしたものの、彼女の行動を変えることはなかったと指摘する。同僚から親しみを込めて「人間炭素計算機」と呼ばれているジャオ氏も、仮に一生電気をつけっぱなしにしたとしても、その炭素排出量はハンバーガー13個分にすぎないと指摘している。

「人々が道徳的な判断に過度に固執すると、自分たちの行動が実際に与える影響を見失いやすくなる」とダン氏は言う。道徳的な非難があまりに横行すると、あらゆる行動やアイデアが、何が効果的かという合理的な議論ではなく、その人がどのような人物かという品定めになってしまうと彼女は指摘する。

最近の研究でジャオ氏は、ある行動をやめるように言われるよりも、ある行動をもっと増やすように言われたときの方が、人は前向きな行動をとりやすいことを突き止めた。彼女のお気に入りの例はこうだ。「『肉を食べる量を減らしなさい』と言う代わりに、『植物をもっと食べなさい』と言うのだ」。重要なのは、このように習慣作りに取り組んだ人々は、その過程でより大きな幸福感を得ていたという点だ。

感情インテリジェンスの活用

ダン氏とジャオ氏が実践していることは、まさに「感情インテリジェンス(EI)」を習慣形成に応用した好例だ。感情インテリジェンスとは、自分や他者の感情を認識・理解し、その気づきを人間関係や仕事、目標達成においてより効果的に活用する能力のことだ。EIモデルは、自己認識、自己管理、社会的認識、人間関係管理という4つの核となるスキルで構成されている。自身の感情インテリジェンスや自己管理能力を把握するために、専門家は科学的に妥当性が検証された感情インテリジェンス診断を受けることを推奨している。

ジャオ氏とダン氏の「ポジティブな感情を利用する戦略」は、自己管理(感情をコントロールし、建設的な成果につながる行動をとる能力)に最もよく当てはまる。どの感情に頼るかを選択することで、感情を自分の味方にし、足を引っ張られないようにすることができるのだ。

習慣とは厳格な規律の問題だと考えがちだが、研究が示唆しているのは、習慣とは何よりもまず「感情的」なものとして扱うべきだということだ。もし習慣が「罰」のように感じられるなら、あなたの意志の力は苦しい戦いを強いられることになる。そうではなく、ダン氏が渋滞の通勤路を進む代わりに自転車通勤を選んだように、その行動の中に本物のポジティブな感情を組み込む方法を見つけることだ。そうすれば、身体と脳がその心地よい感覚を求めるようになり、習慣が自然と持続するようになる。

これを実践するために、身につけようとしているあらゆる習慣にダン氏とジャオ氏の手法を応用してみよう。次の5つの簡単なステップに従うだけだ。

  1. 変えたい、あるいは始めたい習慣を1つ選ぶ。
  2. 「引き算」ではなく「足し算」にする。減らすことではなく、増やすことができる行動は何かを考える。つまり、習慣を「すべきではないこと」として定義するのではなく、「すべきこと」として定義するのだ。例えば、「毎食肉を食べるのをやめる」ではなく、「もっと野菜を食べる」と表現する。
  3. 見返りに気づく。新しい習慣を実践する中で生まれるポジティブな感情に注意を向ける。効果を高めるために、それらを書き留めておくのも良い。
  4. 摩擦を取り除く。例えばジャオ氏は、冷蔵庫の中身を「整理」し、傷みやすい食材を目につきやすい手前に移動させている。その結果、冷蔵庫の中の食材を一切無駄にしなくなったという。
  5. 共有する。「心から楽しんでいることがあれば、他の人と共有したくなるものだ」とダン氏は言う。喜びは味方を引き寄せる。

アイデアを実践に移す

目標を達成できないと、自分には「自制心が足りない」と感じがちだが、実際に本当に必要なのは「感情的な報酬」だ。これまで無理に続けてきた習慣(ワークアウト、執筆の時間、週に1度の1対1のミーティングなど)を思い浮かべ、ダン氏の問いを自分に投げかけてみよう。「どうすれば、これを苦痛ではなく楽しいと感じられるだろうか?」。この問いに答えることができれば、新しい習慣は驚くほど自然に生活に溶け込んでいくはずだ。

ケビン・クルーズ(Kevin Kruse)は、感情インテリジェンスのトレーニング企業であるLEADxの創業者兼CEO。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー著者でもある。無料のEIアセスメントはこちらから受検可能。心理学的に妥当性が検証されており、4つのコアスキルのスコア内訳を確認できる。

forbes.com 原文

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