「未来に賭ける市場」 米国で急成長するプレディクション・マーケットの正体

ピッチサイドには、今大会からFIFAワールドカップの公式スポンサーとなったADI Predictstreetの広告が掲出された。(Getty Images)

なぜ「賭博」ではなく合法なのか

ここで疑問になるのが、プレディクション・マーケットはなぜ賭博として摘発されないのか、という点だ。

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理由は、掛け金を賭けるギャンブルではなく、「イベント契約(Event Contract)」という金融デリバティブ商品として扱われているためである。米国では金融先物法(Commodity Exchange Act)の管轄下に置かれ、原油や金、株価指数などの先物取引と同様の金融商品としてみなされている。連邦裁判所もプリディクションは「価格発見機能を持つ金融市場」であり、娯楽目的の賭博ではないとの判断を示している。

この位置付けが広く認識されるきっかけとなったのが2024年の裁判だ。最大手プラットフォームのKalshiは、選挙結果を対象としたイベント契約(候補者の当否予測)を金融商品だと主張した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)は取引停止を求めたが、裁判所は選挙イベントも金融商品として認め、Kalshi側が勝訴した。

この裁判以降、イベント契約の対象は選挙やスポーツだけでなく、金利、原油・天然ガス価格、気候変動、AI、宇宙開発などへ広がっている。「市場の集合知」をリアルタイムで価格に反映できる点が評価され、政府や金融機関、企業からも注目される存在となっている。

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急成長の裏で浮上する利益相反とインサイダー疑惑

一方で、市場拡大とともに様々な問題も指摘されている。

最大手Kalshiにはトランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が株式報酬を受け取るアドバイザーとして参加している。また、トランプ陣営は業界2位のPolymarketにも出資しており、大統領一族との近い関係が利益相反ではないかとの批判が続いている。

さらに、イラン情勢を巡っては、停戦や軍事行動に関するイベント契約で大口取引が確認され、「内部情報を知る人物が取引しているのではないか」との疑惑も浮上した。また、ベネズエラに関する米軍の秘密作戦情報を現役の情報担当兵が利用し、40万ドル以上の利益を得た事件も発覚し、軍事インサイダー事件として報じられた。もっとも、トランプ大統領本人については違法取引を行ったとの疑惑は報じられているものの、起訴には至っていない。

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文=北谷賢司

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