サンディスク(ティッカー:SNDK)の株価は、年初来で574%急騰しており(米国時間7月22日の終値時点)、AIブームがGPUメーカーにとどまらず、高性能ストレージ企業にまで拡大していることを浮き彫りにしている。
同社は2025年2月24日、ウエスタンデジタルからの分離を完了し、デビュー価格52ドルで独立企業として取引を開始した。それ以降の上昇率は約3000%に達する。AIサーバーには例外なく大量の高速ストレージが必要になる。投資家がその事実を認識するにつれ、サンディスクの長期的な成長期待も、株価も跳ね上がった。
しかし、6月22日につけた52週高値(日中取引)の2354.39ドルに達した後、株価は30%以上下落している。この軟調な動きは、強力な上昇トレンドにおける単なる健全な一時休止にすぎないのだろうか。それとも、より持続的な調整の始まりなのだろうか。さらに重要なのは、投資家はこの押し目買いをすべきかという点だ。
AI需要とNAND供給制約が生んだ、上期858%の株価上昇
歴史的に見れば、サンディスクが身を置いてきたのは低採算で景気循環の振れが激しい事業だった。そのサンディスクが、AIインフラ投資ブームの大きな受益者として台頭した。2026年上期の株価上昇率は858%に達し、S&P500種株価指数の構成銘柄で首位に立った。同指数内で2位だったマイクロン・テクノロジーの304%を、2倍以上も上回る伸びである。
AIデータセンターの急速な建設が、サンディスクのエンタープライズ向けSSD(ソリッドステートドライブ)需要を押し上げた。SSDはNAND型フラッシュメモリーを使い、AIの処理に必要な巨大なデータセットを保存する。供給側では、2023年のNAND市況悪化を受けた減産の影響が残り、異例の逼迫が続いていた。需要と供給のこの組み合わせが、ここ数年で最も強いNAND価格環境を生み出した。
(編注:NAND型フラッシュメモリーは電源を切ってもデータが残る不揮発性の半導体で、SSDなど保存用途に使われる。CPUやGPUの作業領域となるDRAMとは用途が異なる)
NAND市場の採算構造の変化と、サンディスクのストレージチップ「BiCS8」の旺盛な採用。この2つが同社の業績を劇的に改善させ、直近の2026年度第3四半期(2026年4月3日締め)にはデータセンター向け売上高が前四半期比233%増の14億6700万ドル(約2391億円。1ドル=163円換算)へ急拡大した。BiCS8は競合製品より小さな面積に約15〜19%多くのデータを詰め込むことができ、AIデータセンターのラックが占める物理的な面積を大幅に減らせる。消費電力もおよそ13%少なく、発熱も抑えられる。AIデータセンターが現在悩まされている2つの中核的な問題に、BiCS8はそのまま応えている。
S&P500とナスダック100組み入れが呼んだパッシブ買い
サンディスク株が相次いで株価指数に採用されたことも、パッシブ運用ファンドからの強力な買いを誘発した。始まりは2025年11月のS&P500指数への採用だ。続いて4月20日にはナスダック100指数に採用され、6月にはラッセルのグロース指数に採用された。
売上総利益率78.4%と9699億円の四半期売上高
サンディスクの第3四半期の売上高は前四半期比97%増の59億5000万ドル(約9699億円)とほぼ倍増した。非GAAPベースの売上総利益率(粗利益率)は前四半期の51.1%から78.4%へ拡大し、調整後の1株当たり利益(EPS)は278%増の23.41ドルに急伸している。同四半期のフリーキャッシュフローはおよそ30億ドル(約4890億円)で、借入金のない財務体質を維持し、60億ドル(約9780億円)の自社株買いも決議した。
第4四半期については、売上高が前四半期比30〜39%増の77億5000万〜82億5000万ドル(約1.26〜1.34兆円)、調整後EPSが28〜41%増の30〜33ドルになると見込む。次世代チップ「BiCS10」は、同社の技術的な優位をさらに広げると見られている。
バーンスタインとバンク・オブ・アメリカが目標株価を引き上げ
ウォール街は、サンディスク(SNDK)に対して極めて強気な姿勢を崩していない。根拠は、世界的なNAND型フラッシュメモリーの供給不足が複数年にわたって続くとの予想だ。
バーンスタイン・ソシエテ・ジェネラル・グループは最近、サンディスクの投資判断を「アウトパフォーム」で維持しつつ、目標株価を1700ドルから3000ドルに引き上げた。サンディスクの長期供給契約が、従来のテイク・オア・ペイ(引取基準)契約よりも、より有意義な下方リスク防止策になると考えているためだ。
バーンスタインの推計では、サンディスクの直近の契約には1ギガバイト当たり約0.29ドルの下限価格(フロア価格)が設定されており、これは2026年4〜6月期の平均販売価格とおおむね一致する。同じく長期供給契約で顧客を囲い込む競合のマイクロン・テクノロジー(MU)は、下限価格が現在の市場価格を大幅に下回る水準にある。契約期間では関係が逆転し、サンディスクの3〜5年に対してマイクロンは5年と長い。
バーンスタインのアナリストは、2010年を上回るメモリー価格の暴落という最悪のシナリオが発生したとしても、こうした長期契約が2029年と2030年の業績下方リスクを大幅に和らげると考えている。出荷量の60%がこれら契約でカバーされているため、平均販売価格がピーク時から1ギガバイトあたり0.11ドルまで下落したとしても、サンディスクの2030年度の1株当たり利益(EPS)は214ドルになるとされている。
また、バンク・オブ・アメリカのアナリスト、ワムシ・モハンは、投資判断「買い」を維持しつつ、サンディスクの目標株価を2100ドルから2500ドルに引き上げた。モハンは、前四半期比での成長率は緩やかになるものの、堅調な価格環境が2027年中頃まで続くと予想している。



