6月下旬に欧州を襲った大規模な熱波は収まったものの、異常な高温は、猛暑による疲労が和らいだ後も警鐘を鳴らし続けている。これまでは「温暖な気候」、あるいは「夏の暑さに十分適応している地域」と考えられていた欧州に、地球温暖化が真っ向から押し寄せている現実を住民は痛感した。
ウィーン、ベルリン、パリ、プラハといった都市では、統計上100年に1度しか起こらないとされる熱波により気温が軒並み40度前後を記録し、適切な社会基盤の整備や公衆衛生対策、特に欧州が後れを取っている冷房の普及といった問題が急速に浮上した。
欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」と世界気象機関(WMO)が4月に発表した報告書によると、欧州は陸地のない北極圏に次ぎ、世界で最も急速に温暖化が進んでいる地域であることが明らかになった。報告書によると、欧州で気候変動が加速しているのは、大気循環パターンの変化によって高温の気候がもたらされていることに加え、同地域の空気が比較的清浄で、太陽光を宇宙へ反射する微粒子が少ないことも一因となっている。
過去30年間、欧州では10年当たり0.56度の気温上昇が見られた。これに対し、アジアでは0.46度、北米では0.42度、アフリカでは0.36度だった。世界の陸地全体では、同期間に10年当たり0.4度の温暖化傾向が示された。
熱中症による死者が絶えない欧州
初期の推計によると、6月22~28日までの短期間で、欧州では2万人が猛暑により死亡したとみられている。高齢者だけでなく、暑さへの対処法を知らない幼い子どもたちも高温の影響を受けやすい。実際、欧州は過去数十年間で熱中症による死者数が最も急速に増加している地域の1つだ。これは、急速な温暖化と高齢化が進んでいることが原因だ。



