経営・戦略

2026.07.27 08:30

90兆円の隠れ資産争奪戦、バイセルが仕掛ける驚異のAIオペレーション

徳重浩介|BuySell Technologies代表取締役社長兼CEO

──重視する指標のひとつに、出張訪問の再訪率がある。

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徳重:リユース品の買取は「件数×単価」がトップラインをつくる。件数についてはマーケティングの最適化で新規訪問を増やすほか、リピートも重要だ。お客様が「こんなものは買い取ってもらえないだろう」と思い込んで、仕舞ったままにしている品は少なくないが、訪問時に査定員が「こんなものも買い取れます」とお話しすることで、2回目の査定依頼につながるケースは多い。再訪は初回訪問と比べて買取点数が多く、高単価商材が出てくる傾向がある。例えば、着物を箪笥1棹ごと依頼されたり、「捨てるつもりだった」という古いブランド品が出てきたりすることも珍しくない。単価アップの点でも再訪は重要だ。

社長に就任した24年当時、再訪率は1桁前半にとどまっていた。訪問時の会話を録音して、再訪を依頼してもらいやすいアプローチを型に落とし込んだり、システムで顧客管理をしてこちらから再訪の提案をしたりなどの施策で、再訪率はバイセル単体で約20%まで向上した。

──リユース市場の将来展望は。

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徳重:サステナブル意識が定着したり、メルカリが市場を切り開いてリユース品を買うことへの抵抗感を払拭してくれたりしたおかげで、リユース市場は毎年7%前後伸びており、現在は3兆円規模になった。潜在的な市場は大きく、家庭に眠っている「隠れ資産」の額は90兆円あると指摘されている。

当社の競合は、他社というよりも、捨てるという行為だ。ただ、粗大ゴミに出せば逆にお金がかかるうえ、シールを貼るなどの手間もかかる。買取に出してもらうには、「要らなくなったらすぐバイセル」と純粋想起してもらう必要がある。この認知を取りながら、マーケットの拡大に努めたい。

海外ライブコマースに手応え

──販路についての戦略は。

徳重:私たちは実店舗での小売りをあまり積極的にやっていない。リユース業界には大きな販売店舗を構えている会社もあるが、店舗を構えると大量に品揃えしなければならず、リユース品の卸から商材を仕入れる必要が生じる。個人のお客様は「不用品を処分したい」というニーズが強いため、買取価格の相場は低めだが、卸業者は利益追求型なのでどうしても仕入れ価格が高くなり、粗利益が抑えられてしまう。今後もBtoC向けの店舗販売より、BtoBの市場に販売していくことが基本になる。

ただ、BtoCでは中国のライブコマースに注目している。中国は農村部に至るまでライブコマースが浸透している。当社は今年3月、中国ナンバーワンのライブコマースプラットフォーマー「JUXI」と提携した。日本ではブランドの商標権などの観点で、傷がついたリユース品をリペアして販売することは難しいが、中国ではリペア品の真贋鑑定の仕組みが整備されている。そこで日本で販売が難しいものを中国に送り、リペア後にライブコマースで販売する。

北米市場もターゲットだ。そのまま販売できる新古品については、中国の人気ライバー(配信者)を日本に呼び、倉庫併設のスタジオから英語で配信している。この反応が非常にいい。いずれは現在の日本と同じくらいの規模を海外市場でつくりたいと考えている。

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文=村上 敬 写真=ヤン・ブース

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