和牛の赤身
和牛肉は、歩留まり、サシ(霜降り)、色沢、締まりとキメ、脂肪の色と質を基準に格付けされる。なかでも最も重視されるのがサシで、その指標は「BMS(Beef Marbling Standard、脂肪交雑基準)」と呼ばれ、1から12までの数値で示される。A5に該当するためには、BMSが8以上であり、なおかつ歩留まりや総合品質でも最高基準を満たさなければならない。
霜降りの多いA5和牛は脂が強すぎると感じる人には、もう一つの選択肢がある。日本産和牛の赤身の部位だ。
日本食肉格付協会の月次統計によると、日本国内の和牛市場全体の約70%をA5が占めているため、日本産和牛を購入するとなると、霜降りの強いA5に行き着く可能性が高い。ただし、肉質は個別の部位ではなく、枝肉全体で評価される。部位によって脂肪量は自然に異なるため、好みに合ったものを選ぶことができる。
実際、日本では、高齢化の進展や和牛価格の高騰を背景に、より脂の少ない赤身肉を求める消費者が増えている。
では、和牛のどの部位を選ぶべきなのか。
焼肉グレートの津川氏はこう語る。「肩から取れる『トウガラシ(チャックテンダー)』『クリ/シャクシ(オイスターブレード)』『ダイサンカク(チャックリブ)』が私のお気に入りです。適度な脂が上品に口の中で溶け、赤身ならではの豊かなタンパク質が、噛むほどに凝縮された旨味を引き立ててくれます。また、繊細な繊維が旨味を長く感じさせてくれる。リピーターの方は、この独特な味わいを求めて赤身の部位を選ばれる傾向にあります」
日本では、牛肉を細かく分割する精肉の慣行が一般的なため、こうした部位は容易に入手できる。米国などの海外では、特に枝肉ごと仕入れる専門肉店やレストランで見つけることができる。
「赤身の和牛は、寿司でいうマグロの赤身に似ています。最初は大トロの脂を楽しみますが、寿司を食べ慣れていくと、赤身の純粋な味わいに気づくのです。より多くの人に、赤身和牛ならではの味と食感を発見してほしい。きっとやみつきになりますよ」と津川氏は語る。
どのタイプの和牛を選ぶにしても、適正価格で楽しむために、以下の点を確認するとよい。
・日本産和牛かアメリカン和牛か
・(アメリカン和牛の場合)フルブラッドかクロスブレッドか
・どの地域/牧場のものか
・等級
和牛が米国で一般化しつつある今、日本産和牛とアメリカン和牛の違いを理解することは、シャンパンとスパークリングワインの違いを理解することと同じくらい重要になってきている。消費者の知識が深まるにつれて、和牛の産地や等級を明確に示すレストランはより信頼を得て、プレミアム価格を正当化できるようになるだろう。


