米北東部ニューヨークの気温が32度の日は、南西部アリゾナの38度の日より疲れを感じやすいのには理由がある。それは単に温度計の数値ではなく、大気中の湿度が関係しているのだ。
欧州では記録的な猛暑が続き、既に多数の死者が出ているが、北米では灼熱(しゃくねつ)の気温だけでなく、耐え難いほどの湿度をもたらす「ヒートドーム」現象が予想されている。
人体の体温調節の仕組み
近年、天気予報では気温だけでなく体感温度も表示されることが多くなった。これは、湿度によって人体が熱を感じるだけでなく、熱に対処する方法も大きく変わるためだ。
運動中や非常に暑い日でも、人間は発汗によって体温を37度前後に調節する能力を持っている。汗そのものが体温を下げるわけではないが、汗は皮膚から蒸発して水蒸気になる過程で体から熱を奪い、空気中に放出する。
空気が乾燥していると汗はすぐに蒸発するため、非常に暑い日でも体温を調節するのに必要十分な量の汗をかくことができる。だが、湿度の高い環境では、空気は水蒸気で飽和状態になる。つまり、汗が効率的に蒸発しなくなるため、高温多湿の環境にいると体が余分な熱を放出しようと必死になるあまり、汗が滴り落ちる状態になってしまうのだ。
熱中症の危険性
その結果は単に不快なだけでなく、体温が上昇するにつれて急速に危険な状態になる可能性がある。体は体温を下げるために血液を皮膚に送り込み、心拍数を増加させるが、これは心臓に大きな負担をかける。発汗が過度に続くと急激な脱水症状に陥ることもある。体温が上昇し続けると熱疲労や熱中症を発症する恐れがあり、特に後者は迅速に対処しなければ命に関わる緊急事態となる。
熱中症は暑さに関連する疾患の中で最も重篤なものであり、緊急の医療処置が必要だ。これは、体の自然な冷却機能が限界に達し、体温を調節できなくなったときに発症する。米疾病対策センター(CDC)によると、熱中症の兆候には、ろれつが回らない、意識喪失、けいれん、非常に高い体温、そして皮膚が熱く乾燥するか大量に発汗することなどが挙げられる。迅速に治療しないと、熱中症は脳、心臓、腎臓などの臓器に永久的な損傷を与え、死に至ることもある。これらの症状が見られる場合は、救急医療機関に連絡するとともに、直ちに涼しい場所へ移動させる必要がある。迅速な冷却は命を救うことにつながるからだ。



