【重要】会員機能一時停止とサイトメンテナンスのお知らせ

リーダーシップ

2026.07.14 08:56

変革対応型リーダーシップ:なぜ70%の変革は「行動」で失敗するのか

Adobe Stock

Adobe Stock

アドバイザリー業務の中で、私はシニアリーダーに対し、自分のチームが不確実性にどう対処しているかを説明してもらうことがよくある。返ってくる答えは示唆に富むが、必ずしも良い意味でそうとは限らない。多くのリーダーは、自分のチームは適応力があると言う。イノベーションを信じている。変化を歓迎している。だが、その同じチームが実際に動く様子を見ると、まったく別のものが見えてくる。意思決定の先延ばし、対立の回避、そしてリスクが高すぎると感じられるアイデアの静かな抑圧である。

リーダーが自分のチームについて信じていることと、そのチームで実際に起きていることの間には、しばしば隔たりがある。その隔たりをなくすことは、組織にとって最も難しい課題の1つである。

「適応型リーダーシップ」は、ほとんどあらゆるものを指す略語のようになっている。職務記述書、全社会議、取締役会向け資料に登場する。リーダーたちは本気でそう語っている。未来にはアジリティが求められることを理解しているからだ。だが、見落とされがちなのは、アジリティは信念体系ではないという点である。それは測定可能な行動の集合体だ。

変革戦略を構築する前に、より根本的な問いに答える必要がある。あなたのリーダーシップチームは、それを実行する準備ができているのか。

リーダーが信じていることと、チームが実際にしていることの隔たり

最近、私はあるシニアリーダーと仕事をした。彼は、ある中堅企業に部門の立て直しを主導するために招かれた人物だった。数カ月が経過した時点で、彼はCEOが期待する成果を遅らせる、あるいは阻むことになる実質的な組織上の障害を特定していた。彼にはそれがわかっていた。はっきり見えていた。

しかし、彼はそれを口にしても安全だとは感じていなかった。

その結果、たいてい次のようなことが起こる。リーダーは進捗しているかのような所作を続ける。CEOは非現実的な期待をさらに強める。数カ月が過ぎる。隔たりは広がる。変革の取り組みに見えているものは、実際には組織システムが静かに自らに逆行している状態なのである。

これはコミュニケーションの問題ではない。準備の問題である。

マッキンゼーの調査によれば、組織変革の70%は失敗し、その障壁が技術的なものであることはまれだという。障壁は行動面と文化面にある。その理由の1つは、組織が変革に実際に必要な行動をリーダーシップチームが備えているかを問わないまま、変革イニシアチブを始めてしまうことにある。

変化への準備ができている状態とは何か:評価すべき4つの行動

変化への準備ができていることは、熱意や善意とは異なる。それは、リーダーシップ文化の中に存在するか、しないかのどちらかである運用上の行動の集合体だ。

私が見るのは次の点である。

チームは不確実性にどう反応するか。変化への準備ができているリーダーシップチームは、曖昧さを仕事の一部として扱う。不完全な情報のもとで意思決定し、結果を監視し、調整する。準備ができていないチームはその逆をする。先延ばしにする。やって来ない確実性を探し続ける。行動する準備ができたと感じる頃には、機会の窓はすでに閉じていることが多い。

リーダー同士が本気で異議を唱え合っているか。健全なリーダーシップチームは、あまりに早く合意に達することはない。イノベーションには摩擦が必要である。見過ごされていることを言語化しようとする人が必要だ。リーダー間の議論がいつも一貫して、かつ素早く合意で終わるなら、それは結束の証しではない。重要な何かが語られないままになっているサインである。

チームは失敗をどう扱うか。適応力のある組織は、最良のデータの一部が失敗した実験から得られることを知っている。何を学んだのかを検証し、再調整し、前に進み続ける。変化への準備ができていない組織では、失敗は評判上のリスクを伴う。人々はより慎重になる。提案はより無難になる。イノベーションに必要な実験は、次第に姿を消していく。

意思決定は前例によって動かされているのか、それとも現在の状況によって動かされているのか。経験は、ある程度までは非常に価値がある。変革への準備ができているリーダーシップチームは、過去を参照点として使うが、上限としては扱わない。かつて意思決定を導いていた前提が、いまも成り立っているのかを問う。準備ができていないチームは、昨日の問題を解き、それを戦略と呼ぶ。

心理的安全性が変化の成否を決める理由

「適応型リーダーシップ」に関するほとんどの議論には、厳しい真実がある。それらはリーダーが何を目指すべきかに焦点を当て、実際に何がそれを阻んでいるのかという、より難しい問いを飛ばしてしまう。

私が関わる組織の多くにおいて、真の障害は戦略や能力ではない。安全性である。リーダーが発言しないのは、そうしても安全だと感じられないからだ。互いに異議を唱えないのは、文化が暗黙のうちにそれを許していないからだ。彼らは疑念を内に処理し、外向きには自信を演じる。

調査は、反発や罰への恐れなく率直に発言できる能力である心理的安全性が、組織のパフォーマンスの土台であることを一貫して示している。人々がアイデアや懸念を口にするよりも黙っている方が安全だと判断すると、重要な情報は共有されない。これはまさに、先に述べたアドバイザリーの場で起きていたことだった。そのリーダーは重要な情報を持っていた。CEOにはそれが必要だった。だが、その組織の文化とシステムが、その情報共有を封じ込めていたのである。

マネジャーの行動がチームエンゲージメントのばらつきの70%を左右する

変化に対応できるリーダーシップチームを構築したい組織は、しばしば戦略や構造に目を向ける。プロセスを再設計する。ワークショップを依頼する。新たな価値観を発表する。

データが一貫して示しているのは、より直接的なものだ。それは、そのチームを運営するマネジャーの行動である。

ギャラップの調査によると、組織全体におけるチームエンゲージメントのばらつきの少なくとも70%はマネジャーによって説明される。変化への準備ができているチームと、そうでないチームの違いは、ほとんどの場合、そのチームを率いる人物にある。カルチャー施策ではない。企業の価値観ステートメントでもない。直属のマネジャーと、その人が場をどう運営するかである。

前提を検証し、失敗から学ぶリーダーシップチームを望むなら、それらのチームを率いるシニアリーダーは、好奇心、間違いを認めることへの開放性、反対意見への意味あるフォローアップといった特性を、目に見える形で示し、評価しなければならない。これらの行動が、周囲の人々が変革に必要なリスクを取るかどうかを決める。

ラーニングアジリティ:変化を重視することと適応できることの違い

変化に対応できるリーダーシップを築くことは、自分のチームのどのリーダーが実際に適応でき、どのリーダーが適応できないのかについて、正直に向き合うことでもある。

リーダーシップと混乱に関するコーン・フェリーの調査では、リーダーの約66%が、変化に直面した際のアジリティと柔軟性を重要なリーダーシップ特性として挙げている。だが、アジリティを重要だと認識することと、それを備えていることは別である。変化に対応できるリーダーは、言行を一致させる。組織横断で協働し、継続的な学習を受け入れ、部下の声に耳を傾ける。完全な確信を持てたときではなく、状況がそれを求めるときに大胆な決断を下す。

専門性と実証済みのアプローチによって成功したキャリアを築いてきたリーダーは、環境が変化した際にそのアプローチを修正することに最も抵抗を示すことが多い。これは人格上の欠陥ではない。人間の特性である。問題になるのは、組織がそれを名指しできず、トップにいるリーダーが混乱に必要となる行動を積極的に築いていない場合だ。

変革の前にリーダーシップチームを評価する4つの問い

リーダーシップチームが変化に向けて準備できているかを評価するのに、正式な診断ツールは必要ない。率直に見る意思があるなら、その兆候はすでにチームの運営の中に表れている。

自問すべき問いは次の通りである。

チームのリーダーたちは、組織を成功に導いてきたものを含め、前提にどれほど率直に疑問を投げかけているか?

予想していなかった形で状況が変わったとき、彼らはどれほど素早く適応するか?

自分たちが下した意思決定が誤っていたと認めることに、どれほど抵抗がないか?

実験が失敗したとき、何が起こるか? 誰がそれについて語り、どのように語るのか?

準備とは宣言ではなく実践である

組織はしばしば、変革を戦略の問題として扱う。新たなオペレーティングモデル、新たなテクノロジー、新たな能力に投資する。そうした投資は重要である。だが、戦略だけでは変化に対応できるチームは生まれない。

本当の準備は、リーダーシップの日々の行動に表れる。人々がどう議論するか。自分が間違っていたときにどう反応するか。その場のトップにいるリーダーが、実際に真実であることを口にしても安全な環境をつくっているかどうか。

変革が失敗するのは、戦略が間違っていたからであることはまれだ。失敗するのは、それを担うチームが、その戦略に必要なことを実行する準備ができていなかったからである。

何よりも先に問うべきなのは、その問いである。

(forbes.com 原文)

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

2026年8月号発売中

最新号の購入はこちらから

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事