リーダーシップ

2026.07.24 13:00

社内に潜むシャドーAI、なぜ優秀な社員が最高のAI活用術を隠すのか

stock.adobe.com

stock.adobe.com

あなたのチームのどこかで、ある従業員が、これまで2日かかっていた作業をAIを使って20分に短縮する方法を見つけ出した。その人物は、あなたにも同僚にもそのことを話していない。表向きは従来のやり方で仕事を進めて手に入れた空き時間を自分のために使い、その発見を独り占めしているのだ。

このように、優秀な人材が黙って自分のワークフローにAIを組み込んでいる状況を掛け合わせると、現在のビジネスにおける最も奇妙な問題の一つが浮かび上がる。すなわち、社内で膨大な価値がすでに創出されているにもかかわらず、それがほとんど共有されていないという問題だ。

これを「シャドーAIエコノミー」と呼ぶ。20万ドル(約3250万円)のコストが削減されても、共有される価値はゼロなのだ。

私たちは、つい「社員が縄張り意識を持っている」とか「自分だけの裏技を出し惜しみしている」と考えがちだ。だが、そうではない。彼らは合理的に行動しているのであり、否定的な認識はトップから始まっている。

リーダーシップ・研修会社Leadership IQがリーダー1251人を対象に実施した調査によると、現在約80%が個人的にAIツールを使用しているものの、46%は「AIが自分自身の役割に影響を与えるとは信じていない」か「確信が持てない」と回答した。この割合は2023年以降、ほとんど変化していない。

リーダーが陰でAIを活用しながら、公の場ではそれが業務に及ぼす影響を軽視するような態度をとれば、部下たちもまったく同じ行動をとるようになる。AIについて正直に語っても何の評価も得られないため、そうした「裏技」的な活用法は水面下で行われるようになるのだ。優秀な従業員がすばらしいAIの発見を独り占めする3つの理由は以下の通りで、従業員が怠慢だったり、不誠実だったりするからではない。

理由1:共有すると仕事が増えるから

画期的な効率化の方法を見つけ、それを共有したときに何が起こるか見てみよう。

あなたは、業務外で評価や手当の対象にもならない「社内AIコンサルタント」の役割を押し付けられてしまう。5人の同僚にワークフローを教え、プロンプトのライブラリを管理し、エラーが起きれば質問攻めにされ、丸1カ月の間「もう一度教えてくれないか」という同じ質問に答え続けることになる。自分自身の業務を効率化したことに対する報酬が、より重い仕事の負担なのだ。一方で何も言わない人は、浮いた時間をそのまま自分のものにし、好きなように使うことができる。

次ページ > すばらしい発見は個人的な秘密にとどまる

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事