サッカーW杯北中米大会も残すところわずかとなったが、海外から観光客が殺到して米国経済に活況をもたらす、という期待が現実となる可能性はますます低くなっている。これはスポーツ経済学の専門家らがフォーブスに語った分析結果だ。
W杯は6月11日(日本時間12日)に開幕し、27日(同28日)までグループステージが行われたが、米商務省傘下の全米旅行観光局(NTTO)のデータによると6月の訪米外国人旅行者数は前年同月比で実質横ばい(0.2%増)にとどまった。
6月の訪米者数は、常に外国人入国者数の上位1、2位を占める欧州とアジアからが前年同月比でそれぞれ1.2%減、5.6%減となった一方、入国者数が比較的少ないアフリカと南米からは、順に13.8%増、4.7%増となった。
旅行・宿泊業界における指標となっている不動産データ分析大手の米コスター・グループによれば、W杯開催都市のホテルでは平均客室単価が上昇し、1室あたりの収益も増加したものの、客室需要や稼働率には増加は見られなかった。
国際サッカー連盟(FIFA)の事前分析では、W杯開催により米国には305億ドル(約4.9兆円)の経済効果が生じると見積もられていた。だが、この試算は在米のサッカーファンよりも1人あたりの支出額がはるかに多い外国のサッカーファンが大挙してやってくることを前提としたものだった。
なお、米ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によれば、FIFAは90億ドル(約1.5兆円)の収益を見込んでいる。
スポーツ経営学に詳しい米ノースカロライナ州立大学のマイケル・エドワーズ教授は、スポーツの経済効果に関する議論には「よく似た傾向がある」と指摘。「ほとんどの場合、公的支出を振り向けて民間事業体に利益をもたらすことを正当化するために利用されている」とフォーブスに語った。
期待したほどサッカーファンは来なかった
米国がW杯開催を通じて何らかの恩恵を被ることは疑いようがないが、その経済効果は今やFIFAの予測よりもはるかに小さいとみられている。「FIFAはこうした数字を駆使して広報合戦を繰り広げている」と、スポーツ経済学が専門の米スミス大学のアンドリュー・ジンバリスト名誉教授はフォーブスの取材に述べた。「米国に305億ドルもの経済効果がもたらされるなど、最初からあり得ない話だった」。



