経営・戦略

2026.07.25 08:30

「AIぐるぐるモデル」で好循環。黒字化の先にあるAIベンダーの「重責」

春田 真|エクサウィザーズ代表取締役社長CEO

春田 真|エクサウィザーズ代表取締役社長CEO

Forbes JAPAN 2026年9月号は「次の成長株を追え」特集。日本経済を牽引する「次の主役」は誰か。フォーブス ジャパン編集部は、これまで大企業やスタートアップのランキング特集などを通じて、その担い手の活躍を追い続けてきた。今回、焦点を当てるのは、抜け穴となっていた中小型の上場グロース企業だ。マクロ経済環境が目まぐるしく変化し、株式市場においてもボラティリティの激しさが高まる昨今。相場を主導する大型株や半導体セクターに目が行きがちだが、中小型株のなかには、大きなポテンシャルを秘めた企業が多数存在する。圧倒的な勢いを伴って次なる成長ステージへ加速し始めた企業の可能性を探った。

上場後、初の通期黒字化を達成したエクサウィザーズ。AI導入の機運高まる市場環境と、独自の「3P」モデルが業績成長を後押しする。ビッグテックからコンサル、スタートアップまで競合ひしめく市場で描く勝ち筋とは。


エクサウィザーズが2021年12月の上場後、初の通期黒字に到達した。独自のAIプロダクトと、AIを活用して顧客の課題解決を一気通貫で支援するAIソリューションサービスというふたつの事業を両輪とする同社は、26年3月期に売上高119.9億円、営業利益15.9億円、純利益13.3億円を計上。3月には三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMFG)との資本業務提携と約53億円の第三者割当増資を発表するなど、さらなる成長に向けた打ち手を見せる。AIの浸透が企業のシステム投資の前提を変える今、社長CEOの春田真に展望を聞いた。

──26年3月期は増収増益で上場後初の通期黒字となった。足元の手応えは。

春田真(以下、春田初めて通期を通して利益が出る体質になった。牽引したのはAIプロダクト事業の急成長だ。AIソリューションサービス事業は上期まで、人員をプロダクト側へ移し、追加採用も抑える移行期にあった。人を絞った分、できる範囲で案件を絞り込んで回していたが、結果として収益性は大きく上がった。

その前提が変わったのが昨年夏だ。引き合いが急増し、顧客との接点、つまり「面」を広げれば事業はさらに伸ばせるという認識に至った。秋以降は実際に増員に動き、下期はAIソリューションサービス事業も成長に転じた。今期はプロダクトの伸びにこの上乗せが効く。素直に伸びる構図だと見ている。

──夏の引き合い増の主要因は。

春田:AIソリューションサービス事業は顧客と対話を続ける事業で、信頼と実績の蓄積が前からあった。そこへニーズが一気に顕在化した。変わったのは案件の時間軸だ。以前は3カ月、6カ月の案件を終えるたびに「次はどうする」という話だったが、今は1年、2年、3年の中期で一緒にやろうという申し出が増えている。互いのコミットメントをかたちにしたひとつが、SMFGとの資本業務提携だ。

一社に深く入る意味は大きい。営業コストをかけてあちこち回らずに済むうえ、狙える予算の桁が変わる。企業のIT予算はもともと、SIer向けが最も大きく、そのなかにDX、さらにその一部にAIに対する予算が含まれるという、入れ子の構造だった。これがAX(AI Transformation)として融合していけば、我々が向き合う市場はむしろこれから立ち上がっていく。

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文=加藤智朗 写真=ヤン・ブース

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