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AI

2026.07.17 18:00

テンセントの最新AI「Hy3」、モデル規模よりエージェント最適化に賭ける

Tada Images - stock.adobe.com

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米メタのマーク・ザッカーバーグCEOは先ごろ、AI企業は計算インフラの拡張と研究人材の増強との間で難しい選択を迫られていると指摘した。それでも、シリコンバレーの基本的な見方は変わっていない。競争の焦点は依然として「誰が最大のモデルを作るか」にある、という見方だ。

だが、テンセントが発表した最新モデルを見ると、中国の大手テクノロジー企業はまったく別の計算式で動いている可能性がうかがえる。

テンセントは先週、主力の大規模言語モデルの第3世代となる「Hy3」を正式に公開した。仕様は十分に競争力がある。Mixture-of-Experts(MoE、複数の「専門家」サブモデルを切り替えて使う方式)型アーキテクチャを採用し、総パラメータ数は2950億、推論時に有効化されるアクティブパラメータ数は210億、コンテキストウィンドウは256K(25万6000トークン)だ。ただ、目を引くのは規模ではなく、その位置づけである。テンセントはHy3を、ベンチマークで最高性能を競うためのモデルではなく、コーディング支援や企業の生産性ワークフローといった、実際の業務で使われるAIエージェントに最適化したモデルとして売り出している。

この打ち出し方の違いは、中国のAI業界全体で進む、より大きな方向転換を映している。ハードウェア面の制約が国内開発を左右し続ける中、中国企業はモデルの規模そのものよりも、導入効率と商用化を優先する傾向を強めている。問われているのは、この製品優先の戦略で、欧米の最先端モデルとの能力差を埋められるかどうかである。

ベンチマークの実像:エージェント性能に強み

第三者による評価からは、明暗の入り交じった実態が浮かび上がる。独立系AIコンサルティング会社Flowtivityによると、エージェント型の検索や複数ツールの連携・制御ではHy3は高い性能を示しており、BrowseCompで84.2、公開版のMCP-Atlasで79.1と、Claude Opus 4.8やGPT-5.5といった非公開の商用モデルに匹敵するスコアを記録した。ハルシネーション(AIがもっともらしい誤情報を生成する現象)の発生率も5.4%と、Grok 4.5の54%を大幅に下回り、最先端の商用モデルと比べても遜色ない水準だ。

一方、コーディングとなると話は別だ。SWE-bench VerifiedでのHy3のスコアは78%。堅実な数字ではあるものの、GLM-5.2(84.2%)、Claude Opus 4.8、GPT-5.5には及ばない。より難度の高いコーディング用ベンチマークでは差がさらに開く。Terminal-Bench 2.1ではHy3の71.7に対しGLM-5.2は81、DeepSWEでは28.0に対し46.2だった。

もっとも、この結果はアーキテクチャの違いを考えれば理にかなっている。GLM-5.2は総パラメータ7440億のMoEモデルで、有効化されるパラメータは約400億。トークンあたりに投入される計算量はHy3のほぼ2倍に達する。ある独立系分析は「わずか210億のアクティブパラメータというモデル規模を考えれば、この結果は驚異的です」と評している。

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翻訳=酒匂寛

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