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2026.07.24 11:00

革新は下山で生まれる──レクサスが新型TZとESに込めた「DISCOVER」の哲学

発表会での集合写真。左から、新型TZチーフエンジニアの宮浦猛、Lexus International Co.Presidentの渡辺剛、CBOのサイモン・ハンフリーズ、新型ESチーフエンジニアの千足浩平。

発表会での集合写真。左から、新型TZチーフエンジニアの宮浦猛、Lexus International Co.Presidentの渡辺剛、CBOのサイモン・ハンフリーズ、新型ESチーフエンジニアの千足浩平。

トヨタ自動車が公開したレクサスの新型「TZ」と「ES」の技術は、研究開発拠点「トヨタテクニカルセンター下山」(TTC-S)で磨かれた。その開発思想とブランド哲学に迫る。


1989年の誕生以来、レクサスは新たなラグジュアリー体験を追求してきた。そのさらなる進化を示すために、5月、研究開発拠点「トヨタテクニカルセンター下山」(TTC-S)でワールドプレミアムツアーが開催され、新型「TZ」「ES」が公開された。トヨタ自動車CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)のサイモン・ハンフリーズは、レクサスをこう再定義する。

「センチュリーがブランドとして独立し、スーパー・ラグジュアリーを担うことで、レクサスはラグジュアリーの中心で、さらに自由に進化できるようになりました」

それを体現したブランドメッセージとして「ジャパンモビリティショー2025」で掲げられたのが「DISCOVER―誰の真似もしない」。顧客一人ひとりに唯一無二の体験価値を提供するブランドとして、さらに変革することを宣言したのだ。今回公開された2車種も、そのコンセプトのもとに開発された。世界初公開された新型TZは、そこからさらに踏み込み、「DISCOVER LIMITLESS」というテーマが設定されている。日常のルーティンから解放され、新たな体験や冒険を可能にする。そんな願いが込められている。

サイモン・ ハンフリー ズ ◎Chief Branding Officer(CBO)
サイモン・ ハンフリー ズ ◎Chief Branding Officer(CBO)

妥協なく電動化へ踏み出す

レクサス初となるバッテリー式電気自動車(BEV)3列シートSUVであるTZのコンセプトは「Driving Lounge」。電動化技術による力強い走りと快適なラウンジ空間を両立することで、すべての乗員が笑顔になれる上質な移動空間を提供する。

航続距離の確保にはバッテリー性能だけでなく、高い空力性能が必要だが、空気の流れを緻密に制御することで、セダン並みの空気抵抗値を実現。1回の充電での航続距離は、最長620km(日本仕様のプロトタイプ値)に達する。

「これは妥協のないクルマであり、無限の可能性を発見するためのクルマです」とハンフリーズは力説する。BEVには、空力性能による室内空間の制限やバッテリーへの不安といった課題があり、ユーザーが我慢を強いられる場面もある。そのようにユーザーがクルマに合わせる必要がないのが、新型TZなのだという。

初公開となった3列シートSUVのTZ(プロトタイプ)。ボディサイズは5,100×1,990×1,705mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは3,050mm。重量は2,630kg
初公開となった3列シートSUVのTZ(プロトタイプ)。ボディサイズは5,100×1,990×1,705mm(全長×全幅×全高)。ホイールベースは3,050mm。重量は2,630kg。

新型ESもまた、妥協なく電動化へ踏み出すための後押しをする一台だ。2025年開催の上海モーターショーで世界初公開された4ドアセダンの新型ESは、ハイブリッド(HEV)に加え、シリーズ初となるBEVがラインナップされた。それにより、静粛性と乗り心地がさらに向上している。

BEVは床下に電池を搭載するため、どうしても全高が高くなる。そうした制約があるなか、新型ESは全長と全幅を広げることで、セダンとしての優雅で流麗なシルエットをつくり出している。

TZとともに発表された4ドアセダンのES(プロトタイプ)は、HEVとBEVをラインアップ。ボディサイズは5,140×1,920×1,560mm、ホイールベースは2,950mmで、重量は2,105〜2,185kg
TZとともに発表された4ドアセダンのES(プロトタイプ)は、HEVとBEVをラインアップ。ボディサイズは5,140×1,920×1,560mm、ホイールベースは2,950mmで、重量は2,105〜2,185kg。

「走る・壊す・直す」を繰り返す

まさに「DISCOVER」を具現化している両車種。その開発拠点が、愛知県豊田市・岡崎市にまたがるTTC-Sであり、今回のツアーではその現場も公開された。

その原点は約30年前、トヨタ自動車の現会長である豊田章男の「ニュルブルクリンクでしかできないことが、なぜ日本でできないのだろう」という問いにある。ドイツにあるニュルブルクリンクは、「スポーツカー開発の聖地」とも呼ばれるサーキットであり、自動車メーカー各社のテスト走行にも利用されている。厳しい道を走り、壊れた箇所を見つけ、その場で直し、また走る。このサイクルを一日に何度も繰り返すことで、クルマは鍛えられていく。こうした開発思想を日本で実現する場所として、TTC-Sは構想され、18年に建設が着工。24年3月に全面運用を開始した。総面積約650haの広大な土地に、カントリー路、高速評価路、特性評価路、ダートコースが整備されている。

トヨタテクニカルセンター下山の外観。総面積約650haの広大な土地に、カントリー路を備えた中央エリア、高速評価路・特性評価路を擁する東エリア、車両開発棟を中心とした西エリアで構成される。
トヨタテクニカルセンター下山の外観。総面積約650haの広大な土地に、カントリー路を備えた中央エリア、高速評価路・特性評価路を擁する東エリア、車両開発棟を中心とした西エリアで構成される。
開発やデザイン部門、オフィス、ガレージを集約した建物。デザインと整備現場を隣接させることで、情報共有とスピードの向上を実現している。
開発やデザイン部門、オフィス、ガレージを集約した建物。デザインと整備現場を隣接させることで、情報共有とスピードの向上を実現している。

最大の特徴は、壁のないワンフロア設計により、デザイン・設計、評価、整備といった一連の開発サイクルを拠点内で完結できる点にある。約3,000人に及ぶ多様な領域のメンバーが、レクサスやスポーツブランド「GR」の開発に取り組む。

デザインエリアで目につくのは、クレイモデルだ。仮想空間で正確に形状を確認することも可能だが、人の感性や職人の技を大切にしながらモノづくりを行っているのが、いかにもトヨタらしい。

TZのクレイモデル。本物と見紛うほどの高い完成度を誇る。
TZのクレイモデル。本物と見紛うほどの高い完成度を誇る。
モデラーが作業する様子。実物大のクレイモデルを用い、ボディの佇まいや面の美しさ、光の映り込みまで検証する。
モデラーが作業する様子。実物大のクレイモデルを用い、ボディの佇まいや面の美しさ、光の映り込みまで検証する。

ガレージエリアでは、テストコースを走ってきたばかりのクルマがリフトアップされ、エンジニアたちとプロドライバーたちが意見交換を行っている。

テスト走行中のTZ。テストコースで走り込み、「走る、壊す、直す」を繰り返す。
テスト走行中のTZ。テストコースで走り込み、「走る、壊す、直す」を繰り返す。

「ここは『もっといいクルマづくり』を続けるためだけにつくられた、世界でも類を見ない場所です。『走る・壊す・直す』を繰り返す。デザイナー、エンジニア、メカニック、ドライバーが一体となり、クルマを磨き上げていきます」(ハンフリーズ)

こうした厳しい環境のなかで鍛え上げられたTZとES。レクサスはTTC-Sを起点に、誰もまねできない、時代に合わせたラグジュアリー体験を追求し続ける。

LEXUS
https://lexus.jp/

Promotion by LEXUS | text by Fumihiko Ohashi | photographs by Shuji Goto | edited by Akio Takashiro