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AI

2026.07.13 15:30

インターネットのルールを変える、Cloudflareの「エージェント型」構想

stock.adobe.com

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インターネットを支えてきた「コンテンツ提供と引き換えに読者を得る」という暗黙の合意が、AIの普及で崩壊しつつある。この事態にCloudflareは、AIによる利用に課金する「エージェンティック・インターネット」を提唱。コンテンツ所有者がAIから正当な対価を得るための新たな仕組みとは。

Cloudflareが「エージェンティック・インターネット」を提唱している。現代のインターネットを築き上げた暗黙の合意が静かに崩壊しつつあるが、大半のビジネスリーダーはまだそのことに気づいていない。

数十年にわたり、パブリッシャー(情報発信者)は単純な取引を受け入れてきた。検索エンジンにコンテンツをクロールさせる代わりに、読者を送り返してもらう。そのクリックが広告収入、購読、販売を支えてきた。誰もが何かを得られるからこそ、この方程式は成り立っていた。

生成AIはそれを壊した。AIアンサーエンジンは今や情報を抽出し、要約し、クリックなしで答えを提供する。価値は一方向にしか流れず、クリエイターには何も残らない。

Cloudflareは、自社が「エージェンティック・インターネット」と呼ぶ新たな取引を提案している。これは、許諾、帰属表示(アトリビューション)、そして支払いを軸に構築されたものだ。メディア企業、ブランドのコンテンツ運営、あるいは知識ビジネスを営んでいるかにかかわらず、このパラダイムシフトはコンテンツが価値を生み出す仕組みを根本から変えることになる。

Cloudflareが引く一線

2026年9月15日以降、Cloudflareのプラットフォーム上で新たに開設されるウェブサイトでは、従来の検索クロールはデフォルトで許可される一方、広告収入で成り立つページでのAI学習やエージェントによる利用はブロックされる。既存の無料顧客にも同じデフォルト設定が適用され、ダッシュボードから設定を調整できる。

一部のクローラーは複数の目的を同時に果たすため、この区別は重要だ。パブリッシャーは、記事を検索結果にインデックスさせたい一方で、その同じ報道内容が商用モデルの学習やAI生成の回答に利用されることには反対するかもしれない。Cloudflareは、これらを二者択一の選択肢ではなく、個別の許諾として扱うことを提案している。

同社はまた、実験的な「Pay Per Crawl」を、より広範な「Pay Per Use」モデルへと発展させている。これは、コンテンツがAIの回答に登場した場合や、特定のタスクのためにエージェントがプレミアム情報を購入した場合に、パブリッシャーが対価を得られる仕組みだ。Ceramic.aiとYou.comが最初のパートナーに名を連ねている。

「Attribution Business Insights」ダッシュボードも計画されており、AIボットがどのようにコンテンツにアクセスし、そのコンテンツがどこで引用され、各AIプラットフォームがどれだけの人間のトラフィックを返しているかを可視化する。これにより、検索エンジンだけでなくAIにコンテンツを見つけてもらうための施策である「アンサーエンジン最適化(AEO)」が、初めて計測可能になる。

Cloudflareのチーフ・ストラテジー・オフィサー、ステファニー・コーエンは筆者との対話でこう語った。「当社の顧客の圧倒的多数はAIに自社コンテンツと関わってほしいと考えています。しかし、広告や購読に依存する顧客にとっては、事情が異なります。自分たちの成果物を無償で提供させられることなく、発見可能な状態を保ちたいのです。インフラプロバイダーとして、私たちはそのギャップを埋める手助けができます。だからこそ、エージェンティック・インターネットの進化に合わせ、あらゆるタイプのサイトオーナーを支援するために必要なツールの提供に注力しているのです」

リーダーが受け取るべきメッセージ

Cloudflareのモデルの最大の説得力は技術的なものではない。構造的なものだ。大手メディア企業はAI開発企業と直接ライセンス契約を交渉できる。しかしほとんどの企業にはそれができない。Cloudflareのインフラを使えば、規模の小さいコンテンツ所有者も、市場のあらゆるAI企業と個別契約を交渉することなく、許諾を設定し対価を受け取れるようになる。

実務的な効率性の面でも意義がある。CloudflareによればAIクローラーのトラフィックの半数以上が、更新されていないページの再取得だという。更新の有無を通知する仕組みがあれば、パブリッシャーの帯域幅コストとAI企業のコンピューティング費用を削減でき、協力への共通のインセンティブが生まれる。

ただしリスクも現実に存在する。

Cloudflareがエージェントの識別、許諾レイヤー、利用計測、支払いインフラのすべてを掌握してしまう可能性がある。パブリッシャーはAI企業に対する交渉力を得る一方で、単一の仲介者への依存を高めることになりかねない。

帰属表示も未解決の課題だ。AIが生成する回答は、数十の情報源を組み合わせたり、オリジナルのアイデアを言い換えたり、出典を示さずに報道内容を使ったりする可能性がある。各ソースの価値をどう算出するか、結果を誰が監査するか、意見の不一致をどう解決するかは、まだ答えの出ていない問いだ。

有料アクセスは既存の優位性を固定化しかねない。潤沢な資金を持つAIプラットフォームはライセンス料や技術統合を吸収できるが、スタートアップ、研究者、オープンソース開発者にとって、ウェブはより高価な場所になるかもしれない。

市場はすでに動いている

この機会に目をつけているのはCloudflareだけではない。そしてそのこと自体、リーダーが見逃してはならないシグナルだ。Adexchangerによれば、なぜ皆が一斉に動いているのか、その理由は数字が物語る。この1年でパブリッシャーは、トラフィックと収益の20%、30%、時には90%を失っている。Anthropicは、1件の参照送信を返すために、1万1122ページをクロールしている。AIチャットボット経由の流入は、従来の検索と比べて約96%少なく、ユーザーが引用元をクリックする割合はわずか1%程度だ。このような数字を見せつけられれば、市場は急速に形成される。

TollBit、ProRata、Microsoftはいずれもコンテンツライセンス領域に参入しており、それぞれ「誰が条件を決めるか」について異なる理論を持っている。Really Simple Licensingは、単一企業がルールを固定化する前にオープンな標準を推進しようとしている。Press Gazetteによれば、パブリッシャーの約70%が今後3年間でAIライセンス契約が少なくとも一定の収益を生むと予想しているが、現時点ではほとんどが微々たる収益源と見ている。これらの条件が固まる前に形作る期間は今であり、いつまでも続くわけではない。

この問題をIT部門に丸投げするリーダーは、その本質を見誤っている。これはクロールポリシーの問題ではない。

収益モデルに関する意思決定なのだ。

AIシステムがコンテンツにどうアクセスし、どう使い、どう対価を支払うかは、デジタル経済の次の段階でどこに価値が蓄積されるかを決定づける。そして今この条件を形作っている企業は、他社が追いつくのを待つつもりはない。

すべてのリーダーが答えるべき問い

AIの回答が自社のコンテンツへの訪問に取って代わったとき、誰が対価を得るのか。

持続可能な経済的交換なしに、価値ある報道、研究、専門知識をウェブが生み出し続けることはできない。許諾、帰属表示、対価は、「あればよいもの」から、エージェンティック・インターネットの基盤要件へと移行している。

しかし結果は透明性次第だ。パブリッシャーは、利用がどう測定され、価格がどう設定され、仲介者がどのような役割を果たすのかを理解する必要がある。AI企業には、単一のインフラプロバイダーに縛られない標準が必要だ。そしてビジネスリーダーは今、もはや存在しない世界に向けたコンテンツ戦略を築いているのではないか、と決断を迫られている。

ではビジネスリーダーとして何をすべきか。

  1. コンテンツをコストではなく資産として監査する
    何を公開し、AIシステムがそれをどこでアクセスし、どんな許諾や対価の枠組みがあるかをマッピングする。多くのリーダーは自社コンテンツがAI経済でどれだけの価値を持つかを把握していない。他人が決めてしまう前に自ら把握すべきだ。
  2. 可視性か保護か、立場を選ぶ
    AIアクセスを遮断すれば作品は保護されるが、オーディエンスがAI主導の調査やレコメンデーションに移行するにつれ、存在感は薄れる。アクセスを許可すれば認知は高まるが、まだ収益化にはつながらないかもしれない。これは技術的な初期設定ではなく戦略的な判断だ。意識的に決めるべきだ。
  3. 標準化競争の先を読む
    今この条件を設定している企業――Cloudflare、TollBit、Microsoft、ProRata――は、他のすべての企業が引き継ぐことになるインフラを構築している。どの標準が採用されるかを追跡する担当者をチームに配置し、経路依存性が周囲を固定化する前に、早期に参加できる立ち位置を確保するべきだ。

AIは今も開かれたウェブに依存している。課題は、これまで以上に少数の手に情報アクセスを集中させることなく、価値を生み出す人々に報いる経済モデルを構築することだ。Cloudflareは全力で挑んでいる。

forbes.com 原文

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