自信の根拠を尋ねると、徳重は海外の防衛テックを引き合いに出してこう語った。「防衛テックのトップ、アンドゥリルの評価額は9兆円で抜けています。次のグループのクォンタム、ハルマッタンAI、レッド・キャットといった企業は、かなり開きがあって3000億~5000億円程度。私はこのグループの主力ドローンよりも、テラドローンのほうがイケてると思っている。もう少し実績を出せれば、この層には追いつける。時価総額3000億円から逆算した当社の株価は3万円程度。自分は強気どころか、保守的に下限行使価格を見積もったつもりです」
とはいえ、もくろみ通りに企業価値を高められなければ資金調達できず、開発やM&Aが停滞してグローバル戦略が瓦解してしまう。
なぜリスクのある道へと自分を追い込んだのか。インタビュー中は未来の話ばかりしていた徳重が、珍しく過去を振り返った。「最初にEVで起業したのは、日本の産業を復活させたかったからです。ただ、四輪ではなく、現実的にできそうな二輪三輪にいってしまった。後に中国のシャオミが後発ながらEVで成功したように、できない挑戦ではなかったのに、腹をくくり切れなかった」
当時、四輪に挑まなかった悔いは、今も棘のよう心に刺さったままだ。
「今回は私にとってリベンジ戦です。ここで本気で勝ちにいかなかったら、日本から防衛ドローンのプレイヤーがいなくなり、四輪EVの二の舞になる。もう悔いは残したくない」
徳重によると、迎撃ドローンの椅子取りゲームは26年内に決着がつくという。来年の正月は勝者として迎えるのか、それとも一敗地にまみれ、起死回生の一手を打つためにまた勝負の地に飛ぶのか。答えが出る日は遠くない。

Terra Drone◎2016年2月設立。ドローンを測量や点検、農業に活用するソリューション事業と運行管理事業を展開。26年1月期連結業績は売上高が前期比7.8%増の47.8億円、営業損失が11.4億円。従業員数は624人(海外連結含む)。防衛分野での無人システム需要を受けて26年3月、迎撃用ドローンを主軸に防衛装備品市場へ本格参入。5月には防衛装備庁から国産ドローンを300式、総額1.15億円を受注した。
とくしげ・とおる◎1970年生まれ、山口県出身。九州大学工学部卒。大手保険会社経営企画を経て米国でMBA取得。シリコンバレーでのベンチャー支援を経て、2010年にTerra Motors、16年にTerra Droneを設立。22年にはTerra Charge事業を立ち上げた。


