起業家である私は、驚くほど記憶力が悪い。あの知人の名前は何だったか。CFOが勧めてくれたあのツールは何だったか。なぜ自分はこの部屋に入ったのだったか。
私はこうした致命的な物忘れから身を守るための仕組みを構築してきた。おかげでほとんどの場合、重要なメールを見落としたり締切を破ったりすることはない。大事なものが漏れ落ちないよう、必要な足場をすべて整えているからだ。
それでも時折、頭が真っ白になることがある。かつて確かに知っていたはずの言葉や、これから言おうとしていた要点が、突然行方不明になるのだ。
AI(人工知能)が私たちの集団的な認知能力の低下を加速させていると示唆する研究は数多くある。広く引用されているマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、ChatGPT(チャットGPT)の支援を受けてエッセイを書くよう求められた参加者は、テストされたグループの中で最も脳の関与が低かった。さらに悪いことに、彼らの神経活動は課題を重ねるごとに実際に低下していき、最後には多くの人がコピペに頼るようになっていた。
AIによる脳の劣化は確かにありうる話だが、私はむしろ逆の目的でAIを使い始めた。脳、特に記憶力を強化するためだ。その方法を紹介しよう。
名前を思い出す
ビジネスの場において、物忘れは「愛嬌のある癖」では済まされず、「相手への失礼」になりかねない。CEOにとっては特に危険な領域だ。他のリーダー、投資家、そして自社の従業員まで、覚えるべき名前は多く、覚えていなければ社会的な代償も大きい。人は自分の名前を呼ばれると好意的に反応する。米ラトガース大学の児童発達研究所の研究によれば、自分の名前を聞くと脳の左半球が活性化するという。周囲からの敬意を築きたい人にとって、実践する価値のある習慣だ。
誰かの名前を思い出す優れた方法は、物語を作ることだ。関連付けが具体的で鮮やかであるほど、記憶に定着する。ChatGPTはその場で作成を手伝ってくれる。
▼ChatGPTへの質問内容
「[名前を挿入]という名前を覚えるのを手伝ってください。この人について私が知っていることは以下のとおりです:[役職、出会った場所、外見や性格の特徴、印象に残った発言など]。名前とこれらの詳細を結びつける、記憶に残る関連付けや短い物語を作ってください」
記憶術(ニーモニック)を活用する
記憶術とは、連想を用いて抽象的な情報を鮮明なイメージに変換することで機能する記憶戦略である。本質的に、私たちの脳は、生のデータよりも物語、イメージ、感情的な手がかりをはるかに確実に保持するようにできている。記憶術はこの構造に便乗し、新しい情報をすでに知っている何かに固定することで、後から思い出しやすくする。
もちろん、ニーモニックを実際に思いつくこと自体がひと仕事だ。ここでChatGPTが時間を節約してくれる。
▼ChatGPTへの質問内容
「[情報]を覚えるためのニーモニックを作るのを手伝ってください。鮮やかで、必要なら少し馬鹿げていて、視覚化しやすいものにしてください。選んだ関連付けがなぜ記憶に定着するのに役立つのかも説明してください」



