指針3:映像の力で、信じたいと思わせる。
脚本執筆ソフトで書き上げたストーリーは、そのままではまだ血が通っていない。ウェブサイトの優れたコピーに転用することはできても、人々の信頼を育むことはできない。物語を形にし、目に見えるものにしなければならない。人々に最初に何を見せ、次に何を感じさせるのか。どこで緊張感を高め、どこで納得感を与え、最後にどのような未来を思い描かせるのか。それを設計するのである。
指針4:単発で終わらせず、ストーリーを生み出す仕組みを構築する。
製品ローンチを適切に設計すれば、その後1年間にわたるストーリー展開の素材を生み出せる。創業者インタビューはソーシャルメディア向けコンテンツとなり、事業の核心となるメッセージは投資家に語るストーリーとなる。製品の価値を伝えるシーンはウェブサイトで活用でき、顧客の課題は営業メッセージへと姿を変える。そして、最も印象的なシーンは、広告や導入事例、解説動画、採用向けコンテンツへと展開できる。これこそが、単発の動画を作ることと、「ストーリー・システム」を構築することの違いである。
自らの判断を貫く
最後のアドバイスは、思考をAIに委ねてはならないというものだ。米国の人気コメディドラマ『Hacks』や『The Comeback』の中で描かれているように、AIが脚本家だけでなく、作品全体を統括する制作者の役割までも奪うのではないかという懸念が、ハリウッドで広がっている。これは、パテルが強調する「センス」の重要性に通じる。AIが強力な生成ツールであるからといって、クリエイターが自らの判断までAIに委ねるべきではない。
動画がコモディティ化した今、真の競争優位を手にするのは、SMFを重視するスタートアップである。なぜなら、視聴者が知りたいのは、製品の機能的な違いだけではないからだ。彼らが求めているのは、ブランドとのつながりである。ハリウッド誕生から1世紀以上、そしてMTV全盛期から歳月が流れた今、表現するツールは大きく変わったが、人間の根源的な欲求は変わっていない。
私たちは皆、ただ何かを感じたいのだ。


