亜軌道宇宙観光セクターとその将来像についてNew Space Economyがまとめた興味深い報告の中で、ハーレーは「亜軌道チケット価格は、市場拡大の障壁として最大かつ唯一の論点となっている」と述べ、次のように続けている。「現状の20万~60万ドル(約3250万~9700万円)超という価格では、獲得可能な市場は超富裕層(UHNWI)に限定されてしまう。純資産3000万ドル(約48億7000万円)以上と定義される超富裕層は、2025年半ば時点で世界に51万810人しかいない」
だが、スペースXのような新興企業が弾道旅行の料金を劇的に引き下げれば、宇宙飛行の大衆化が急速かつ抜本的に進むだろうとハーレーは予測する。
「価格帯が90%値下がりして4万~6万ドル(約650万~970万円)になれば、亜軌道フライトは豪華クルーズや一生に一度の贅沢旅行と同等の扱いになる」とハーレーは説明。そうすれば「獲得可能な(潜在的な利用者の)人口は飛躍的に拡大し、世界に数千万人いる裕福な消費者も対象となる可能性がある」とした上で、「1回のフライトでより多くの乗客を運べる能力を持つスペースXのスターシップは、理論上はこの価格帯に近づくことができる」と述べている。
旅客輸送に革命を──でも乗り心地は「スペース・マウンテンのよう」
スペースXの経営陣はIPOのマニフェストでこう主張している。「当社はスターシップを用いて、超高速・長距離の地球上P2P輸送を開発する計画だ。旅客や貨物が現在の数分の1の輸送時間で主要都市間を移動できるようになり、前例のないスピードと効率で世界の物流と旅客輸送に革命をもたらす」
「宇宙技術の著しい進歩に伴い」とマニフェストは続く。「宇宙へのアクセスはいっそう容易かつ一般的になり、これにつれて有人宇宙旅行への関心も高まるとみている。当社としては、現在サービスを提供している市場に加え、変革的なブレークスルーを促進して全く新しい市場を創出する準備ができていると確信している」「やがて、これらの市場はいずれも数兆ドル規模の経済的機会をもたらすことになるだろう」
スターシップはまず都市間旅行や地球周回宇宙探査に投入されると考えられるが、より長期的な目標は「月・火星への定期的な旅客・貨物輸送」だ。
マスクは2019年、自身が買収する前のツイッター(現X)への投稿で、大陸間を縦横無尽に飛び交うスターシップの構想を説明。「ほとんどのフライトは15~20分しかかからない。基本的にはマッハ25(編集部注:秒速約8.5km)で飛行して着陸するICBM(大陸間弾道ミサイル)のようなものだ」と述べていた。さらに、離陸時に強烈な重力加速度(G)を伴うフライトの乗り心地について「ディズニーの(テーマパークにある)ジェットコースター、スペース・マウンテンのよう」だと例に挙げ、「多くの点でスペース・マウンテンと似た感じになるだろうが、降り立つのは別の大陸だ」と付け加えた。


