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AI

2026.07.13 14:30

はしごが消える時代、未来をつくるのは誰か

stock.adobe.com

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何世代にもわたり、社会は知識を蓄え、資格を集め、組織のハシゴを登る人々を評価してきた。

学生は試験のために勉強した。新卒者はインターンシップを競い合った。従業員は、企業のハシゴの最初の一歩となる日常的な事務作業や技術的作業をこなすことに何年も費やした。

そのハシゴが消え始めている。

人工知能(AI)が日常的なコーディング、調査、分析、事務作業を急速に吸収するにつれ、かつて若者をプロフェッショナルの世界へと導いていたエントリーレベルの役割の多くが変貌を遂げつつある。学生、教育者、ビジネスリーダー、そして政策立案者にとって、問いはもはや「AIが仕事を変えるかどうか」ではない。知識と実行力がますます豊富になるなかで、「人間はどうあるべきか」という問いなのだ。

起業家、技術者、シビックイノベーター、そしてビルダー(構築者)たちの意外な連合から浮かび上がる答えは、驚くほど楽観的だ。

未来は、許可を待つ人たちのものではない。自ら構築する人たちのものだ。

なぜこのシフトが今起きているのだろうか。

テクノロジーとAIの経済学における世界的な権威の1人であるエリック・ブリニョルフソンによれば、その答えは価値がどのように創造されるかを理解することにあるという。

「ほとんどのプロジェクトを3つの部分に分解すると分かりやすい」と彼は説明する。「第1に、問いを定義すること。つまり、どのような課題が解決に値し、何をもって成功とするかを決定する。第2に、実行すること。解決策を生み出す作業を行う。そして第3に、評価すること。その結果が本当に良いものかどうかを判断する」

何世代にもわたり、教育システムや職場は、実行力を身につけた人々を評価してきた。しかし、AIはますますその中間の機能を大規模に実行するようになっている。

「実行力が豊富になるにつれて、人間による希少で価値の高い貢献は、適切な課題を設定し、答えが良いものかどうかを見極める判断力を発揮することになる」とブリニョルフソンは語る。

彼の見解では、適切な課題を定義することは、最終的にそれを解決することよりも価値が高くなる可能性がある。機械がより多くの実行を担うようになるにつれ、何を構築する価値があるかを決定する人々が極めて大きな影響力を持つようになる。

経済的価値は希少なものへと流れる。ますますそれは、機械が再現しにくい能力を意味する。想像力、判断力、審美眼、信頼、リーダーシップ、そしてアイデアを現実に変える起業家的能力である。

このシフトは、新世代のビルダーたちの間ですでに目に見える形となっている。

従来のハシゴを登るのに、EasyAの共同創設者であるフィル・クォックとドム・クォックの兄弟ほど適した立場にいた人々はほとんどいない。筆者は最近、自身のシリーズ「AI for A Better World」で彼らにインタビューした。フィルはケンブリッジ大学を首席で卒業し、ニューヨーク州司法試験に史上最年少クラスで合格した。ドムはゴールドマン・サックス、ブラックストーン、クラウドキッチンズ(CloudKitchens)でキャリアを築いた。しかし、組織の階層を登り続ける代わりに、兄弟はまったく新しい道を自ら構築することを選んだ。

EasyAを通じて、2人は何年にもわたり、若者がプロダクトをつくり、ハッカソンに参加し、スタートアップを立ち上げることで最先端テクノロジーを学ぶのを支援してきた。彼らの結論は明白だ。従来の履歴書は、その重要性を失いつつある。

AIが日常的なデジタル作業を自動化するにつれ、最も価値のあるシグナルは、どこで学んだかではなく、何を構築したかになる。

クォック兄弟がハシゴを再設計する人々を代表しているとすれば、アッシュ・アーメドは、ハシゴをまったく登らないことを選択した世代を代表している。自律型AIエージェントを構築するスタートアップ「Axal」の創設者兼CEOであるアーメドは、ハーバード大学でコンピューターサイエンスと経済学の学位を取得して卒業し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)でインターンを経験し、AI研究を行い、ハーバードの経済、ベンチャーキャピタル、ブロックチェーンのコミュニティでリーダーシップを発揮した。

従来のあらゆる基準に照らし合わせても、彼は既存のシステム内で成功するのに非常に有利な立場にいた。

だが代わりに、彼は自ら構築することを選んだ。

アーメドはEasyAのハッカソンに参加した後にAxalを立ち上げ、AIを人間の野心の代替物としてではなく、それを増幅する力(フォース・マルチプライヤー)として捉える起業家世代に加わった。当初の共同創設者たちが去ったとき、彼はAI主導の経済を進む多くの若者にとって馴染み深い選択に直面した。確実性を待つか、それとも不確実性のなかでも構築を続けるかだ。

「正直なところ、挑戦すべきことがまだまだたくさんあるように感じた」とアーメドは筆者に語った。「ビジョンをもっと形にしようと挑戦しなかったら、後悔すると思った」

彼を前進させ続けたのは、優れたテクノロジーや並外れたリソースへのアクセスではなかった。それは「明確さ」だった。

「誰かに対して1000対1の割合でプロダクトを多くリリースできたとしても意味はない」と彼は説明する。「相手の作った1つのものが人々に明らかに求められている一方で、自分の作った1000のものが闇雲に放った矢に過ぎないのなら」

彼の洞察は、あらゆる業界で浮かび上がりつつある、より大きな真実を指し示している。AIによって実行が容易になるにつれ、競争優位性は想像力、判断力、そして解決する価値のある有意義な課題を特定する能力へとシフトしていく。

これと同じ衝動は、オーシャン・クリーンアップ(The Ocean Cleanup)の創設者兼CEOであるボイヤン・スラットのストーリーにも見られる。

16歳のとき、ギリシャでのスキューバダイビング旅行中に、スラットは衝撃的な現実に直面した。水のなかには魚よりもプラスチックの方が多いように思えたのだ。この経験から、彼はなぜ地球上で最も目に見えやすい環境問題の1つが、依然として解決不可能として広く受け入れられているのかという疑問を抱くようになった。

政府、機関、あるいは既存の組織が行動を起こすのを待つのではなく、彼は自ら解決策を設計し始めた。

スラットはその後、デルフト工科大学で航空宇宙工学を専攻したが、最終的には大学を辞め、フルタイムで自身のビジョンを追求することにした。2013年、わずか18歳で彼は、世界の海や川からプラスチックを除去することに特化した組織「オーシャン・クリーンアップ」を設立した。

彼を数多くの傍観者から隔てていたのは、資格や組織の権威ではなかった。

「要するに2つのことだ」とスラットは筆者に語った。「あるアイデアにどれほど取りつかれるか。そして、自分にも何かできるという素朴な信念を持てるかだ」

あらゆるブレークスルーは、常識が退けるアイデアとして始まる。

「これまでに成し遂げられたすべてのことは、誰かがそれを実現するまでは不可能だった」と彼は言った。

今日、オーシャン・クリーンアップは、世界で最も野心的な環境エンジニアリングプロジェクトの1つとなっている。だがスラットの教訓は、海洋プラスチックをはるかに超えて広がる。テクノロジーは人間の能力を増幅するかもしれないが、構築への衝動はより根源的なものから始まる。問題は解決できると信じ、そしてその解決に身を捧げる意志である。

AIシステムがコードを生成し、データを分析し、ワークフローを自動化できる時代において、この観察はますます重要に感じられる。未来が報いるのは、最も多くを知る人々ではなく、解決策が不確実なままでもその問題に向き合い続けるほど強い関心を持つ人々かもしれない。

16歳のとき、ボイヤン・スラットはほとんどの人が不可能だと考えていた課題に目を向け、それを解決することを決意した。アッシュ・アーメドは、キャリアの道が与えられるのを待つのではなく、会社を構築することを選んだ。彼らのストーリーは人々にインスピレーションを与える。しかし同時に、より大きな問いも投げかけている。

AIによってより多くの人々が構築できるようになるなら、一握りの例外的な存在だけでなく、何百万人ものビルダーをどのようにして生み出せばよいのだろうか。

制度変革、労働システム、大規模な変容を研究するジョエル・カッチャー=ガーシェンフェルドにとって、この問いはAI時代を定義づける重要な課題の1つかもしれない。学術界、産業界、労使関係、公共政策にわたるキャリアのなかで、彼は深刻な混乱期に組織や社会がどのように適応するかを研究してきた。

彼の結論は、意味ある変化は孤立した個人だけから生まれることはめったにない、というものだ。それは、制度、コミュニティ、ネットワークが協働することを学んだときに起こる。

「オープンなデジタルファブリケーションとプロトタイピングのスペースのネットワークである世界的な『ファブラボ(Fab Lab)』運動は、トップダウン、ボトムアップ、そしてミドルアクロスという3つの古典的なチェンジマネジメントモデルが織り交ざった成果だ」と彼は説明した。

カッチャー=ガーシェンフェルドにとって、その教訓はファブリケーションラボをはるかに超えて及ぶ。AIが仕事、教育、市民生活を再形成するなかで、繁栄する社会は最も賢い個人を擁する社会ではなく、学習、実験、そしてコラボレーションのための最も強力なエコシステムを構築する社会かもしれない。

今日、3000以上のファブラボが、かつては巨大組織にしか手の届かなかった高度なデザイン・製造ツールへのアクセスを起業家、学生、地域コミュニティに提供している。その成功は、イノベーションの未来が中央集権的な組織よりも、人々が自ら課題を解決できるように支援するネットワークに依存するようになることを示唆している。

このシフトが重要である理由は、AIが単に情報処理の方法を変えているからだけではない。ファブリケーション、デザイン、分散型製造の進歩と相まって、物理的な世界で誰が解決策を生み出せるかも変えつつあるからだ。

アラン・ガーシェンフェルドにとって、この課題は技術的なものではない。教育的なものだ。

E-Line Mediaの創設者であり、ゲーム、学習、および社会的インパクトの交差点におけるパイオニアであるガーシェンフェルドは、人々が「ものづくり」を通じてどのように創造性、主体性、そして課題解決スキルを育むかについて、数十年にわたり模索してきた。彼の活動は一貫して、若者が消費者ではなくクリエイターになるのを支援することに焦点を当ててきた。

彼は、社会が誤った問いに焦点を当てていると考えている。

「ファブ・リテラシー(デジタル工作機器などを使いこなすものづくりの能力)は、デジタルやAIのリテラシーと同じくらい重要になるだろう」

この発言は、より深い懸念を反映している。今日の議論の多くは、インテリジェントなツールの使い方を人々に教えることに焦点を当てている。ガーシェンフェルドは、より重要な課題は、いかにして創造し、実験し、設計し、修理し、そして構築するかを教えることだと主張する。

自動化されたシステムによって定義されつつある世界において、AIにプロンプト(指示文)を入力する方法を知っていることよりも、アイデアを現実に変える方法を知っていることの方が重要かもしれない。

この視点は、AIに関する議論を根本から捉え直す。自動化がどれだけの仕事を奪うのかを問う代わりに、教育者は自分たちがどれだけのビルダーを生み出せるのかを問う必要があるかもしれない。

多くの点で、その問いは私たちをAI時代の中心的な課題へと引き戻す。知識と実行力が豊富になりつつあるなら、未来は人々が何を「知っているか」ではなく、何を「構築することを選択するか」に依存するようになる。

その違いは決定的になり得る。AIリテラシーは、人々に強力なツールの使い方を教える。ビルダーリテラシーは、それを使って何をするかを教える。

ビルダーリテラシーが次の時代の基盤であるならば、そのビルダーたちが社会を強化するのか、それとも分断させるのかを最終的に決定するものは何なのだろうか。

この問いについて、台湾の元デジタル担当相であり、デジタル民主主義をめぐる世界的提唱者の1人であるオードリー・タン(唐鳳)ほど深く考えてきた人物はいない。

タンは、知能が豊富になるにつれ、別の何かが希少になると考えている。

「機械が知能を豊富にするとき、希少なままであり続けるのは信頼だ」

この観察は、最終的にAI時代の最も重要な教訓となるかもしれない。

台湾のデジタル変革を通じて、タンはオープンな協働、市民参加、そしてコミュニティによる課題解決が、民主的な制度を弱めるのではなく強化し得ることを示してきた。公共の危機に際しては、シビックハッカー、政府関係者、地域コミュニティが協力し、単一の機関だけでは生み出せなかった解決策を構築した。

タンにとって、未来は人間を機械で置き換えることではない。人々がより大きな課題を共に解決できるよう力を与えることだ。

「人々こそが真の超知能(スーパーインテリジェンス)だ」と彼女は言う。

その洞察は、議論を経済、テクノロジー、さらには教育の枠を超えて引き上げる。

1世紀以上にわたり、制度は才能を見いだし、労働者を訓練し、既存システム内の役割に割り当てるために設計されてきた。AIはますます、それらの機能の多くを引き受けつつある。人間に固有のものとして残るのは、新たな可能性を想像し、信頼を獲得し、コミュニティを築き、アイデアを現実へと変える能力である。

社会が直面している問いは、もはや機械とどう競争するかではない。

問いは、機械と共に構築できる世代を私たちが育てられるかどうかである。

forbes.com 原文

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