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経営・戦略

2026.07.21 16:45

ラクスル田部正樹、CMOからCROへ 肩書き変更の裏にある「誤解」

田部正樹|ラクスル上級執行役員グループCRO 兼 ノバセル代表取締役社長

田部正樹|ラクスル上級執行役員グループCRO 兼 ノバセル代表取締役社長

ラクスルのマーケターとして「ノバセル」を立ち上げ100億円企業に成長させた田部正樹。PLにも責任をもつCROとして活躍する田部が考える、マーケティングの役割とは。


 2026年3月、ネット印刷サービスなどを展開するラクスルは、米ゴールドマン・サックスをスポンサーとしMBO(経営陣が参加する買収)に向けたTOB(株式公開買い付け)を成立させた。MBO総額は約1300億円で、東証プライム市場での上場廃止を進めている(5月1日現在)。非公開化完了後は経営陣が5割の議決権を保有予定。短期的な成果にとらわれずに中長期的な成長投資を進め、3年後には「中小のBtoB企業をエンドツーエンドで支えるインフラ」に育てる計画だ。

09年に印刷関連事業からスタートした同社は、物流やマーケティング支援など中小企業のサポートを軸に業界を越えて事業を興し、18年に東証マザーズ、22年に東証一部からプライム市場へ移行するなど急成長してきた。25年11月には金融サービス「ラクスルバンク」と決済サービス「ラクスルPay」をリリースし、MBO後もこの金融領域に注力していく。

そんな同社の成長を後押ししてきたキーパーソンのひとりが、CRO(最高収益責任者)の田部正樹だ。CROとは、マーケティング領域の責任者でありながら、会社の収益にも責任をもつポジションである。14年に同社に入社した田部は、マーケティング部長を経て取締役CMOを務め、マーケティングのプロフェッショナルとして活躍してきた。25年8月には自身の肩書をCMOからCROに変更。その背景には、日本に蔓延るマーケティング職への“誤解”があったという。

 「日本では、マーケティングというと広告、PR、プロモーションといった活動で認知拡大や集客を行うことだと思われがち。本来のマーケティングは、基本フレームワークである4Pにもあるように、プロモーション(Promotion)のほかに、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)も含めて、収益につながる戦略を立て、実行する仕事です」

田部はそうした認識のもと、プロモーションに限らない多様な手段を用いてマーケティング活動を行ってきた。ただ、かねてその実情と肩書に対する世間の認識にギャップを感じており、より実情に近い肩書として「CRO」に改めたという。

次ページ > 田部が行ってきたマーケティング活動とは

文=三ツ井香菜 写真=若原瑞昌

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