浮かび上がったパターンは明白だった。質問者が答えを知っており、ハンスの視界内に立っているとき、馬は圧倒的な確率で正解した。一方、質問者が答えを知らないと、ハンスの正答率はほぼゼロにまで落ち込んだ。プフングストは最終的に、ほとんど目に見えない要因にたどり着いた。ハンスの蹄打ちが正しい数に達したまさにその瞬間、質問者が無意識のうちに姿勢や緊張をわずかに変化させていたのである。馬は算数をしていたわけではなかった。ある意味で、それと同じくらい驚くべき正確さで人間の心を読んでいたのだ。
この出来事は、科学における罠に永続的な名前を与えた。「クレバー・ハンス効果(賢いハンス効果)」。動物が言語や概念を理解しているように見えて、実際には答えを知っている人間が無意識に発する手がかりを拾っているにすぎないケースを指す。
「話す犬」実験はどのように構築されたのか
これはまさに、サウンドボードを使うすべての犬につきまとう影であり、ロッサーノのチームがそれを排除することを軸に実験を設計した理由でもある。科学・医学分野の科学雑誌『PLOS ONE』に2024年に掲載された研究で、チームは59匹の犬を対象に、「outside(外)」「play(遊ぶ)」「food(食べ物)」といった実在の単語に加え、この研究のためだけに作られた意味のない単語を使ってテストした。その単語は犬たちが聞いたことがなく、既存の連想を持ちようがないものだった。
犬が実在する単語には反応し、意味のない単語には反応せず、しかもどの単語がどれであるかを実験担当者が知らない状況でも同じ結果が出るなら、それは犬が単語を読んでいるのであって、「クレバー・ハンス」とは異なり飼い主の反応を無意識に読み取っているわけではない、と証明できる。
別の研究の流れでは、犬が2つのボタンを続けて押すときに何が起きるかが調べられた。オンライン学術誌『Scientific Reports』に掲載されたその研究では、組み合わせはランダムではなく、人間が直前に押したものを単に反復しているわけでもないことが示された。範囲は限られているにせよ、偶然以上の何かが起きていることを示す実質的な証拠である。ロッサーノは、バニーが複数のボタンを連続して押す行動について、その構造が幼児が初期の言葉をつなげるやり方に似ていると説明している。完全な文法ではないが、無意味なノイズでもない。
科学者が「話す犬」に慎重であり続ける理由
こうした結果に期待を抱く研究者でさえ、慎重な姿勢は崩していない。2025年に『Scientific Reports』に掲載された研究では、録音音声の品質が低下すると、録音された単語を認識する犬の能力も目に見えて低下することがわかった。サウンドボードから再生される音はその薄っぺらな音質ゆえに、人間の声と比べると信号として弱いものになりがちだ。


