【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

リーダーシップ

2026.07.16 08:34

AIが進化する時代こそ、成功を生むのは「人間の力」である

stock.adobe.com

stock.adobe.com

人材紹介企業のCEOとして、私は自動化の余地が極めて大きいビジネスを経営している。AI(人工知能)ツールは、履歴書の選別から面接の日程調整、さらには一次選考の面接の実施に至るまで、採用プロセスに関わる膨大なタスクを代行できる。そのため、私がAI革命に急いで飛びつくことに慎重であると知れば、意外に思われるかもしれない。もちろん、従業員の生産性を向上させ、より優れたインサイトを得る上でのAIの価値は認めているが、ビジネスのあらゆる側面にAIを導入するつもりはない。

タイガー・リクルートメント(Tiger Recruitment)では、社内外を問わず、人間関係が活動の中核をなしている。コラボレーションは私たちの文化の根幹であり、ビジネスとして成功するための鍵である。同僚が別の同僚に潜在顧客を推薦することであれ、新任マネージャーの研修を通じて各リーダーが他のマネージャーと直接対話し、ビジネスの仕組みを理解できるようにすることであれ、焦点を当てているのは「いかに互いを助け合えるか」だ。企業が急いで大規模な自動化を進めると、こうした関係性は容易に忘れ去られてしまい、問題が発生した際に対処することがはるかに難しくなる。

世界経済フォーラムの「2025 Future of Jobs report」は、これからの労働力にとって重要となる人間ならではの資質をいくつか挙げている。批判的思考と判断力、レジリエンス、リーダーシップ、創造的思考などであり、いずれもアルゴリズムで自動化できるものではない。業務が自動化され、その出力が暗黙のうちに信頼されると、誰も気づかないままミスが起こる。AIの成果物に疑問を持つことを従業員に積極的に奨励する文化や、人間による最終確認を必須とする文化を運用することは、こうしたリスクの軽減に役立つ。

また、AIは求人票の下書きを作成したり、面接の質問を考案したりする点では効果的かつ効率的かもしれないが、新しいアプローチをブレインストーミングしたり、顧客との厄介な問題を解決したりする際に、「型にはまらない思考」をすることはできない。将来の労働スキルに関する議論では、感情的知性(EQ)と創造性が、自動化が最も困難な能力の2つとして一貫して指摘されており、これらの資質は最も革新的な企業の中核をなしている。同様に、AIが多くのリーダーの追随を許さないほどのスピードで変化するなか、適応力と走りながら学ぶ意欲は極めて重要である。

急速に進化するこの市場において、最も強い企業とは、AIを単なる労働代替技術としてではなく、従業員の仕事を拡張・増幅する技術として捉える企業だろう。そうした企業は、顧客への迅速な対応や超高速でのデータ処理といったAIツールの「機械としての強み」と、人間の従業員の判断力やリーダーシップ能力を意図的に組み合わせる。彼らは「AIでどのタスクを代替できるか」と問うのではなく、「AIが日常業務を処理することで、人間のどのような意思決定の価値が高まるか」と問いかける。顧客関係におけるAIの役割が一例として挙げられる。AIチャットボットが問い合わせに迅速かつ効率的に対応して情報を収集し、人間の従業員がその関係性を育みながら、全員にとって最適な解決策を導き出す。

ビジネスリーダーとして、潜在的な優位性を逃すまいと最新のトレンドに飛びつきたくなる誘惑は非常に強く、AIについてもそうした状況が常に見られる。誰もが知る著名な企業が、業務の大部分を自動化してAIの出力に依存した結果、十分な監視や抑制を行わずにデータを未知の領域へと送信していたことに後から気づく、という事態が起きている。生成AIツールにどのようなデータを入力しているのか、出力をどのように利用しているのか、そしてそれを誰と共有しているのかについて十分な検討がなされないまま、従業員が業務でいかにAIを活用しているかに応じてインセンティブが与えられている。AIを責任ある方法で使用する上では、現実的なガバナンス方針が鍵となる。

新薬や、インターネット、ソーシャルメディアの黎明期と同じように、この比較的新しい技術が最終的にどのような恩恵と害をもたらすのか、私たちは必ずしもわかっていない。私の受信トレイは、自社のAIシステムがいかに私のビジネスに革命をもたらし、売上を向上させるかを売り込むベンダーからの営業メールで溢れており、これらの企業は四半期ごとに新しい何かを競って売り込もうとする。市場への早期参入のみを目的にしているとすれば、研究開発はどうなってしまうのだろうか。AIが労働力を代替するのではなく、どのように再形成していくかについて長期的な視点を持つことは、過度な警戒ではなく、賢明さである。

AIが業務を自動化すればするほど、信頼の価値は高まる。リーダーにとって、これはガバナンス、コーチングとメンタリング、部門を超えたコラボレーション、そして適応力を強化することを意味する。AIは従業員のアイデア出しをサポートし、特定のタスクをスピードアップさせることができるが、未来を見据えるCEOは、斬新な思考、失敗から学ぶ姿勢、他者との協働といった、人間独自の特性を評価するだろう。彼らは、AIによる効率化がコスト削減を生み出す一方で、成長をもたらすのは人間の好奇心であることを理解している。

forbes.com 原文

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事