専門家によるTSMCの見通しへの評価
アナリストらはTSMCの見通しについて、おおむね楽観的な見方を示している。平均売上高予想によると、今後2四半期の売上高は前年同期比で35%を超える高成長が見込まれている。2026年通期の平均売上高予想は5.2兆台湾ドル(約26兆円)で、これは2025年比で36.5%増に相当する。
EPSの予想値もまた、成長が期待されていることを示している。アナリストは第2四半期のEPSをADR1口あたり3.83ドルと予測しており、前年同期の実績値である2.47ドルから55%増となる見通しだ。2026年通期のコンセンサス予想はADR1口あたり15.91ドルで、2025年から49.3%増の改善となる。
2026年下半期の強気シナリオ
調査会社カウンターポイントの推計によると、TSMCは2026年第1四半期に専業ファウンドリ市場で売上高シェア73%を占めた。この圧倒的な支配力は、世界最大手のテック企業にとって極めて重要な設計・製造パートナーであるという、TSMCの確固たる評判に裏打ちされている。このポジションにより、TSMCは現在も好調で、今後数年間は維持されると予想されている半導体需要から利益を享受し続けることがほぼ確実視されている。
同社の先端パッケージング技術は、生産能力の制約があるにもかかわらず、今後も差別化要因であり続けるはずだ。競合する技術は存在するものの、それらは成熟度が低い。さらに、プラットフォームを変更するにはチップの完全な再設計が必要となるため、CoWoSを前提にチップを設計した顧客は、そのまま利用を継続する傾向がある。
これらのトレンドは、TSMCが2026年下半期以降も力強い成長が見込める位置にあることを示している。
2026年下半期の弱気シナリオ
TSMCが米証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書には、技術の進化が非常に早いため「ファウンドリの顧客は通常、はるか前から発注を行うことはない」と記されている。つまり、AI関連支出が大幅に減速した場合、同社を守る防波堤は限られているということだ。AIチップ需要が突然枯渇すれば、その変化は数四半期のうちにTSMCの業績へ表れる。
短期的な急激な減速が発生した場合、その対応は極めて困難だろう。巨額の生産能力投資と競争の激化がまさに進行する局面と重なるためだ。
中台間の緊張の高まりも、差し迫ったものではないかもしれないが、TSMCにとってのもう1つの脅威だ。中国は、独自の政府による統治が行われている台湾を支配下に置く意図を長期にわたって表明している。TSMCの製造拠点の大部分は台湾に集中しており、軍事衝突が発生すれば、生産に支障が出る可能性が高い。
2026年3月、米国情報機関は、中国が2027年に台湾へ侵攻する計画は現時点でないと分析した。だが、侵攻がないと保証されたわけではない。


