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2026.07.14 09:37

GPUの先へ、次なる戦いは「コンフィデンシャル・インフラ」をめぐる

Adobe Stock

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AIとデジタル資産における次の大きなインフラ競争は、より大規模なモデルやより高速なブロックチェーンを中心に展開されるわけではないかもしれない。焦点となるのは、はるかに目に見えにくいもの、すなわち計算そのものを誰が管理するのかという点かもしれない。この2年間、市場の関心の多くは規模に向けられてきた。より大きなGPUクラスター。より大規模なAIモデル。より高速な推論。オンチェーンで移動する、より多くのトークン化資産である。

しかし、AIブームとトークン化の潮流の双方の下で、別の変化が生まれつつある。企業は、自社のデータ、取引フロー、計算環境の管理権を手放すことなく、共有インフラの利点を得ることをますます望むようになっている。

最近の企業AI調査は、AI導入が加速するなかで、組織がガバナンスとセキュリティの限界に急速に直面していることを示している。NTTデータの「2026 Global AI Report」は、プライバシーと主権に関する要件が厳格化するなか、多くの企業が「制御、ローカリティ、セキュリティ」を軸にAIシステムを再設計していると指摘している。一方、Cyberhavenの「2026 AI Adoption & Risk Report」は、企業におけるAIとのやり取りのほぼ40%が、いまや機密性の高い企業データを含んでいると報告した。

同じパターンは、トークン化でも現れている。

トークン化市場は、実験的な取り組みや個人投資家による投機の段階をはるかに超えて進化している。昨秋、ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、われわれは「あらゆる資産のトークン化の始まり」にいると述べた。米国債商品、プライベートクレジット、コモディティ、不動産は、ますますブロックチェーン基盤へと移行しつつある。

Grayscaleの「2026 Digital Asset Outlook」は、トークン化された金融インフラが、より深い機関投資家の段階に入りつつあると指摘している。RWA.xyzによれば、トークン化された米国債は数十億ドル規模のオンチェーン市場へと成長しており、従来はオフチェーンにあった金融資産をブロックチェーンインフラ上に置くことに、機関投資家がますます前向きになっていることを示している。

しかし、金融機関は大きな問題に直面している。パブリックブロックチェーンは透明性を前提に設計された。銀行はそうではない。

グローバル銀行が、顧客残高、顧客のデジタルウォレット、米国債の移動、決済フロー、取引相手との関係を、完全に可視化された形でパブリックインフラ上に置くことは現実的ではない。企業もまた、独自のAIワークフロー、社内データセット、エージェントの記憶システムを、第三者の推論プロバイダーに自由にさらすことはできない。

これにより、市場にまだ大規模には存在していないものへの需要が高まっている。基盤となるデータを公開することなく監査可能性を維持する、非公開で顧客が管理する計算環境である。ここに、次世代のコンフィデンシャルコンピューティング・インフラが生まれつつある。

歴史的に、完全準同型暗号(FHE)などのコンフィデンシャル計算手法は、性能上の制約に苦しんできた。データを暗号化したまま、そのデータに対する計算を可能にすることは何年も前から可能だったが、大規模な本番システムには遅すぎる、あるいは高コストすぎることが多かった。しかし、その構図はいま変わりつつあるのかもしれない。

世界のAI業界における最近の動向は、ハイパースケールGPU競争と並行して、別のパラダイムが台頭していることを示唆している。NVIDIA(エヌビディア)のような企業がより大規模なGPUクラスターとより高いメモリ帯域幅を追求し続ける一方で、筆者が注目しているのは、米国、欧州、アジアの企業の間で、推論コスト、消費電力、ハードウェア依存を低減するための効率重視のアーキテクチャを追求する動きが広がっていることだ。

マイクロソフトは最近、企業向けAIワークロードにおける費用対効果とエネルギー効率を重視したアクセラレーターMaia 200(登録が必要)を発表した。一方、グーグルは次世代TPUを発表し、低レイテンシーのAIオーケストレーションと、ワット当たり性能の向上に最適化した。さらに研究者らは、制約のあるハードウェア上で推論効率を劇的に高め得るMixture-of-Experts(専門家混合)システムや専用NPU(ニューラル処理ユニット)の開発を進めている。これには、Apple SiliconのNPUをめぐる最近のブレークスルーや、Multiverse Computingのような欧州企業による圧縮AIアーキテクチャも含まれる。

より大きな含意は、AIインフラがもはや力任せの規模拡大だけに向かって進化しているわけではないということだ。計算効率、専門化、低コストでの展開に向けても進化している。それはプライバシー技術にとって極めて重要である。

FHEの開発者は長年、制約のある計算を前提に最適化を重ねてきた。演算を最小化し、メモリのオーバーヘッドを減らし、暗号文の膨張を圧縮し、推論効率を高めてきたのである。多くの意味で、いまAIを作り変えつつある性能面の圧力は、プライバシー保護システムがすでに解決を迫られてきた圧力と同じだ。

同時に、企業は大量のデータが集積しサイバー攻撃の標的となる「ハニーポット」を生み出す中央集権型AIアーキテクチャに対し、ますます不安を強めている。最近の報告書(登録が必要)は、従業員のほぼ半数が企業内で未承認のAIシステムをすでに利用しており、多くの場合、機密情報を安全でないツールに入力していると指摘した。

これは、AIエージェントの新たな時代において特に危険である。従来のチャットボットとは異なり、エージェント型AIシステムは記憶を保持し、ツールにアクセスし、他のエージェントと連携し、多くの場合、認証情報や金融上の権限を保持する。エージェント型AI向けのコンフィデンシャルコンピューティングに関する最近の調査は、こうしたシステムが、プロンプトインジェクション、認証情報の窃取、コンテキストの漏えい、エージェント間の汚染を伴う、まったく新しい攻撃対象領域を生み出すと強調した。

その結果として考えられるのは、企業、銀行、そして最終的には政府が、ノード、実行環境、暗号化レイヤーを自ら管理できるプライベートAIインフラをますます求めるようになるということだ。

この変化はやがて、「プライベートFHEクラウドインフラ」に似たものを生み出す可能性がある。これは、暗号化された状態と選択的開示を維持しながら、パブリックブロックチェーン基盤上で稼働する、顧客管理型のコンフィデンシャル計算環境である。

実際には、これにより以下が可能になり得る。

1. 銀行が残高を公開せずにトークン化資産を決済すること

2. 企業が暗号化された独自データ上でAIエージェントを稼働させること

3. 機関投資家が基盤となる取引を公開せずにコンプライアンスを証明すること

4. パブリックブロックチェーンが相互運用性を犠牲にせず、コンフィデンシャルな実行を支援すること

何年もの間、プライバシーインフラは速度と規模に比べて二次的なものとして扱われてきた。市場はいま、AIとトークン化の次の段階には、その3つすべてが同時に必要であることに気づきつつあるのかもしれない。

ビジネスリーダーは、コンフィデンシャルコンピューティングとプライバシー保護インフラを、実験的な研究開発ではなく、AIとデジタル金融の次の段階に向けた戦略的準備として扱い始めるべきである。それは、自社組織内のどこに機密データの流れが存在するのかを評価し、どのAIシステムが不要なデータ露出を生んでいるのかを特定し、暗号化された計算、選択的開示、顧客管理型の実行環境を可能にするアーキテクチャを検討することを意味する。

将来を見据える企業は、こうしたシステムが主流となり、処理能力が逼迫する前に、コンフィデンシャルAI推論、FHE高速化、プライバシー保護型ブロックチェーンインフラに取り組むプロバイダーとの関係構築も始めるべきである。

2000年代初頭のクラウドコンピューティングと同じように、この変化を早期に理解する企業は、後になって動きの遅い既存企業が再現するのが難しくなる、運用面、規制面、競争面での優位性を獲得する可能性がある。

forbes.com 原文

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