今年発表されたAIと労働に関する研究のなかで最も議論を呼んだものは、ようやく憶測ではなく実際のデータを示している。2026年初めに公開されたAnthropic(アンソロピック)の研究者マキシム・マセンコフとピーター・マクローリーによる研究は、有用な区別を導入した。彼らが「理論上のエクスポージャー」と呼ぶ、ある職務においてAIが自動化し得るタスクの割合と、「観測されたエクスポージャー」と呼ぶ、実際にAIが自動化している割合である。この2つの数値の差は大きい。
しかし、私が読んだこの研究に関する見出しはどれも、そのエクスポージャーの数値がすべてであるかのように扱っている。私は、それらは序章にすぎないと考えている。
Anthropicの研究は、組織図における個人貢献者層での代替を測定した。だが、その知見は、その上に位置するリーダーシップ層についてほとんど触れていない。そして、その沈黙こそが、この話題の報道からほぼ完全に抜け落ちてきた部分である。
その沈黙が隠しているのは、次のことだ。AIによって実行が安価で速くなると、その上の層の価値は下がるのではなく上がる。安価で豊富な労働力がある状況こそ、企業が最も「分別ある大人」を必要とする状況だ。その迅速なアウトプット全体を、最終的にどのような成果へと結びつけるべきかを判断するためである。
フラクショナル・エグゼクティブの仲介プラットフォームを運営するなかで、私は交わされる会話の変化を目の当たりにしてきた。かつて当社に相談に来る企業は、新市場への拡大について話すことが多かった。最近では、すでにAIをワークフローに組み込んだ、よりスリムなチームをどう運営するかを話す企業が増えている。
それらはすべてが創業初期のスタートアップというわけではない。多くはすでに組織再編を終えており、人員を増やそうとしているのではない。残された人員を編成し、動かすためのシニアの判断力を求めているのである。
この問いの変化は、労働研究におけるどんな単一の割合よりも重要だ。5人のチームがかつて15人で行っていたことをできるようになると、問いは「15人を管理するために誰を採用するか」ではなく、「5人を率いるために誰を組み込むか」へと変わる。
その問いの背後にある計算は厳しい。成長段階の企業における常勤の最高マーケティング責任者(CMO)は、基本給、ボーナス、福利厚生を含めると、総報酬が通常25万〜40万ドル(約6470万円)程度になり、物価の高い大都市圏ではさらに高くなる。4、5人のマーケターで構成されるチームに対してさえ、それを正当化するのは以前から難しかった。現在では、AIによってアウトプットが増強された2人のチームに対して、それはさらに難しくなっている。常勤ポストを置く根拠は、その下にいるチームの規模に支えられていた。AIはその規模を縮小する。
これは、AIがシニアリーダーを置き換えているという意味ではない。むしろ、彼らの判断力をより希少で価値あるものにしているのであって、その逆ではない。米労働統計局は、トップエグゼクティブの雇用が2024年から2034年にかけて約4%増加すると予測している。これは全職業の平均とほぼ同水準だが、人員数の数字は実際に起きていることを過小評価している。幹部ポストの数はゆっくりと増える一方で、それぞれに集中する価値は高まっている。
最も急速に変化しているのは、企業がその判断力をどう取り込むかである。その割合は、常勤採用ではなく、フラクショナル、暫定、プロジェクトベースの契約を通じて提供される形へと拡大している。Heidrick & StrugglesとBusiness Talent Groupは、2020年以降、暫定リーダーへの需要が310%増加したと報告している。暫定CFOだけで、Cスイートへの全依頼の約半分を占める。暫定業務は、企業が常勤採用を進めるあいだの一時的な穴埋めであることが多い。フラクショナルリーダーシップは、同じ直感をより持続的な形にしたものだ。シニアの判断力を、長期にわたり、パートタイムの形で組織に組み込むのである。データは一方向を示している。企業は柔軟に活用できる高水準のリーダーシップを求めており、フラクショナルは定着するために作られたモデルである。
当然の反論はある。シニアの判断力がかつてないほど重要なら、なぜフラクショナルではなく常勤で採用しないのか。理由は、その仕事の形が変わったからだ。より小さなチームでは日々の管理は少なくて済むため、その役割は人を監督することではなく、戦略を定め、チームが生み出すものをストレステストする方向へと傾く。AIがリーダーに求めるのは日常的な管理ではなく監督であり、監督は週40時間を埋めるものではない。
常勤職と同等の判断力を求めるパートタイムの役割は、常勤職のジュニア版ではない。それはフラクショナル・エグゼクティブである。AIは、シニアリーダーシップの形を静かにフラクショナルモデルへと曲げつつある。なぜなら常勤ポストは、大きなチームを率いるために設計されたものだが、そうしたチームは、ますます多くの企業で存在しなくなっているからだ。
2026年にこの研究を読むCEOが問うべきなのは、AIがアナリストを置き換えるかどうかではない。より鋭い問いは、AIが彼らの仕事の30〜50%を担うようになったとき、組織図はどのような姿になるのか、そして、より小さく速いチームにはどのようなリーダーシップが必要なのかである。その答えが、常勤採用のための6カ月に及ぶ探索に行き着くことはまれだ。
最も速く適応している企業は、AIが自社の労働力をどう再編するかを問うているのではない。AIがリーダーシップ層の計算をどう変えるかを問うている。実行が安くなるほど、判断は高くなる。そして、適切なシニアオペレーターを常勤であれフラクショナルであれ組織に組み込む企業は、何年にもわたり複利的に積み上がる優位性を手にする。勝者となるのは、最も多くのAIを持つ企業ではない。その上に最も明晰な頭脳を置く企業である。



