新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、リモートワークは一部の特権から主流の働き方へと変化した。同時に、柔軟性を重視する従業員と、オフィス回帰(RTO)を推進する雇用主との綱引きにも火をつけた。
2020年以降、リモートワークを行う人の数は4倍に増加している。労働者は、リモートワークを選択できる環境を圧倒的に好んでいる。人材紹介会社Robert Halfが最近実施した調査によると、完全に出社する仕事を希望するプロフェッショナルはわずか16%で、週5日の出社を求める仕事を検討すらするという人も25%にとどまる。
リモートワークがもたらす多くのメリット
リモートワークのメリットを軽視することは難しい。渋滞に巻き込まれる代わりに、通勤は廊下を歩くだけで済むかもしれない。1日のスケジュールを自分でコントロールしやすくなる。Zoomなどのオンライン会議の予定がある場合のみ上半身だけ身だしなみを整えればよく、それ以外の予定がなければ服装に気を遣う必要すらない。雇用主の所在地に縛られることなく、自分の住む場所を自由に選べることも多い。そして、生産性が向上したと感じられる(研究によると、実際に向上している)。
多くの人が手放したがらない特権
多くのプロフェッショナルにとって、リモートワークは最も価値のある福利厚生の1つとなっている。非常に人気が高いため、在宅勤務の特権を得るために給与の一部を諦めてもよいと考える人さえいる。
大半の研究では生産性の低下はほとんど、あるいはまったく見られないとされているが、多くの企業は、測定がより困難な要素、すなわちカルチャー、コラボレーション、メンター制度、および従業員同士のつながりを懸念している。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンをはじめとする一部のCEOは、全員を週5日出社させることを使命としている。実際、ダイモンはニューヨークのパーク・アベニュー270番地に、毎日満員にすることを望む広さ250万平方フィート(約23万平方メートル)の超高層ビル新本社を建設した。
リモートワークがメンタルヘルスに及ぼす影響
しかし、リモートワークには多くの人が気づいていない「隠れた代償」があるかもしれない。ニューヨーク連邦準備銀行、ハーバード大学、バージニア大学の研究者らが学術誌『Science』に発表した画期的な研究によると、リモートワーカーは主にオフィスで働く人々に比べて、1人で過ごす時間が大幅に長いことがわかった。
人間は、つながりを求めるようにできている。定期的な対面での交流は、ストレスを軽減し、気分を改善し、認知機能を強化し、帰属意識を構築するのに役立つ。こうした交流が失われると、メンタルヘルスが損なわれることが少なくない。同研究は、オフィスで対面勤務している人々と比べて、リモートワークは人々をより社会的孤立、不安、うつ状態に陥らせていると示唆している。
研究者らは、労働時間中に1人で過ごす時間が58%増加し、丸1日誰とも対面で交流しない確率が72%増加したことを突き止めた。また、リモートワーカーはメンタルヘルスのケアを求める傾向が強く、精神的な健康状態がより悪いと報告する割合も高かった。全体として、研究者らは「深刻な社会的孤立は、リモートワークがもたらした意図しない結果の1つであるようだ」と結論づけている。



