経営・戦略

2026.07.27 08:30

90兆円の隠れ資産争奪戦、バイセルが仕掛ける驚異のAIオペレーション

徳重浩介|BuySell Technologies代表取締役社長兼CEO

徳重浩介|BuySell Technologies代表取締役社長兼CEO

Forbes JAPAN 2026年9月号は「次の成長株を追え」特集。日本経済を牽引する「次の主役」は誰か。フォーブス ジャパン編集部は、これまで大企業やスタートアップのランキング特集などを通じて、その担い手の活躍を追い続けてきた。今回、焦点を当てるのは、抜け穴となっていた中小型の上場グロース企業だ。マクロ経済環境が目まぐるしく変化し、株式市場においてもボラティリティの激しさが高まる昨今。相場を主導する大型株や半導体セクターに目が行きがちだが、中小型株のなかには、大きなポテンシャルを秘めた企業が多数存在する。圧倒的な勢いを伴って次なる成長ステージへ加速し始めた企業の可能性を探った。

レッドオーシャンのリユース市場で圧倒的なポジションを確立。高成長を支えるのは、徹底したオペレーションの磨き込みだ。海外の販路も着々と拡大する業界の雄は、世界的リユース企業になりうるか。


リユース企業のBuySell Technologies(以下、バイセル)が好調だ。ここ数年、インフレやサステナブル意識の高まりといった追い風を受けながら急成長を遂げてきた同社は、2026年12月期も第1四半期決算で売上高が前年同期比37.0%増、営業収益が111.4%増と大幅な増収増益に。通期予想も上方修正した。主力の出張訪問買取では、業界内で頭ひとつ抜けた存在となっている。代表の徳重浩介は、さらなる成長をどう描いているのか。

──売り上げ・利益ともに2桁以上の伸び率を継続し、粗利率も50%超で高水準だ。成長の秘密は。

徳重浩介(以下、徳重さまざまなリユース品の買取と再販売を行っている。買取は出張訪問買取と店舗買取が二本柱だ。出張訪問は査定員が約1000人となり、訪問件数は年間50万近い。店舗も現在500店強に増えている。

リユース業のような労働集約型モデルで重要なのは、オペレーションマネジメントの強化だ。出張訪問では、マーケティングで創出した問い合わせからアポイントを取って訪問し、査定して買い取った後は、全国に4つある倉庫に集約して最適な販路で販売する。当社はそれぞれのプロセスを徹底的に磨き込んでいる。それらの積み上げがサステナブルなオーガニック成長につながっている。

──オペレーションをどう磨いたのか。

徳重:オペレーションを磨くには、ビジネスプロセスの定量化・可視化と分析が不可欠だ。例えば、KPI(重要業績評価指標)のひとつに、訪問1件あたりの粗利単価がある。査定員が効率的に回って査定しないと人件費や交通費がかかってこの指標が低下していく。当社は効率的なルート設定や査定にAIをフル活用している。査定では、訪問時に自社アプリで品物を撮影すると査定額が自動で出てくる。こうした仕組みで、査定員は1日3.5~4件程度の訪問が可能になった。査定員数百人の規模でこのレベルのオペレーションを実現している出張買取は、バイセルのほかに、24年に買収した「買取 福ちゃん」しかなかった。そこが仲間になった今、競合はなかなか追いつけないだろう。

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文=村上 敬 写真=ヤン・ブース

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