ここで重要なのは、ある製品に「Made in Vietnam」と表示されていても、実質的にはかなりの部分が中国によって造られている場合があるという点だ。企業側から見れば、その些細な違いは決して安くはない代償を伴う。ベトナムで縫製されたジャケットが中国製のファスナー、生地、裏地を必要とするなら、ブランドは今や在庫を1カ所ではなく2カ所で抱える費用を負担しなければならない。部品はベトナムの工場に置かれ、完成したジャケットは米国の倉庫に置かれる。かつては1つの在庫の山を支えていた資金で、いまや2つの山を支えなければならないのだ。
もちろん、これは多角化への試みが過ちだったという意味ではない。企業(ブランド)がそもそもなぜ中国を離れようとしたのかを理解するには、過去10年間に彼らが受けてきた圧力を振り返る必要がある。
まずは2018年、トランプ政権下での中国製品に対する第一次関税措置(中国の知的財産慣行を標的とした25%の関税)があり、その後、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが単一国に依存するサプライチェーンを寸断した。さらに投資家は、中国への過度な依存を、多角化によって軽減すべきビジネスリスクとして扱うようになった。そして一部のカテゴリーでは、この移転が実際に功を奏した。木製家具を例にとると、2018年の貿易摩擦前、米国の木製家具の輸入に占める中国の割合は約40%だったが、2021年までに約15%に低下した。
一方でベトナムは、1%未満から約40%へと急上昇した。家具のように容積が大きくて高い関税が課される製品は、移転コストを吸収できるほど高価であり、かつ構造が単純であったため、移転を定着させることができた。
しかし、家具は例外だ。ほとんどの製品は、きれいに中国を離れられるほど単純ではない。そのため、ブランドは中国に代わる拠点を築くのではなく、中国の傍らにもう1つの拠点を構築する「チャイナ・プラスワン」と呼ばれる戦略をとっている。これは賢明な戦術だが、多くの製品にとって、中国への依存度を下げたというよりは、依存の場所を移したにすぎない。


