キャリア・教育

2026.07.25 14:15

森田真生と永井玲衣が語る「10代と世界についていかに対話するか?」

森田真生(左)と永井玲衣(右)。写真=高見尊裕

森田真生(左)と永井玲衣(右)。写真=高見尊裕

Forbes JAPAN2026年9月号は「THE BREAKOUT 次の成長株を追え」、「新時代のCFO——企業価値を最大化する攻めの財務」、「HOW DO WE LIVE? 今、10代と共有したい古典」の豪華3本立て特集。SNSの認知戦、国際情勢、気候変動、環境問題。私たちは今の社会課題といかに向き合うべきか。AIの躍進で改めて浮上する「人間とは何か」という問い。第3特集では、独自の視点で世の中を見つめる独立研究者や哲学者をはじめ、各界の研究者や作家、ゲームクリエイターと共に考える。

数学を通して人間に迫る著書『数学する身体』を2015年に発表。その後京都に拠点を構え、「いかに生きるか」をテーマに俯瞰的視点で歴史、科学、自然をひもとく執筆、講演活動を行う独立研究者の森田真生。「手のひらサイズの哲学」をコンセプトに、誰もがもつ個々の「問い」を解放する哲学対話のために日本各地を巡る永井玲衣。社会常識にとらわれない活動を通して、世の中に斬新な視点を届けるふたりに、「10代との対話」をテーマに語ってもらった。


森田真生(以下、森田):自身の子どもが生まれたときにも思ったのですが、「学び」ってとても面白い。人間って、新たな世代が生まれるときに、毎回受精卵からやり直しますよね。重ねた経験をデータとしてそのまま次に生まれた子どもにインストールできたら簡単ですが、そうではなくて、細胞ひとつから、受精卵から毎回やり直していく。そうすると、繰り返し同じことを学ぶことになります。実際、学校などの学びの場においては、遅れてやってきた新しい世代の人たちが、それをすでに学んだことがある人の前で学ぶという構造になっている。例えば、小学5年生で、分数の割り算を初めてやっている子どもたちの前で、分数の割り算を初めてやったときの自分を思い出しながら、大人がそばでこれを見ている。面白いのは、2回目だからこそ気づけることがあるということです。

僕は子どもを見ているとき、宇宙から地球を振り返っている気持ちになることがあります。誕生から40億年もの間、生命は地球の中にいた。でも最近初めて、この星の外に出た。そして振り返ってびっくりしたんです。暗黒の宇宙の中にあって、生命が湧き立つこの星の姿を見て、「さっきまで自分はあんなところにいたのか」と。

2歳の子どもが笑っているのを見ると、さっきまで自分もあんな場所にいたのか、と思います。2歳にはもう戻れないからこそ、2歳であることのすごさを鮮烈に感じる。大人と子どもが出会うこと自体が、特別なことなんだと思います。

高校生に向けて講演をするとき、以前は、自分もつい最近まで高校生だったという感覚でした。ところがいまや、自分より自分の息子たちの方が高校生に近い。たくさんの高校生たちを前にするとまず、健康で元気に育ってくれてありがとうという気持ちでいっぱいになります。

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