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ファッション

2026.07.14 08:49

「顧客を知れ」はもう古い──ウィンター退任が映すファッション業界の地殻変動

Adobe Stock

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約40年にわたりファッション界の象徴的なゲートキーパーを務めてきたアナ・ウィンターが、雑誌『ヴォーグ(Vogue)』の王座から退くと昨年発表されて以来、デジタル上では膨大な「インク」が費やされてきた。

では、これからどうなるのか。彼女ほどの影響力を持つ人物が再び現れるのだろうか。ウィンターが牽引してきた毎年恒例の「メットガラ(Met Gala)」のカクテルパーティーは、野心的なデザイナーやブランド、そしてそのセレブリティや企業パートナーにとっての強力なマーケティング効果を失ってしまうのだろうか。

これら3つの問いへの答えは、いずれも「もはや重要ではない」ということだ。

ファッションの歴史は、ウィンターが退任する以前から、すでに『ヴォーグ』の先へと進み始めていた。紙媒体の発行部数は減少し、ページ数はピーク時の半分以下に縮小している。華やかなレッドカーペットが終わり、アパレル小売というシビアなビジネスが始まる現場において、業界は急速に「大断片化(The Great Fragmentation)」へと移行しつつある。これは、AIとショッピング、SNSの融合が消費者のコミュニティにもたらした影響を表現した言葉であり、これによって人々のグループ(コホート)はマイクロニッチへと細分化され、さらに再分裂を繰り返している。

誰もがクリエイターやインフルエンサーになれる世界では、「顧客を知れ」という格言は時代遅れに聞こえ始めている。アパレル業界は、Aリストの華やかな喧騒をどれだけ動員しても克服できない深刻なアイデンティティ危機に直面している。

3000人のSnapchatユーザーを対象とした2025年のグローバル調査では、80%以上が最新のファッション・トレンドを把握する主な方法としてSNSプラットフォームを利用していると回答した。また、10人中8人が、クリエイターの意見を友人や家族と同じくらい信頼していると答え、70%が新しく購入した衣料品をオンラインでシェアしていると回答した。

結論はこうだ。「SNSは新たなショッピングモールである」。

同様に、TikTokのアルゴリズムは、辺境に住む1人のティーンエイジャーが、一晩にして世界的なトレンドを巻き起こすことを可能にしている。かつてランウェイからストリートへと伝わるまでに数カ月かかっていたことが、今や数時間で起こる。

その結果、ブランドやレーベルにとって、消費者の行動は予測しづらくなり、その心をつかむことはより困難になっている。今日の若い買い物客の間で最も重視されている価値観は、オーセンティシティ(本物であること)と個性だ。

彼らはスポンサー付きのコンテンツに対して非常に敏感であり、疑いの目を向けている。インスピレーションを得るためにインフルエンサーをフォローすることはあっても、指示を仰ぐことはない。

「2026年において、アテンション(注目)は新たな売上原価だ」と語るのは、カナダのライフスタイル・アパレルブランド「ケイ・バッド・アパレル(Kay Bahd Apparel)」のオーナー、ロブ・プルサだ。ファッションマーケティングの専門家であるプルサは、アパレルブランドの立ち上げと成長の方法について、これまでに1000本以上のYouTube動画を投稿してきた。

彼がこの冬に投稿した動画の中で、アパレル起業家を目指す人々に向けてこう警告している。「アパレル業界は、これまでにないほどの激変期を迎えている。生地は安く手に入り、製造業者も簡単に見つかる。かなり質の良い服を安価で作ることができる」

「だが、TikTokやInstagram、YouTubeショートなどのSNSプラットフォームで継続的に注目を集められなければ、あなたは見えない存在になる」

彼は、ブランドはまず自らをメディア企業と捉え、コンテンツを大量に制作することに注力し、アテンション・エコノミー(関心経済)に投資するべきだと主張する。

「SNSはもはや、単に友人とチャットをするためだけの場所ではない。人々はメディアを消費するためにそこへ行く。もし本当に優れたコンテンツを作ることができれば、人々はそれをシェアし、あなたは信じがたいほどの優位性を得ることになる」

forbes.com 原文

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