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マーケティング

2026.07.16 09:41

データでは届かない「共感」の力──ポスト真実時代のマーケティング

Adobe Stock

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結婚やパートナーシップが長く続くためには、「欲する気持ち」が必要だ。愛情、尊敬、信頼、理解……どれも不可欠だが、「欲する気持ち」こそが感情的な絆を強くする。

人生と同じく、ブランドマーケティングもそうだ。私たちは消費者に自社ブランドを欲してほしいと願う。しかし、真に消費者を理解するためには、私たち自身も同じくらい強く彼らを知りたいと願わなければならない。彼らを突き動かすものは何か、儀式や悩みは何か、どのように独自の文化を作り上げているのか。相互の「欲する気持ち」がなければ、愛もロイヤルティも損なわれてしまう。

マーケティングが機能し、ブランドが存在意義を保ち続けるのは、偏見を乗り越え、知識のギャップを埋め、異なる背景の人々に共感できたときだけだ。

データは役に立つが、取引情報には感情や親密さが欠けている。知識は与えてくれるが、共感が引き出す繊細な理解は与えてくれない。人々をより深く知ろうと願うこと──彼らの立場に立ち、彼らの世界や、製品が彼らの人生をどう形作っているかに好奇心を持つこと──により、私たちは次のことができる。

・関係を単に観察するのではなく、そこに参加する

・よりパーソナライズされた体験を提供し、関わっていく

・複数の瞬間を重ねて親密さを築く

ブランドの失敗はしばしば、やり取りが共感的に「人間的」でないことによる、理解の欠如から生じる。

何が重要かを理解する

こうした理解こそが、私たちのエージェンシーが毎年発行する「What Matters」レポートを支えている。同レポートでは、カルチャー戦略コンサルティング部門であるSpace Doctorsと共に、人々やブランドを形づくる新たなテーマを特定している。これは、かつて成功するCEOに不可欠だった「現場を歩く」姿勢の私たち流の実践であり、今日ではさらに重要だと考えている。

データドリブンのインサイトの不確かさによって疑念と不信が増幅する世界では、私たちは人々のいる場所に足を運ばなければならない。この「低信頼・ポスト真実」の世界において、文化的理解はアドバンテージとなる。アルゴリズムはパターン認識のエキスパートだが、文化の核心はニュアンス、実体験、そして矛盾のなかにある。

企業は往々にして、文化に参加するのではなく、文化に反応する。オーディエンスとの帰属を求めるのではなく、コミュニケーションを一方的に発信する。バドライトが、オーディエンスの感情を十分に理解しないままトランスジェンダーのインフルエンサーとパートナーシップを組んだ例を考えてみよう。反発と売上の急落は、マーケターとオーディエンスの間の共感ギャップの直接的な結果だった。このギャップを埋めれば、ブランドはより意味を持つ存在になれる。

共感ギャップを解消する

では、どうすれば共感ギャップを埋められるのか。

まず、「言うこと」と「行うこと」のギャップを埋める行動科学の原則を用いて、人間全体を理解しようと試みることだ。それには、調査データであれ合成データセットであれ、偽のブランド資産や意思決定の入力情報を、よりよく監視することも欠かせない。マーケターはデータリテラシーは高いが、急速な技術的・社会的変化のために顧客との感情的なつながりが薄れている。

だからこそ、ブランドはオーディエンスの注意を引くだけでなく、彼らとつながる必要がある。オーディエンスの価値観、情熱、共通の関心事や会話──彼らが自らを定義するもの──を理解することで、コミュニティを対話と共創へと導く双方向の関係を育むことができる。AIがマーケティングの大部分を自動化するにつれ、メッセージはより画一的で使い捨て的になるリスクを抱える。そのとき、「帰属」が新たな差別化要素となる。AIは信頼や文化的関連性を作り出せないからだ。

第三に、ブランドはオーディエンスの複雑な文化的生活に参加すべきだ。消費者行動は、彼らのコードや会話、そして常に向き合っている個人的・社会的変化によって形作られる。

変革を推進する

文化を理解する方法にはさまざまな形がある。戦術的な意味では、ブランドはデザインやパッケージング、記号論的分析、あるいはコミュニケーションの意味を解読する時間をかけることを通じて、これを最適化できる。こうした戦略はブランド変革を大きく推進する。

マイクロソフトは興味深い事例を提供している。テクノロジーが日常生活にますます組み込まれるなか、人々が製品をどう使うかを理解するだけでは不十分になっている。より深い課題は、変化する文化的文脈の中でテクノロジーが何を意味するかを理解することだ。これを探るため、マイクロソフトは私たちのカルチャー戦略コンサルティング・チームを起用し、機能的行動を超えて、人々のテクノロジーとの関係を形づくる文化的な力を検証した。記号論的分析と文化的インサイトを組み合わせることで、変化する職場の規範、デジタル習慣、社会的期待が、生産性、創造性、アイデンティティにまつわる考え方をどう再構築しているかを明らかにできた。

この調査から得られたインサイトによって、マイクロソフトはナラティブとソリューションを、人々の実際の暮らし方や働き方により本物として響く方向へ進化させることができた。その結果として生まれたのは、技術的能力だけでなく、文化的関連性と人間の真実に根ざしたイノベーションだった。

データは私たちの知識を増やすため、頭に働きかける。しかし共感は理解をもたらすため、心に働きかける。そして意思決定を巡って創造性、行動、インパクトを生み出すのは、心だ。

多くのリーダーは、消費者の生活の実態からあまりに遠く離れている。おそらく、その生活に深く入り込みたいという欲求が欠けているのだろう。しかし繰り返しになるが、人々に自社の製品を欲してほしいと願うなら──そして彼らの生活の中で意味を持ち続けたいなら──私たちも同じだけ彼らを欲する姿勢を示さなければならない。

私たちのチームが手がけたヘイレオン(Haleon)のConnectsプログラムは、共感を大規模に組み込む好例だ。事業全体のチームが消費者と直接関わることを可能にしたことで、社内のサイロを解消し、実際の人間の体験を日々の意思決定に持ち込んだ。従業員は企業のバブルから抜け出し、自身の健康やウェルビーイングを管理する人々と一対一でつながり、データセットの向こうにある実生活への深い理解を得た。

このアプローチはインサイトを民主化し、消費者との感情的なつながりを強め、戦略やイノベーションが本物の人間理解に基づいていることを保証する。組織全体で、より関連性が高く人間中心の成果を生み出す原動力となる。

チームは「現場」に戻り、知識を民主化し、インサイトを戦略に結びつけ、ブランドと消費者の関係を強化することで、「企業のバブル」から抜け出せる。

低信頼・ポスト真実の世界では、私たちはより深く踏み込み、他者の世界に浸り、数字や集計、グラフ、2次元の静止画像などを介さずに一対一で関わらねばならない。それこそが、単なる合理的共感ではなく感情的共感を築き、真実を認識し、関係を強化する方法だ。関係は相互の「欲する気持ち」の上に築かれるべきなのだ。

forbes.com 原文

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