私たちは、AIの真価が問われる時代に入った。ここ数年、人工知能は取締役会、投資家向け説明会、戦略策定の場を席巻してきた。しかし、初期の過熱が冷めつつある今、実際の財務リターンは著しく二極化していることが明らかになっている。
PwCの「第29回世界CEO意識調査」によると、現在の世界のビジネス環境は2つの明確な陣営に分断されている。企業全体のわずか12%で構成される極めて有効な「先進層」が存在する一方で、それ以外の企業は成果を出せず足踏みしている。データは厳しい現実を示している。プライベートエクイティおよびプリンシパル投資家(PE&PI)のCEOの実に64%が、過去12カ月のAI施策についてコストへの影響はまったくなかったと回答し、82%が収益への影響はなかったと答えている。全体として、企業にとっての究極の目標である「収益成長とコスト削減の同時達成」に成功しているのは、この12%の先進層だけである。
「実験的AI」の罠
なぜ大多数のリーダーが苦戦しているのかを理解するには、私たちがこの技術をどう捉えているかを見る必要がある。私の経験では、多くの経営幹部は「パイロット版の煉獄」とも呼べる状態に陥っている。つまり、AIを表層的な追加機能として導入しているのだ。たとえば、マーケティングチームに生成テキストツールへのアクセスを与えてより良いメールを書かせる、あるいは顧客サービスページに基本的なチャットボットを設置してFAQ対応をそらす、といった具合である。
これらは、孤立した実験的な導入にすぎない。事業の中核的なワークフローを根本的に変えるものではないため、通常、人員削減や中核取引の迅速化、運用コストの削減には大きく寄与しない。実際には、高額なエンタープライズ向けソフトウェアライセンスの追加や、新たなIT監督人材の必要性によって、コストを増やすことさえある。AIを事業の中心エンジンではなく周辺ツールとして扱う限り、投資対効果は低くなりがちで、場合によっては存在しない。
対照的に、PwCの調査は、先進層の44%がAIを中核的な製品、サービス、顧客体験に直接組み込んでいる一方、多数派ではその割合がわずか17%にとどまると指摘している。
トランザクション革命を築く
私が見てきたところでは、とりわけ複雑で規制の厳しい、従来は膨大な手作業に阻まれてきた業界では、AIを実験から基盤的な運用インフラへと移行させることが重要である。そのために私が推奨する方法の一つが、「生成」AIから「決定論的」AI、すなわち意思決定インテリジェンスへと移行することだ。
標準的な大規模言語モデルのような生成AIは確率論的である。訓練データに基づき、文中で次に来る可能性が最も高い語を推測する。アイデア創出や創造的なプロンプト生成には適しているが、重要な金融取引やコンプライアンス関連の処理に使うべきではない。申請書や契約書にハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)による誤った数字が入り込めば、重大な規制上の罰金につながりかねない。
決定論的AIは、厳密な計算、厳格なガイドライン、リアルタイムのコンプライアンス枠組みに基づき、同じ入力に対して毎回同じ答えを生成するよう設計されている。私の経験では、適切な領域で決定論的AIを実行すれば、意識的または無意識的な人間のバイアスを取り除くという、社会的にも規制上も重要な利点にも対処できる。
能動的なリーダーシップと効率化の枠組み
あまりにも多くのCEOが、AI戦略をCスイートから主導するのではなく、IT部門に委ねている。彼らはAIを根本的な事業変革ではなく、ソフトウェアのアップグレードとして扱っている。能動的な実行とは、テクノロジーの速度に合わせて組織設計を変える勇気を持つことを意味する。たとえば、数秒で文書を処理できるAIを導入したにもかかわらず、「組織図が昔からそうなっているから」という理由だけで、処理を数日遅らせる旧来型の人間によるレビュー層を残すべきではない。
高収益の先進層へ移行するには、目標設定とAI効率の追跡方法を完全に変える必要があるかもしれない。始めるにあたり、次の枠組みを活用できる。
虚栄の指標から価値の指標へ移行する
「AIを導入すること」は目標ではない。それは目的達成のための手段にすぎない。従業員の80%に新しいAIツールへログインさせる、といった目標を設定してはならない。代わりに、取引の速度を追跡すべきだ。中核サービスのエンドツーエンドの処理時間を、具体的な割合で短縮する目標を設定する。新しいAI機能を導入しても処理時間が停滞したままであれば、その機能は失敗している。
人的資本の再配分を目標に設定する
コスト削減のために従業員の一定割合を単に削減することを目指してはならない。私の経験では、AIの真の力は、人間にしかできないこと、すなわち関係構築、複雑な感情的判断の舵取り、共感の発揮に人間を振り向けられる点にある。
たとえば、定型的なデータ入力を自動化し、その人的時間を高密度な顧客アドバイザリーやアウトバウンド営業の創出に再配分する目標を設定できる。また、アウトバウンド営業活動の量を追跡し、運用時間の削減が収益創出活動の測定可能な増加につながっているかを確認することもできる。
決定論的な精度とリスク低減を測定する
リスクを扱う業界において、生成AIによる推測は大きな負債になり得る。中核的なコンプライアンスチェックを担う決定論的AIの導入を検討し、規制リスクの範囲を縮小するために、ばらつきゼロの精度を目標にすべきだ。「エラーに起因する手戻り」の削減を追跡する。AI処理されたタスクを人間が修正しなければならない回数をゼロに近づけることを目標にするのである。
AI主導の収益創出を追跡する
AIは単なるIT項目のコストではなく、大きな利益センターであるべきだ。AIがマーケティングコピーを書けるかどうかを見るだけでなく、新規リードの一部について、案件の特定、エンゲージメント、組成にAIを活用することを検討すべきである。どの案件がAIの直接的な支援によって発掘され、育成され、または成約に至ったのかを正確に追跡する。
最後に
経営幹部の半数以上が人工知能から財務的な利益を得ていないと見ている事実は、技術の欠陥ではなく、実行の拙さを映し出していると私は考えている。孤立したパイロットプログラムで実験する段階は終えるべきだ。代わりに、価値主導の野心的な目標を設定し、決定論的な成果を追跡し、AIはもはや事業のための単なるツールではなく、事業そのものの新たな基盤になり得るという揺るぎない確信を持って実行するべきである。



