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ビジネス

2026.07.17 15:15

【30 UNDER 30特別対談】 AI時代、人は何に救われるのか──小杉湯原宿・関根江里子×LINEヤフー・川邊健太郎【後編】

「世界を変える30歳未満」30人の日本人を表彰する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」企画の特別対談シリーズ。今年6月で代表取締役会長を退任した同企画アドバイザリーボードで、『7つの激変 いかがわしい者たちが主役の「インターネット産業」30年史』の著者でもあるLINEヤフー川邊健太郎をホストに昨年から行ってきた本対談。今回の対談相手は、2025年の受賞者で、東急プラザ原宿「ハラカド」の地下1階に開いた「小杉湯原宿」を立ち上げた、小杉湯副社長、ゆあそび代表取締役の関根江里子。後編では関根の原点にある父との銭湯の記憶から、銭湯経営とLINEヤフーが掲げる思想との意外な接点、そして「どうすれば銭湯に投資するか」という率直な問いへと踏み込んでいく。 

(川邊氏には、7月19日・26日に公開する「30 UNDER 30」が手がける対話型のPodcast番組「3003(サンゼロゼロサン)」#99、100にも登場いただく)


原体験は、父と通った銭湯

川邊:受賞時のインタビュー記事で、以前スタートアップで取締役をされていた頃に、資本主義のレールに乗ることに疲れて銭湯に向かったという話がありました。資本主義に疲れるのは僕だってしょっちゅうですが、その行き先が銭湯になったのが面白い。なぜ銭湯だったのですか。

関根:父の存在が大きいです。私が生まれたときに父はすでに還暦で、清掃の仕事をしていました。中国出身の母と二人とも学歴で苦労してきたのですが、私には肩書きをつけてほしいということで、中学受験のために進学塾に通わせてくれました。

ところが、仕事着のまま迎えに来た父が差別的な目を向けられたことが何度もあるんです。「こんな身なりの人の娘が通っているはずがない」、と。同じ人間なのに、見た目ひとつで社会の目がまるで変わってしまう。その理不尽にずっと怒りを抱えていました。ただ、父と一緒にいて唯一そうした目を向けられなかった場所が、日課で通っていた銭湯でした。銭湯のなかでは誰も干渉せずに、「いつもの二人連れだな」と受け入れてもらえました。

ペイミーというスタートアップでCOOを務めていた頃、取締役会の帰りにふらっと初台の銭湯に入ったんです。何年も変わっていなさそうな、落ち着きのある場所でした。そこに身を置いたとき、父と一緒に風呂に入っていた頃を鮮明に思い出したんです。

毎日何もかもが変わり、SNSを開けば目まぐるしく話題が移り変わっていく社会のなかで、何も変わらないその場所に自分は救われた。こういう場所こそ今の社会に一番必要なのではないかと思えた瞬間に、「社会を殴ってやりたい」という気持ちが「社会を温めたい」に変わりました。

それまでの自分は、ずっと劣等感やハングリー精神で走ってきました。初めて何かをつくりたいというポジティブな気持ちになれたのがあの瞬間で、そこが自分にとっての起業家人生の本当のスタートだったと思います。

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加藤智朗=文 若原瑞昌=写真

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