米国は10日、ロシア産資源の輸入国に対して制裁を科す法案の審議を進めることを明らかにした。これにより、米国はロシア産の原油、ウラン、天然ガスを輸入する国に対して高関税を課すことで、各国がロシアとの取引を控えるよう促し、同国の経済に打撃を与えることを狙っている。この制裁が決定的な転換点となるかどうかは現時点では不明だが、これはロシアの弱点を突くための取り組みだ。ロシア経済は化石燃料の輸出に大きく依存しており、1日当たり7億3400万ユーロ(約1400億円)の収入を得ている。
同国の経済規模は約2兆6000億ドル(約422兆円)と依然として巨大だが、成長は鈍化しており、四半期ごとに縮小している。2026年の経済成長率はわずか0.4%にとどまるとみられている。これは、同国がわずか1%の成長率で景気後退を辛うじて免れた25年よりもさらに悪い状況だ。
世界銀行によると、ロシア経済は22年に制裁が最初に発動された際に一時的に縮小したが、その後、他国との新たな貿易関係を構築したことで翌年には回復し、4.1%の成長率を達成した。だが、この成長は戦時支出の勢いが弱まり、原油価格が下落し、戦争費用が膨れ上がったことで、長くは続かなかった。
報道によると、ロシア国防省はウラジーミル・プーチン大統領に対し、戦争予算が既に280億ドル(約4兆5000億円)以上超過していることから、数十億ドルが追加的に必要になると伝えたという。27年と28年には、戦争費用がさらに540億ドル(約8兆8000億円)の超過に陥るとの予測もある。
ロシアはウクライナ侵攻前の19~21年には年間約470億ドル(約7兆6000億円)を国防に充てていたが、26年の国防費は1585億ドル(約26兆円)以上に膨らむ見通しだ。米スタンフォード大学の研究員デビッド・ヘンダーソンは、ウクライナ侵攻にかかる費用の総額は2兆5000億ドル(約406兆円)を超えると推定している。
ロシアは米テキサス州の面積の約1割に相当する70万平方キロのウクライナ領を奪取するために、自国の国内総生産(GDP)を浪費している。これは、獲得した1平方キロ当たり約2億3400万ドル(約380億円)を費やしている計算になる。
一時的な救いの手となったイラン情勢
25年のロシアの経済情勢は特に深刻だった。欧米の制裁がようやく効果を表し始め、原油価格は1バレル73ドルを下回った。26年1月には、ロシアの石油・ガス収入は半減した。同国の化石燃料輸出による収入がウクライナ侵攻前の最低水準に達する中、米国のイラン攻撃が命綱となった。原油価格は急騰し、国際指標の北海ブレント原油先物はイラン攻撃開始以降55%以上跳ね上がり、120ドルに迫った。これに伴い、ドナルド・トランプ米大統領はロシア産原油に対する制裁を緩和した。
しかし、イラン攻撃による混乱は、中東におけるロシアの長期的なエネルギー計画を損なう結果となった。ロシアがイランで手がける2カ所の発電所の建設は中断され、石油・ガスの探査や、同国を経由してロシアとインドを結ぶ輸送路の多様化を目指す計画も棚上げになった。



