あなたのブランドは、格別な顧客体験を約束している。戦略は健全であり、基準は文書化され、ダッシュボードはほぼすべてグリーンを示している。それなのに、なぜ現場レベルでの実行は破綻し続けるのだろうか。そしてなぜ、二度と戻ってこないかもしれない上顧客を失うことになってしまうのだろうか。
海兵隊第2連隊の指揮官として、私は世界各地での重要な任務に向けて7000人の男女を率い、育成した。その経験が、現在の私がホスピタリティ業界にもたらす視点を形成している。それは、リーダーシップが意図することと、現場で実際に起きていることのギャップは、決して戦略の問題ではないということだ。それは常にリーダーシップの問題だと私は確信している。そして、たった一度のやり取りが評価を決定づけるラグジュアリー・ホスピタリティにおいて、そのギャップを無視することは許されない。
「ダッシュボード頼みのリーダーシップ」という神話
業務リーダーシップにおける最大の誤解は、報告書からリーダーシップを発揮できるという思い込みだ。測定指標は現実から遅れてやってくる。KPIが全面的にグリーンを示していても、実際に現場を歩いてみると、規律、コミュニケーション、実行力において深刻なギャップが見つかるというケースを私は何度も目にしてきた。大規模な組織は人間のシステム(集まり)である。リーダーが現場に身を置き、主体的に人材を育成しなければ、システムは衰退していく。最初は静かに、そしてあるとき一気に崩壊するのだ。
現場にいることは、マイクロマネジメント(過干渉)ではない。それは、組織のあらゆるレベルにおいて、基準が設定され、強化され、定着するための仕組みなのである。
精鋭チームに共通する3つの特徴
私の経験上、高いパフォーマンスを発揮するチームには3つの特徴がある。それは、リーダーの資質と忍耐力、実行における規律、そして一貫したコーチングだ。優れた部隊が卓越しているのは、他より多くのことをこなすからではない。誰よりも基本を忠実に、毎日徹底して行うからこそ卓越しているのだ。
ある大規模な演習中、私の部隊の一つは、制御された状況下では抜群のパフォーマンスを見せたものの、状況が流動的になると一転して苦戦した。彼らが目標を達成できなかったのは、スキルが不足していたからではない。むしろ、ストレス下での反復訓練と規律が不足していたためだ。解決策は、基準を簡素化し、基本を強化し、リーダーの現場への関与を高めることだった。再現性のない成功は、長続きしない。
基準が本当に満たされているかを見極める
海兵隊では、部下が理解していると思い込むことはしなかった。訓練、リハーサル、そして点検を行ってそれを確認した。私は訓練エリアを歩き、シンプルな質問を投げかけた。「計画は何か」「君の役割は何か」と。明確に答えられない者がいれば、報告書に何と書かれていようとも、問題があることが分かった。リーダーには、ただ率いる意思だけでなく、点検する意志が必要なのだ。
同じ原則が、ラグジュアリーホテルやカジノリゾートにも当てはまる。サービスの質を前提としてはいけない。それを設計し、教え、指導し、徹底させ、そして点検する。これらのステップに近道はない。
短期間で立て直す方法
業績の振るわないホスピタリティ事業の再建に乗り出す際、私たちはまずリーダーシップの評価から始める。オンボーディング(新人の受け入れ)、トレーニング、管理監督、そして再現性だ。その上で、譲れない基準を定め、リーダーの現場での存在感を高め、日々の説明責任を確立し、何が「正しい状態」であるかについて全員の認識を一致させる。その基準に照らし合わせて初めて、改善の度合いを測定する。
海兵隊では、何かがうまくいかないとき、新たな計画を次々と立てるのではなく、基本的な基準と実績のあるリーダーシップ行動を強化した。同じアプローチがホスピタリティ業界にも適用でき、それと同じスピードで効果を発揮することに私は気づいた。
規律こそが土台である
高いパフォーマンスを発揮するチームに加わるには、常に、特に誰も見ていないところで、正しいことを正しい方法で行うというコミットメントが求められる。規律こそが、個人や組織がプレッシャーの下で力を発揮することを可能にする。規律がなければ、基準は崩れていく。基準が崩れれば、パフォーマンスも低下する。そしてパフォーマンスが低下すれば、顧客はブランドへの信頼を失うだろう。ラグジュアリー・ホスピタリティビジネスにおいて、それは取り返しのつかない損失になりかねない。
そのまま応用できる3つの原則
20年にわたる軍でのリーダーシップと、大規模なホスピタリティサービス企業を数年間経営してきた中で、私はあらゆる環境で通用する3つの原則に立ち返り続けている。
リーダーシップは主攻であり、支援機能ではない。卓越したオペレーションこそが、規模を伴う成功を可能にする。そして、一貫して適用される規律こそが、高いパフォーマンスの原動力となる。
海兵隊連隊の指揮から国際的なホスピタリティサービス企業の経営に至るまで、完全に一致するリーダーシップの原則が1つある。それは、「得られるのは、あなたが期待したものではなく、あなたが点検したものだ」ということだ。
現場に寄り添うリーダーを育てよう。明確で達成可能な基準を設定しよう。そして、容赦なく点検するのだ。それは部下を信頼していないからではなく、その現場における存在感こそが、偉大なリーダーが偉大なチームを動かす方法だからである。



