過去5年の大半において、ナスダック総合指数が2倍以上に上昇するなか、投資家たちはハイテク株がバブルにあるのかどうかを議論してきた。
だが市場は、そうした議論の多くを意に介さず買いを続けた。投機的な過熱もあったが、この上昇相場は熱狂だけによるものではない。相場をけん引してきた企業の多くは、堅調な利益、高い利益率、そして継続的な投資を支えるだけのキャッシュフローを生み出してきた。
したがって、この上昇を単なる熱狂の産物と切り捨てるのは短絡的だ。とはいえ、その上昇がどれほど持続可能なのかを問うのは正当であり、特にAI関連支出が拡大し、投資家がその投資収益率に疑問を抱き始めている現在は、なおさらである。
ここでドットコム・バブルとの比較が有用になる。ただし、投資家が正しい教訓を引き出す場合に限られる。
当時のバブルが崩壊したのは、多くの人がインターネットの可能性を誤って理解していたからではない。あまりに多くの投資家が、インターネットに関わるすべての企業が優れたビジネスに成長すると想定してしまったからだ。
AIも今、同様のリスクを抱えている。この技術は経済の大部分を作り変えつつある。しかし、AIに多額を投じる企業や、その支出の恩恵を受ける企業のすべてが、持続的な価値を生み出すわけではない。
もっとも、今のところ、このサイクルはドットコム・ブームのピーク時よりも健全に見える。
1990年代後半には、企業利益が市場より先にピークを迎え、株価が上昇し続けるなかで利益率は低下していった。今日では、利益率ははるかに安定しており、S&P500の過去12カ月のリターンはすべて、バリュエーション拡大ではなく利益成長によるものとなっている。
バランスシートの状況も異なる。当時は、企業が記録的な水準の投資を賄うために大規模な借入を行い、レバレッジが急上昇した。今日でも、特に大手テクノロジー企業では設備投資が高水準にあるが、その多くはフリーキャッシュフローで賄われている。
ただし、その支出はリスクがないわけではない。一部の大手AI関連企業による最近の株式や社債の発行は注視に値するが、現時点ではそれらの動きはバランスシートの規模と比較すれば小さい。
ちなみに、新規公開株(IPO)に対する懸念についても同じことが言える。一見すると、今年のIPOの調達総額が過去最高を記録するとの予測は、投資家が市場への供給過剰をすでに懸念しているなかでは、警戒すべき事態のように聞こえる。
しかし、現在の市場規模と比較すると、その数字はそれほど極端なものではなくなる。今年の新規株式発行総額は、ラッセル3000指数の時価総額の約1%に相当すると予想されており、これはおおむね2015年から2019年の平均並みである。さらに、1999年には400件近くあったのに対し、2026年のIPO件数は約100件と、25年間の平均に近い水準で推移する見通しだ。
つまり、見出しに躍るドル建ての調達額は高額かもしれないが、市場規模もはるかに大きくなっているのだ。約1兆ドル(約162兆円)の自社株買い総額も供給を上回るはずであり、さらに合併・買収(M&A)や海外投資家、個人投資家(家計部門)からの需要も加わる。
信用市場も比較的落ち着いている。1998年から2000年にかけては信用スプレッドが拡大し、市場下落に先立つ早期警戒シグナルとなった。今回は、そのようなストレスは見られていない。
とはいえ、企業がその支出をどのように賄うかは依然として重要だ。債券発行は企業の柔軟性を損なう恐れがあり、追加の株式発行は既存株主の持ち分を希薄化させかねない。もちろん、大規模な支出は、リターンが十分速やかに実現しなければ、将来の利益を圧迫する可能性もある。
それこそが、最近の市場の転換が示し始めていることかもしれない。投資家はAIを諦めたわけではないが、AIに投じられるすべての資金を等しく価値があるものとみなすことには慎重になりつつある。一部の人気銘柄に一時的な痛みを伴うとしても、そのほうが、無条件に信じるよりは健全である。
AIブームが投資家にとって厳しいものになるために、必ずしもそれがバブルである必要はない。大局的なトレンドが終焉を迎えるはるか前に、株価は下落し、市場のリーダーは交代し、資金は他のセクターへと移動する可能性がある。
現在のところ、AIトレードは、ドットコムバブル期に投資家が目にしたものよりも強固な利益、はるかに優れたバランスシート、そして落ち着いた信用市場によって依然として支えられている。しかし、企業は今や、より多くの真価を証明せねばならない。



