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2026.07.14 09:43

「達成した気になる」だけの若手を生むな AI時代のリーダーが実践すべきこと

Adobe Stock

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最近、私の子どもの1人が算数の宿題にいら立っていた。「電卓を使えばいいのに、なぜ九九を覚えなければいけないの」と尋ねてきたのだ。

もっともな疑問である。結局のところ、電卓の方が速い。スマートフォンがあれば、ほぼいつでも使える。しかし私はこう説明した。最初に近道をしてしまうと、基礎を本当の意味で身につけることはできない。学習内容が高度になったときに必要になる土台を築けないのだ。3×8=24である理由を理解していなければ、微積分を習得することはできない。

この会話をきっかけに、職場でのAIへの向き合い方について考えるようになった。従業員がいきなりAIに飛びつけば、専門家が「達成感の錯覚」と呼ぶ状態に陥るリスクがある。これは職場における最新の流行語であり、課題に必要な難しい思考を飛ばして作業を素早く終えたことで得られる、達成したような錯覚を指す。

アウトプットが増えると、生産性が高まったように感じられるかもしれない。だが、それは自分の可能性を狭めている可能性がある。基礎がなければ、真の熟達には決して到達できない。数の感覚を伴わない電卓計算のようなものだ。

現代のリーダーは、達成感の錯覚というリスクを無視するわけにはいかない。では、自社でどう対処すべきか。

常に自力で考えることから始める

ChatGPTに簡単な依頼をするつもりが、当初の想定よりはるかに多くの作業をLLMに任せてしまった経験があるなら、AI利用がなぜ滑りやすい坂道なのか理解できるはずだ。多くのLLMは、使い続けたくなるように設計されている。ChatGPTにマーケティングキャンペーンの見出し作成を頼むと、10秒で出力し、無邪気にこう尋ねてくる。「この見出しの1つを使って、マーケティングメールの構成案を作りましょうか」。そうしているうちに、作業全体をAIに委ねてしまう。

Jotformでは、AI利用について明確な線引きをしている。AIを使う前に、従業員はまず自分自身の考えを言語化しなければならない。自分で取り組んだうえで、AIを編集者や同僚のような協働ツールとして使う。主導するのは人間であり、AIツールは補助役である。その逆ではない。

例えば、従業員が仮説を下書きしてから、AIツールにフィードバックを求めることはできる。あるいは、解決策の骨子を自分で描いてから、他のユースケースへの展開をAIに指示することもできる。

これはシンプルだが強力なルールであり、専門性を築くための知的作業を守るものだ。

AIを使わない時間帯を設ける

同僚に意見を求めたところ、明らかにAIが生成した返信が返ってくるほど、今の時代にいら立たしいことは少ない。ChatGPTの見解が欲しいのであれば、自分で尋ねればよい。

だが厳しい現実として、ここ数年、質問への回答や解決策探しのために反射的にAIツールへ相談することが当たり前になってきた。従業員がAI利用を完全に控える特定の時間帯を設ける責任は、リーダーにある。私はこれを「AIブラックアウト・ウィンドウ」と呼んでいる。

例えば当社では、戦略策定期の前半にAIブラックアウト・ウィンドウを設けている。毎週のデモデーでも同様だ。これらは、皆でアイデアを練り、解決策を探る時間である。集団のダイナミクスが創造的な勢いを生む。こうしたセッションから、当社で最も成功したプロダクト革新のいくつかが生まれている。もし作業をただAIツールに外注していたなら、このような突破口は得られなかっただろう。

アイデアを考え抜き、異なる視点を検討し、あえて反対意見を述べるプロセスを踏むことは、時間の無駄ではない。それは創造性の筋力を鍛え続ける行為である。

時には抜き打ちで説明を求める

大学時代、大規模な講義で突然指名され、答えに至った理由を説明させられるのが苦手だった。だが振り返ると、その価値は理解できる。自分のプロセスを一歩ずつ説明することは、自分で取り組んだことを示すだけではなかった。単なる倫理観の確認にとどまらず、自分の答えに自信を持つ助けにもなった。

Jotformでは、従業員にAIツールの活用を促している。しかし同時に、AIが生成したアウトプットについて、筋道立てて説明するよう「突然指名」される可能性があることも理解している。なぜその答えが妥当なのかを説明し、前提となっている仮定を特定できなければならない。潜在的な弱点について尋ねることもあるし、条件が変われば答えがどう変化し得るかを問うこともある。

これは罰ではなく、チームメンバーを信頼していないわけでもない。目的は、AIが判断材料を提供した場合も含め、あらゆる意思決定に本人が自信を持てるようにすることだ。

見習いとして学ぶ層を守る

今日の若手社員、とりわけZ世代は、特異な立場に置かれている。雇用主は、彼らが持つデジタルネイティブとしてのスキル、すなわち新興テクノロジーやAIへの自然な習熟を活用したいと考えている。だが、彼らの価値を高めるその能力こそが、特に基礎的なスキルの習得を妨げることもある。あるRedditユーザーは、AIを若手開発者にとっての「死の罠」とまで呼んだ。その切実な懸念は理解できる。

リーダーは、AI利用とメンタリングを組み合わせることで、若手社員が基礎を飛ばしてしまうリスクを抑えられる。AI利用は決して見えない場所で行われるべきではない。例外はない。組織は若手社員にメンターを付け、AIをどのように使っているかを話し合い、効果的な使い方のヒントを与え、AIなしで完了すべき業務を選ぶ手助けをすることができる。それにより、本人の成長度合いを正確に測れる。例えば若手開発者には、自分でコードを書き、AIを使って改善やトラブルシューティングを行うよう助言する。自分で開発することで、不具合が起きた際の修正方法をより深く理解し、将来の改善可能性も予測しやすくなる。

重要なのは、若手社員を不利な立場に置くことが目的ではないという点だ。むしろ、単に仕事を速くこなすのではなく、スキルを伸ばし、職務においてより優れた人材になっていることを確かめるためである。

量ではなく、アウトプットの質を評価する

最後の戦略は、より繊細な変化である。これは方針や手法として導入するものではなく、組織の構造そのものに織り込まれるものだ。そして、それはトップから始まる。アウトプットの量よりも質を優先する文化を育てるのである。

実際にはどうすればよいのか、と疑問に思うかもしれない。要は、会社が何を重視しているのかを日々の実践の積み重ねによって示すことだ。

業績を評価する際には、単なる速さよりも、一貫した正確性を評価すべきである。従業員は、最も長い時間働いたことではなく、良き同僚であること、前向きなエネルギーやアイデアを仕事に持ち込むことなど、有意義に存在感を示した点で認められるべきだ。生産的であることは重要だが、生産的であるだけでなく、自分の洞察をチームに明確に説明できることはさらに重要である。なぜなら、1人が成長すれば、チーム全体もともに高まることができるからだ。

forbes.com 原文

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