3カ国の研究者グループが、警告を発した。AIが労働力にもたらす最大の危険は、雇用の喪失ではない。むしろ、人々がとりわけ楽しんでいる仕事の種類が消えていくことだという。
「AIの影響にさらされることの中心的リスクは、大量失業ではなく『大規模な士気低下(mass demoralization)』、つまり日々の仕事における意味や主体性の喪失であると、私たちは主張する」と研究者らは記している。研究のタイトルは「Are We Automating the Joy Out of Work? Designing AI to Augment Work, Not Meaning」(仕事から喜びを自動化して取り除いているのか? 意味ではなく仕事を拡張するAIの設計)である。
この危険がどれほど大きいのかを判断するため、南カリフォルニア大学、ケンブリッジ大学、トリノ工科大学の研究者らは、人々が日々従事している仕事の種類を詳しく調べた。具体的には、主にコンピューターを使って頻繁に行われる1万件超のタスクを分析した。
研究者らは、さまざまな職業の人々に、それぞれのタスクからどれほどの意味を感じているかを評価してもらった。チームはまた、「AI Impact Index(AI影響指数)」を用い、それぞれのタスクがAIの影響にどれほどさらされる可能性があるか、つまり「現在または近い将来のAIシステムが、そのタスクを実行する、あるいは大幅に高速化することが現実的に可能か」を調べた。
「懸念されることに、労働者が主体性や幸福感と結び付けているタスクが、不均衡にAIの影響にさらされる可能性があることがわかった」と、Jaspreet Ranjit、Swabha Swayamdipta、Ke Zhou、Daniele Querciaは、コンピューティングシステムにおけるヒューマンファクターを扱うCHI Conferenceで発表した研究で述べている。
反復作業は取り除き、目的ある仕事は守る
これは、私が自分のチームでAIの活用方法を設計する際に注意している現象である。また、NextivaのAI搭載型統合カスタマー・エクスペリエンス管理(UCXM)プラットフォームを業務の中核として導入する顧客とも、この点について議論している。
目指すべき姿は、AIに雑務を任せ、人間は最も得意なこと、すなわち創造的なアイデアの探求、問題解決、そして本物の人間関係の構築を担うようにすることだ。人々がしばしば特別な誇りを持つような仕事である。
私のチームは、AIが定型業務を処理する一方で人間を「ループの中」に留めるよう、コミュニケーション・ソリューションを設計している。顧客との対話がより深い思考、複雑さ、創造的な問題解決を必要とする場合、人間が介入すべきタイミングでアラートが出るようになっている。エージェント型AIやAI受付のようなテクノロジーが定型業務や一般的な質問への回答を担うほど、従業員はより充実した経験に自由に取り組めるようになる。
この新しい研究は、AIが定型的な顧客対応業務を担うことの利点にも言及している。「例えば顧客サポートにおいて、生成AIシステムの使用は平均して約14%の生産性向上と関連しており、経験の浅い労働者では1時間あたりに解決される問題の数が約35%増加する」と述べている。
幸いなことに、この研究では、関係構築や感情認識を伴うタスクの大半は、AIの影響にさらされる可能性が低いことがわかった。では、どのようなタスクがリスクにさらされているのか。多くの場合、人々が特定の学習済みスキルを用いる「高い主体性」を伴うタスクである。
例えば、アートディレクターは、AIツールに任せるのではなく、自分で最初のレイアウトやデザインを作成したいと答えた。エンジニアは、実験的、環境的、あるいは運用的なテストやプロトタイプの計画を自ら考え出す方を好むと述べた。サステナビリティ担当者は、エネルギー使用や資源保全に取り組む戦略を、AIツールに委ねるのではなく自分たちで構築したいと明言した。
研究は、組織がワークフローをラベル付けされた段階に分解し、各段階で労働者がAIのオン・オフを切り替えられるようにすることを推奨している。
好循環がもたらす恩恵
起業家であり事業リーダーとして、私は長らく、自分のしていることを楽しめば、はるかに上手くこなせるようになると信じてきた。その楽しさは、長期にわたって成功し続ける原動力にもなる。スティーブ・ジョブズはこう述べた。「それをやっていて楽しくなければ、本当に愛しているとは言えず、いずれ諦めることになる」。
雑務がなくなると、従業員は誰にも頼まれていない問題を自ら解決し始める。新しいことに気づき、アイデアを発展させる。会社そのものが変わっていく。
そして顧客はその違いを感じ取る。「感情伝染」として知られる現象で、顧客は企業の従業員が仕事に対してどう感じているかを察知する。従業員が満足していればいるほど、顧客も満足する。両者は好循環の中で互いを高め合うのだ。
最終的に、あらゆるビジネスの成功は、顧客に提供する経験の質によって決まる。誰も意欲を失うべきではない。誰もが価値を認められ、感謝され、そして喜びを感じるべきなのだ。



