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2026.07.14 09:21

「価値の低い人的資本」発言で炎上したCEO、その謝罪が示す心の知能指数の欠落

Adobe Stock

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スタンダードチャータード銀行のビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は、同行のAI(人工知能)刷新を擁護していた際、後に後悔することになる言葉を使ってしまった。

この変革はコスト削減が目的ではないと、彼は主張した。「コスト削減ではありません」とウィンターズは語った。「場合によっては、価値の低い人的資本を、我々が投入している財務資本や投資資本に置き換えるということです」

世間の反応は容赦のないものだった。解雇された従業員を公の場で、記録に残る形で「価値の低い人的資本」と表現したことは、その文面通りに最悪の受け止められ方をされた。

その後、ウィンターズは多くの経営幹部が避けるような行動に出た。ビジネスSNSのリンクトイン(LinkedIn)で、自身の発言の全記録をそのまま投稿し、批判に直接向き合ったのだ。自身の言葉の選択が「一部の同僚に動揺を与えた」と認め、「そのことについてお詫びする」と謝罪した。

AIの時代において、CEOたちは迅速な行動、コスト削減、そして俊敏な効率性によって投資家にアピールすることに執着しがちだ。しかし、従業員がそのプロセスにおいて、リーダーの行動や言葉が尊厳や主体性、そして信頼を保っているかどうかで彼らを評価していることを見落としている。ウィンターズが試みた事態の挽回策には、心の知能指数(EQ)に関する教訓が含まれている。そしてそれは、予想とは少し異なるものかもしれない。

謝罪は正しい選択だが、感情への配慮を欠いていた

ウィンターズは、一部の従業員が解雇されたのは「価値が低い」からであると、分かりやすい言葉で社員に伝えた。それが従業員にどのような感情を抱かせるかは容易に想像がつくだろう。彼らは恐怖(「自分も価値が低いのだろうか?」)や、不安(「自分は安全なのか、それとも次は自分なのか?」)、および怒り(「同僚や友人を『価値の低い人的資本』などと呼ぶなんて、よくもそんなことが言えたものだ」)を感じるはずだ。ウィンターズは戦略的な論理にこだわりすぎるあまり、その言葉が自社の従業員にどう響くかという視点を見失っていた。

戦略と人間の感情的な共感との間にあるこのギャップは、まさに心の知能指数(EQ / EI)の問題である。EQとは、自分と他人の感情を認識し、コントロールする能力のことだ。これは2つの領域(「自己認識・自己管理」という自分をコントロールする領域、および「社会的認識・人間関係管理」という他者との関係をコントロールする領域)にわたる4つのスキルに分類される。

ウィンターズの過ちは、これら4つのスキルのうち最も高度なものである「人間関係管理」の失敗だった。人間関係管理とは、自分と他者双方の感情を認識した上で、その関係性にとって最善となる行動をとることである。EQの専門家であるトラビス・ブラッドベリー博士なら、ウィンターズの失敗した謝罪を「局地戦に勝って大局に敗れる」典型的な例と呼ぶだろう。彼は自分が正しいと証明すること(彼のリンクトインの投稿がまさにそれだ)に固執するあまり、その過程で関係性を損ねてしまったのだ。しかも今回のケースでは、その「関係性」の対象がすべての従業員であり、その影響は極めて大きい。

EQの教訓:決定を一方的に伝えるのではなく、理由を説明する

ここから得られる教訓は、意思決定の理由をはじめに共感を持って説明すれば、人々は(たとえ同意できなくても)理解し、より納得してくれるということだ。ウィンターズも詳細な説明をしたが、それは事後であり、共感を示したり、過去の発言を撤回したりすることは拒んだ。問題となった発言さえも再度掲載したのだ。

彼が「私の発言の背景はこれだ」と語るとき、それは説明責任を果たすというよりも自己正当化のように聞こえる。そして、なぜ誰かが「価値が低い」のかを事細かに説明することは、最初の発言が引き起こしたすべてのネガティブな感情を和らげるどころか、さらに深める結果となる。

ここでの教訓は、「決定の理由を説明すれば許される」ということではない。説明は、相手にどのような感情を抱かせているかについての真摯な認識とセットでなければならない。ウィンターズは「そのことについてお詫びする」と表面的な謝罪はしたものの、その後、当初の主張をさらに押し通し、その配慮に欠ける発言を釈明するかのように発言録全文へのリンクを貼った。相手への配慮が欠けた説明は自己防衛的に映り、説明を欠いた謝罪はうわべだけに見える。意思決定をしっかりと説明するには、相手を「どのように」感じさせたかを認め、同時に「なぜ」そうしたのかを説明することの双方が必要なのだ。

例えば、チームが数カ月を費やしたプロジェクトを打ち切るマネージャーを想定してほしい。EQが低い場合の表現は「このプロジェクトは中止する」だ。一方、EQが高い場合の表現は「皆がどれほど熱意を注いできたか、そしてこの決定がどれほど悔しいものであるかは分かっている。その上で、今回の判断に至った経緯を説明させてほしい……」となる。

研究データも、後者のアプローチの方が効果的であることを裏付けている。W・チャン・キムとレネ・モボルニュは、ハーバード・ビジネス・レビューの古典的名著である論文「公正プロセス(Fair Process)」の中で、プロセスが公正であり、理由が明確であれば、人々は自分にとって好ましくない結果、あるいは実害を伴う結果であっても受け入れることを明らかにしている。心理学者のトム・タイラーによる数十年にわたる「手続き的公正(procedural justice)」の研究も同様の方向性を示している。つまり、意思決定が「どのように」なされたかは、決定そのものと同じくらい信頼関係に影響を与えるのだ。

この考え方を実践する

家庭でも、あるいは企業を代表する立場でも、次に何らかの決断を迫られたときは自問してみてほしい。困難な決定を、ただ一方的に伝えているだけだろうか、それとも理由を説明しているだろうか。人は理解できることであれば、受け入れて生きていくことができる。耐えがたいのは、暗闇に置き去りにされることなのだ。

(筆者のケビン・クルーズは、EQ(心の知能指数)トレーニング企業であるLEADxの創設者兼CEOであり、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラー著者でもある。同氏の無料EQ診断(アセスメント)を受けることができる。この診断は心理学的に検証されており、4つの主要なスキルごとの詳細なスコアが算出される)

forbes.com 原文

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